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神鋼商事の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

神鋼商事は、鉄鋼材・非鉄金属・鉄鉱石・石炭などを主力とする鉄鋼系専門商社。1946年に神戸製鋼所がメーカー直結商社として設立、創業当時から鉄鋼系専門商社として事業拡大。神戸製鋼所の製品販売だけではなく、鉄鋼生産に必要となる石炭・鉄鉱石の供給も担うことで同社のサプライチェーンの根幹を支える。神戸製鋼所が得意とする自動車業界・造船業界との取引関係が厚く、アメリカ・メキシコでは日系自動車メーカー向け素材・部品の製造~販売までを手掛ける。

POINT

1.神戸製鋼所Gの鉄鋼系専門商社、大阪府に本社を置く在阪商社の一角
2.売上高・利益いずれも好調だが、財務体質はそこそこレベル
3.平均年収895万円だが業績悪化すると600万円台まで後退、賞与比率が高め

業績動向

✔売上高と営業利益

神鋼商事の売上高は2020年まで7,800億~6,300億円レベルで安定していたが、同年以降は4,900億∼5,800億円ほどに低下*1。営業利益は2020年から100億円以上の水準に向上しており、過去最高圏で推移している。
*1:2021年から企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」を適用。収益認識の基準が変更されたことで数字上の売上高が下落した。

✔セグメント別の状況

神鋼商事は、鉄鋼事業(鋼板・特殊鋼・チタン・ステンレスなど)、鉄鋼原料事業(神戸製鋼所向けの石炭・鉄鉱石など)、非鉄金属事業(自動車・空調向けアルミ・銅製品など)、機械・情報事業(産業機械・化学機械など)、溶剤事業(溶接材料・生産材料など)、その他事業(不動産賃貸借)、の6事業を有する。
神鋼商事は鉄鋼事業・非鉄金属事業がコア事業であり、同2事業で売上高の約70%以上を占める。2023年に策定した中期経営計画では、電気自動車・自動車軽量化と資源循環型ビジネスを重点領域として策定。事業多角化よりもコア事業の進化を模索している。

✔最終利益と利益率

神鋼商事は純利益を景気後退局面も含めて20億~50億円の水準で安定的に確保しているが、2020年以降は純利益70億円以上が続いている*2。営業利益率は2020年まで1%未満と低利益率であったが、2021年以降は2%台へ上昇。とはいえ利益率は高くはない。
*2:神鋼商事の純利益の増加要因は、①世界的な新車生産台数の増加による⾃動⾞向け需要の増加、②世界的な鉄鋼価格の高騰による粗利増加、が主要因。

✔自己資本比率と純資産

神鋼商事の自己資本比率は長期的に17%~19%前後の水準で推移しており、やや低めの水準に留まる。ビジネスモデルの関係上、負債が広がりやすい事情を鑑みれば問題ない水準。純資産は右肩上がりで増加しており、直近では739億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

神鋼商事の平均年収は長年に渡って660万~780万円ほどの水準で推移していたが、2022年には業績好調による賞与増加に後押しされて895万円に到達。総合職であれば30歳で500万円~700万円ほど、課長職レベルで年収1,000万~1,100万円レベル。平均年齢は39歳前後であり、老舗企業の割りには年齢構成はやや若め。

✔従業員数と勤続年数

神鋼商事の単体従業員数は長年に渡って440人~470人ほどの水準で極めて安定的。事業規模の割には組織規模は小さめであり、少数精鋭の体制。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数も1,400人ほど。平均勤続年数は直近で14.5年と長くもなければ短くもない水準。

総合評価

企業格付け:B

神戸製鋼所がグループ中核商社として設立して以降、約70年に渡って同グループのサプライチェーンを支えてきた専門商社。大手鉄鋼メーカーがグループ内に商社を抱えるのは業界通例であり、同類企業としては日鉄物産・JFE商事などがある。2021年からの鉄鋼価格上昇を追い風として、業績は過去最高圏で推移。売上高こそ会計基準の変更で見た目だけは減少しているが、利益においては過去最高を更新している。が、長年に渡って利益率が低い状態が慢性化していたこともあって、業績好調とはいっても営業利益率は2%ほど。財務体質も普通レベルであり、財務体質は自己資本比率18.3%ほどである。預り金によって負債が膨らみやすいビジネスモデルであるため問題ない水準ではあるが、かといって称賛するほどの財務基盤でもない。当社は鉄鋼系ビジネス深化と海外展開強化を重視しており、事業多角化を推進している他大手専門商社とはまた違った戦略である。

就職格付け:BB

大阪府に本社を置く鉄鋼系専門商社の一角として著名。本社は関西きってのビジネス街である中之島においてトップクラスの好立地である三菱地所・淀屋橋スクエアに入居しており、しかも最上層である15階~18階を独占入居。大阪のビジネスマンならば誰もが憧れるオフィス環境は特筆に値する。給与水準はベース賃金はそれほど高くはなく、業績変動による浮き沈みが強め。業績悪化時には600万円台に留まる一方で、業績好調時には900万円に迫る水準にまで増加する。欲を言えば平均年収750万円ほどで安定すれば、従業員が体感できるレベルで給与水準が良好に感じられるのではないだろうか。福利厚生はそこそこ整備されており、自社保有の社宅・独身寮がある。ただし年季が入った物件もそれなりにあるため、当たりはずれは大きい。従業員持株会が盛んであることも特徴的であり、神鋼商事従業員持株会は当社の大株主リストにおいて第6位となっている。神戸製鋼所グループとはいえ親会社の保有株式比率は20%にも満たない為、そこまで圧倒的な支配力はないのも特徴的。当社の代表取締役社長は親会社の神戸製鋼所出身であるが、プロパー入社の取締役もそれなりにいる。同類企業の日鉄物産では親会社が80%の株式を掌握して支配力を強めていることを思えば、親会社の影響力が強すぎないことは魅力となるのかもしれない。

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