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あおぞら銀行の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

あおぞら銀行は、不動産・事業再生ファイナンスに強みを持つ普通銀行。1957年に政府主導で設立された日本不動産銀行を源流とし、1977年に日本債券信用銀行へと行名変更。1998年にバブル崩壊の影響で経営破綻、一時国有化された後に再び民営化された。現在においても不動産業界・中小企業向け融資に強い銀行として知られ、経営不振に陥った企業向けに投資する事業再生ファンドで著名。地方銀行との提携にも熱心であり、子会社のあおぞら地域総研を通じて地方銀行向けアドバイザリーも展開。

POINT

1.大手金融グループに属さない中堅銀行、事業再生に強み
2.2022年は利益急減するも一過性、財務体質は健全で問題ない
3.人事制度改革で平均年収869万円に上昇、福利厚生も手堅い

業績動向

✔経常収益と経常利益

あおぞら銀行の経常収益は年度による上下変動が大きめだが、長年に渡って1,300億∼1,800億円ほどで推移*1。経常利益は390億~580億円ほどで推移していたが、2022年には経常利益73億円まで急減。
*1:2022年の経常利益の急減は、世界的な金利上昇によって含み損を抱えた外国債券の一括処理が原因。金融環境が急激に変化する状況を踏まえたリスクコントロールの影響。

✔セグメント別の状況

あおぞら銀行は、法人営業事業(法人向け貸出・預金・金融商品販売・M&A関連業務など)、ストラクチャードファイナンス事業(事業ファイナンス・不動産ファイナンス・事業再生など)、国際ビジネス事業(海外向け投融資など)、マーケット事業(デリバティブ・外国為替トレーディングなど)、カスタマーリレーション事業(金融機関・個人向け貸出・預金・金融商品販売など)、の4事業を有する。
あおぞら銀行は預金・貸出といった一般的な銀行業務に加えて、ストラクチャードファイナンスを得意とする点が特徴的。2023年は金融環境の変化でマーケット事業が損失を計上したが、ストラクチャードファイナンス事業が収益・利益において貢献したことで全社利益は経常黒字を維持した。

✔最終利益と利益率

あおぞら銀行は純利益を2022年を除けば、純利益280億~430億円で安定的。自己資本利益率は長期的に微減傾向にあるものの、2022年を除けば5%以上の水準を確保している。銀行業界としては悪くない水準である。

✔自己資本比率と純資産

あおぞら銀行の自己資本比率は6.1%と低めだが、銀行業であれば健全な水準。銀行業は顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。純資産は長期的に横ばいであり、4,200億~4,900億円ほどの水準。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

あおぞら銀行の平均年収は長期的に微増傾向が続いており、2022年には869万円に到達。メガバンク以下・上位地銀以上の給与水準である。総合職であれば30歳で750万円~850万円ほど、課長職レベルで年収1,100万~1,300万円レベル。平均年齢は43歳前後であり、大企業の標準的な水準。

✔従業員数と勤続年数

あおぞら銀行の単体従業員数は微増傾向が続いており、直近では2,000人弱の組織体制。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数も2,400人ほど。平均勤続年数は直近で15.7年と銀行業としては長めの部類。

総合評価

企業格付け:B

かつてバブル崩壊の余波で経営破綻に追い込まれた日本債券信用銀行の血を引く普通銀行。都市銀行未満・地方銀行以上といった立ち位置にも感じられるが、総資産の規模感でいえば百五銀行(三重県)や滋賀銀行(滋賀県)と互角級に過ぎない。当行の特徴として捉えるべきはストラクチャードファイナンスに代表される専門的金融分野への知見であり、この点においては国内銀行の中でも有数の勢力である。長年に渡って経常利益は安定していたが、世界的な金利上昇をうけて業績が2022年に急減速。ただこれは、低金利環境下に買い集めていた外国債券の一時的な損失処理によるものであり一過性。数多くの大手銀行・地方銀行でも同様の損失が発生しているため、当行だけが大きく業績不振に陥っているわけでもない。総じて、メガバンクでもなく地域金融機関でもないユニークなポジションにある普通銀行と評価できよう。大手金融グループにも属さない独立性もあり、小粒ながらも柔軟な戦略をとれる点が強み。

就職格付け:BB

東京都に地盤をもつ中堅クラスの普通銀行。2010年には同じく経営再建が取り沙汰されていた新生銀行との合併話が持ち上がるも、合併には至らず今に至る。一般知名度はそれなりに高く、GMOグループと設立したGMOあおぞらネット銀行は業界トップクラスの高金利によって人気を集めている。給与水準はかなり恵まれており、直近では平均年収869万円に上昇。従業員の待遇改善を目指して2020年に給与体系を大きく見直しており、①55歳以上社員の給与引き下げ範囲を縮小、②一般職を廃止して給与水準を底上げ、を実施。これによって上位地銀を引き離してメガバンクに近い給与体系へと一歩近づいた。福利厚生においても恵まれており、若手社員向けの借上げ社宅が充実。条件に該当する若手社員には最大5万円/月までの範囲で借上げ社宅が提供されるため、見た目の年収以上に生活は楽だろう。全国転勤リスクは避けられないが、政令都市クラスの都市部にしか支店がないため僻地支店への配属がない点は安心材料だろう。2017年に本社移転によって東京都・千代田区麴町の上智大学ソフィアタワーへと入居している。

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