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化学メーカー

積水化学工業の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

積水化学工業は、住宅・建材・化成品・高機能プラスチックを製造する大手樹脂加工メーカー。1947年に日窒コンツェルンが財閥解体されたことで独立した企業。プラスチックをはじめとする樹脂加工技術に優れ、1950年にはセロハンテープを開発、1957年にはポリバケツを発売しており、現代社会の必需品を数多く発明。1960年にハウス事業部を分離させ積水ハウスとして分社化したが、1970年代に住宅事業へ再進出してセキスイハイムとしてブランド化。現在では大手注文住宅メーカーとしての存在感も発揮。

POINT

1.樹脂技術をコアとする大手化学メーカーだが住宅事業が柱
2.堅実な財務体質で無借金経営、景気後退局面でも純利益は確保
3.大卒総合職なら平均年収900万円ほど、福利厚生も手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

積水化学工業の売上高は概ね1兆円規模での横這い推移で成長性は乏しい。企業知名度に比べると売上高が小さいが、売り上げ単価が大きい注文住宅を積水ハウスとして分離独立させた影響*1。営業利益は極めて安定的であり、リーマンショック直後も含めて純利益を安定的に確保し続けている。
*1:積水化学工業は1960年にはハウス事業部を積水ハウスとして分離独立させ、1970年に別会社として上場させている。積水ハウスは売上高3兆円規模で住宅メーカーとしては業界2位に位置。積水化学工業が展開するセキスイハイムは業界6位であり、規模感には大きな差がある。

✔セグメント別の状況

積水化学工業は住宅事業(積水ハウス向けを主とする建材の製造販売)、環境・ライフライン事業(塩化ビニルパイプ・インフラ向け資材など)、高機能プラスチック事業(自動車部品・航空機部材・電気通信機器向け材料など)、メディカル事業(臨床検査薬・採血管・分析装置の製造販売など)、の4事業を有する。
売上高の約60%以上を住宅事業が占めるものの利益貢献は乏しいことが特徴。高機能プラスチック事業は売上高の約13%に留まるものの、営業利益の観点では約41%を占める。

✔最終利益と利益率

積水化学工業は10年以上に渡って安定的に純利益を確保しているが、2018年以降はやや失速気味。自己資本利益率も急減速しており、利益水準が直近4年間は不調気味*2。
*2:直近数年の不調はCOVID-19感染拡大と景気失速による自動車・航空機向け材料の不振が主要因。2021年には北米子会社で減損損失495億円が発生し、純利益が低迷する主要因となっている。

✔自己資本比率と純資産

積水化学工業の自己資本比率は直近で56.3%と高水準であり、堅実かつ安定的な利益体質も合わせると非常に堅実な財務体質。実質無借金経営。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

積水化学工業の平均年収は直近で897万円と高めの水準。大卒総合職の平均年収は900~1100万円程度と推定される。平均年齢は40歳を上回っているが、直近8年間に渡って平均年齢は横這いであるため若返りも並行して推進していると推定

✔従業員数と勤続年数

積水化学工業の従業員数は2017年以降は2.6万人レベルで横這い推移となっている。平均勤続年数は15.7年前後と大手メーカーとしては標準的な水準、直近8年間で平均勤続年数がやや短くなっているがこれは社員数の増加と若返りが主要因。

総合評価

企業格付け:A

売上高では化学業界の上位10社に入るか入らないか…といった立ち位置である。しかし、極めて安定的な利益体質と堅牢な財務体質によって、他にはない輝きを持った企業。化学メーカーは景気動向に業績を左右されやすいが、積水化学工業は事業多角化によりリーマンショック直後でも純利益を確保することに成功している。そのうえ実質無借金経営であるため、倒産リスクは現状皆無であろう。

就職格付け:A

大卒総合職であれば平均年収900~1000万円を上回ると推定され、高給が得られる優良メーカーとして著名。福利厚生も充実しており、社宅制度・住宅手当・世帯主手当なども手厚いため、実質年収以上の生活水準を得られることでも有名。堅実な財務と利益水準から安心して終身雇用を委ねられる企業でありながら、給与水準や福利厚生でも手厚いホワイト企業である。セキスイハイムやセロハンテープなど、著名な製品も数多く有しており、企業ブランドとしても一流であり就職先。強いて言えば、著名企業の割には優良企業であると世間一般までは認知されていない為、他人からの羨望の眼差しまでは得られにくい点は課題か。

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