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住宅設備メーカー

【勝ち組?】LIXILの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

LIXILは、衛生設備・水洗金具・ドア・サッシ・内装建材などを展開とする大手住宅設備メーカー。2001年に建材大手・トステムと衛生陶器大手・INAXの経営統合により誕生。2009年には同業他社の新日軽・サンウエーブ工業・東洋エクステリアが合流して、巨大グループへと発展。戸建住宅・マンションからオフィス・商業施設まで対応できる幅広いラインナップを有し、住宅設備メーカーとしては世界首位級の売上高を誇る。世界150ヶ国以上に製品を供給するグローバル企業でもある。

POINT

・住宅設備メーカー最大手、INAXが源流の1社であるため水回りに強い
・売上高は横這いで利益率が低い、財務体質もそこまで高くはない
・平均年収694万円と業界トップ企業の割に普通、福利厚生も普通レベル

就職偏差値

62(中堅上位)

日本企業における中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

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業績動向

✔売上高と営業利益

LIXILの売上高は1.3億~1.8兆円レベルで推移しているが、2017年をピークに減少傾向。ただし、今なお住宅設備メーカーとしては売上高は世界首位級である。営業利益は2016年から減少傾向が続いており、利益低迷に苦しむ。
*1:売上高・利益が低迷している理由は、①世界的な物価上昇による住宅新築・リフォーム需要のピークアウト、②原材料価格の上昇によるコスト増加、③金利上昇による過去の大型M&Aによる有利子負債の利払い増加、など。

✔セグメント別の状況

LIXILは、ウォーターテクノロジー事業(衛生設備・水洗金具・ユニットバスルーム・システムキッチン・飲料水システムなど)、ハウジングテクノロジー事業(ドア・サッシ・シャッター・内装建材・カーテンウォールなど)、の2事業を有する。
LIXILはドアやサッシのイメージが強いが、実際には売上高の半分以上をウオーターテクノロジー事業で稼ぐ。長年に渡ってTOTOのライバルであった衛生陶器大手・INAXの流れを汲む企業であるため、水回り分野においては特に強い。

✔最終利益と利益率

LIXILの純利益はあまり安定しておらず、2015年・2018年・2023年には赤字転落して純損失を計上*2。営業利益率は2%~4%程度で長年推移しており、利益率はかなり低め。
*2:2015年の純損失は、ドイツ子会社・ジョーユーが中国市場で不正会計問題が判明したことによる。2018年の純損失転落はイタリア子会社・ペルマスティリーザ社が業績悪化したうえ売却計画が失敗したことによる。

✔自己資本比率と純資産

LIXILの自己資本比率は2019年から緩やかな増加傾向が続いているが、直近でも34.1%台とそれほど高くない水準。積極的な海外攻勢に関わる投資により、直近の有利子負債は6,700億円以上(2023年)。純資産は長年に渡って横這いが続いている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

LIXILは2020年から事業会社制へ移行しており、同年から一般社員の実態に近い平均年収となっている。大卒総合職の場合では30歳で年収450万~550万円ほど、課長職レベルで年収850万~1,000万円レベル。

✔従業員数と勤続年数

LIXILは2020年から事業会社制へ移行しており、同年から単体従業員数が急増。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5.56万人ほど。平均勤続年数は直近で20年を上回っており、大手メーカーとしても勤続年数は長め。

総合評価

企業格付け:CCC

■業界ポジション
住宅設備メーカーとして日系首位級の大手メーカー、グローバルでも売上高1兆円を上回る住宅設備メーカーは多くなく、世界トップレベルの規模感。直接的なライバルはパナソニック・TOTOなど。かつてTOTOとシェアを争っていたINAXも当社の源流企業の1つ。

■業績動向
停滞感。売上高・利益いずれも2017年をピークにやや減少傾向。とりわけ2021年以降は世界的な原材料価格の高騰によるコスト増が利益低下を招く。世界的な物価上昇による住宅新築・リフォーム需要のピークアウトも業績の足枷に。過去の大型M&Aで借り入れた負債の金利上昇により利払いが増加、利益を削ぐ。

■財務体質
微妙。自己資本比率30%強と数字だけならそれほど悪くはないが、過去の大型M&Aにより有利子負債は6,700億円以上(2023年)。当社は平常時で純利益300億円前後の規模感であるから、返済に要する期間は極めて長大になることが予期される。

就職格付け:C

■給与水準
平均年収700万円前後。大卒総合職の場合では30歳で年収450万~550万円ほど、課長職レベルで年収850万~1,000万円レベル。2010年代に女性登用を急加速させ、女性管理職が22名(2012年)から167名(2016年)に急増。女性登用は社会的潮流であるが、あまりに急速な女性登用には賛否両論。

■福利厚生
まずまず。若手社員は29歳までならば最大7万円/月の家賃補助が支給される(条件あり)。が、30代以降は家賃は基本自腹となる為、それなりの負担感はある。転勤になれば社宅・家賃補助による支援を得られるが、当社は「北は北海道・南は沖縄」に至るまで工場があるため、転勤範囲は極めて広大。約30拠点もの工場を有している企業は大手メーカーでもそうそうなく、転勤は相当に大変であろう。

■キャリア
コース別採用。採用コースは、技術系コース・デジタルコース・マーケティングコース・ファイナンスコース・コーポレートコース・HRコース(人事)など。基本的には入社時の職種で経験を蓄積しつつ専門性を高めるキャリアが主であり、専門性を高めやすいのはメリット。現役員のほとんどは社外出身で固められており、現代表取締役は住友商事の出身、副社長は富士ゼロックスの出身。プロパー入社で役員に登り詰めることは極めて狭き門となっている。

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出典:株式会社LIXIL(有価証券報告書)