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化学メーカー

三井化学の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

三井化学は、石油化学技術をコアとして多種多様な機能性材料や先端・基礎材料を製造する大手化学メーカー。1933年に三井鉱山から化学事業が分離して設立された東洋高圧工業を源流企業とする。ナフサからエチレンやプロピレンなどの基礎原料を生成、樹脂製品に使われるポリエチレン・ポリプロピレンとして加工するまでの一貫した技術を有する。メガネレンズや燃料タンク材料などにおいては世界シェアトップを誇り、フェノール生産量はアジアNo.1の規模である。

POINT

1.業界上位の化学メーカー、ニッチトップ素材多数
2.かつて業績不振に陥ったが再建に成功、財務体質は再建途上
3.大卒総合職なら平均年収900万円ほど、近年は社員の若返りも進行

業績動向

✔売上高と営業利益

三井化学の売上高は概ね1兆円規模で推移しており、横ばいでの推移が長年に渡って続いている*1。営業利益は年度によるばらつきが大きいが、2009年以降は営業黒字をキープしており2021年には過去最高の1473億円を記録*2。
*1:三井化学の売上高が過去最高を記録したのは2007年度の1.7兆円。2022年は過去最高の売上高を更新する見込みだが、1兆円レベルでの推移であることに変わりはない。
*2:2022年に過去最高益を記録した理由は、①原材料価格の高騰による在庫評価益の急増、②COVID-19感染収束による経済活動の活性化による需要増加。

✔セグメント別の状況

三井化学はモビリティ事業(樹脂素材・バンパー・内装部品など)、ヘルスケア事業(メガネレンズ素材・不織布・歯科素材など)、フード&パッケージング事業(コーティング剤・農薬・機能材・フィルムシートなど)、基盤素材事業(石化素材・PET樹脂・フェノール・触媒・ポリウレタンなど)、その他事業、の5事業を有する。
三井化学は様々な機能性素材を製造しているが、コア事業は基盤素材事業となっており、基盤素材事業が売上高・利益の約半分を稼ぐ構造となっている。

✔最終利益と利益率

三井化学の純利益は過去10年間に渡って緩やかな増加傾向にあり、2022年には過去最高益を更新する見込み。2008年から2013年に渡っては純損失が続く経営不振の時期が続いていたが、黒字体質へと回帰することに成功している。

✔自己資本比率と純資産

三井化学の自己資本比率は直近で36.8%と標準的な水準であるが、景気変動に敏感な業態であることを考慮するとやや少なめの印象。2008年から2013年にかけて巨額の純損失を計上して痛んだ財務基盤は未だ回復途上にある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三井化学の平均年収は直近で838万円と高めの水準。大卒総合職の平均年収は900~1000万円程度と推定される。平均年齢は40歳を上回っているが、過去10年で少しずつ若返りが進んでいる。

✔従業員数と勤続年数

三井化学の従業員数は2017年から増加傾向にあり、直近では1.87万人まで増加している。近年の三井化学はM&Aを散発的に実施しており、事業領域を拡大している。平均勤続年数は16.8年前後と大手メーカーとしては標準的な水準、右肩下がりで短くなっているがこれは社員数の増加と若返りが主要因。

総合評価

企業格付け:BBB

化学業界では国内上位6社に数えられる大手だが、最上位級の三菱ケミカルや住友化学との間には圧倒的な差があり、微妙な立ち位置。旭化成ほどの知名度もなく、信越化学工業ほどの世界的存在感ある製品もなく、影の薄さは否めない。ニッチトップ製品は多く有するが、売上高の成長性には乏しい。2012年頃までは巨額の純損失を連続計上して失望が広がったが、2016年頃から業績好転しており経営再建には成功している点は希望か。とはいえ、化学業界のトップ企業群に食い入る戦略は未だ見えない。

就職格付け:BBB

大卒総合職であれば平均年収900万円前後、メーカーとしては上位級の待遇を得られる。海外売上高比率48%とグローバル化が進んだ企業であり、そこそこの高待遇で海外と関わる仕事がしたい価値観であれば優良企業であろう。ただし、かつて2000年代には住友化学との経営統合が目論まれたが破談に終わり、2023年現在では三菱ケミカルが提唱する石油化学事業の再編に参画するか見送るかが議論されている。日本の化学業界はエチレン製造装置が過剰気味になりつつあり、かつて製鉄業界などで起こった業界再編が近い可能性もある点には注意したい。

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