企業概要
任天堂は、ゲーム専用機･ゲームソフト･トランプ･かるたなどを製造販売する大手ゲーム会社。1947年にかるた製造会社として丸福の社名で創業、創業当時はトランプ･花札･玩具などの製造を主力事業としていた。1970年代にコンピュータゲームへと進出、1983年に発売した据置型ゲーム機”ファミリーコンピュータ”で業界を席巻。ゲームボーイ･ゲームキューブ･DS･Wii･Switchなどの大ヒットゲーム機器を輩出してきた。過去にリリースしてきたゲームソフトに登場するキャラクターを活かしたIPビジネスにも強く、マリオ･ポケモン･カービィ･ゼルダなど世界的人気のあるIPを多数保有。
１．日本屈指の大手ゲーム会社、ゲームハードでは世界大手3社の一角
２．売上高･利益いずれも極端な変動が続く、財務体質は超優良
３．平均年収は985万円で福利厚生も超優良、入社難易度は最高難易度レベル
業績動向
✔売上高と営業利益
任天堂の売上高は長年に渡って極端な上下変動を繰り返してきた歴史があるが*1、2017年以降はSwitchの大ヒットにより売上高1兆円を大きく上回る水準で推移。営業利益についても極端な上下変動があるが、2017年以降は業績好調が続く。
*1：任天堂は自社のゲーム機器･ソフトに売上高を依存する為、自社ハードの好不調に業績が極端に左右される。2000年代はDS･Wiiの大ヒットで売上高1.5兆円以上を維持したが、2010年代前半は主力ハードの低迷で売上高5,000億円まで衰退。その後、Switchの大ヒットで売上高1兆円を再び越えた状況。
✔セグメント別の状況
任天堂はゲーム専用機（Nintendo Switchに関わるハードウェア･ゲームソフトなど）、ゲームその他（周辺機器･アクセサリなど）、モバイル･IP（モバイルアプリ･ゲーム内通貨･キャラクタービジネス）、その他（トランプ･かるた他）の4事業を有する。
任天堂は売上高のほとんどを自社ゲームハードとゲームソフトに依存するビジネスモデル。そのため、自社ゲームハードが競合に対してどれだけのシェアを確保できたかによって業績が大きく左右される。ゲームハードは5~8年周期でモデルチェンジするため、競合対比でシェアを失うと業績低迷が続く特徴がある。直近5年はSwitchの大ヒットで業績好調が続いているが、先代のWiiUの時代には業績低迷が続いた。
✔最終利益と利益率
任天堂の純利益は売上高･営業利益と連動して極端な上下変動を繰り返している。2020年には過去最高となる純利益4,803億円に到達*2した後はやや停滞気味。営業利益率は6~36%のレンジで上下しており、好不調が明確に分かれる推移。
*2：2020年はCOVID-19感染拡大による外出自粛で巣ごもり需要が急増。自宅で暇つぶしができるゲーム機器の需要が急増したことで任天堂の業績は大きく躍進した。
✔自己資本比率と純資産
任天堂の自己資本比率は長年に渡って70%以上の高水準で推移しており、極端なまでに健全すぎる財務体質。現預金として8,000億円以上を保有するキャッシュリッチ企業としても著名。純資産は業績好調により増加傾向にあり、直近の2022年には純資産2.27兆円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
任天堂の平均年収は900万円を越える水準で安定しており、ゲーム業界としては断トツの給与水準を誇る。給与体系は年功序列寄りだが、30歳前後で年収750~850万円ほどに到達する。平均年齢は企業イメージの割には高めであり、平均年齢39.9歳と大手メーカー並みの水準。
✔従業員数と勤続年数
任天堂の従業員数は増加傾向にあり、直近の2022年は2,779人に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7,300人ほど。平均勤続年数は14年前後で安定推移しており、高待遇の割にはそこまで長くはない水準に留まっている。
総合評価
企業格付け：SSS
日本のゲーム･コンテンツ業界を牽引する超名門企業であり、ゲーム会社の枠を超えて日本文化そのものの形成にすら貢献する唯一無二の存在。マリオ･ポケモン･カービィなど世界的IPを数多く保有、ゲームだけでなくコンテンツビジネスでも稼ぐ。業績はWiiUの時代には極端な低迷に見舞われたものの、Switchの大ヒットで売上高1兆円を優に上回るレベルに到達。2000年代前半のDS･Wiiが大ヒットした時代の匹敵する業績を記録して絶好調。財務体質は自己資本比率70%以上と極端なまでに健全。手元の現預金として常に8,000億円~1兆円をプールしており、潰れようがない健全ぶり。ただこれは、自社ゲームハードが不振に陥った場合に極端な業績不振に陥るビジネスモデルゆえの財務戦略であり、次世代ゲームハードが失速した場合にも生き残る為の生存戦略である。
就職格付け：S
日本人ならば誰もが知る超有名企業であり、日本を代表する世界的企業の1社。健全なキャラクターゲームが主力であることから、企業イメージも抜群に良く、社会的な好感度も極めて高い。給与水準は平均年収985万円とゲーム業界では断トツ、大手メーカーを優に上回る給与水準にある。福利厚生も極めて恵まれており、家賃補助制度は当然として持家取得後のローン返済にも補助がでる。超人気企業でありながら採用人数は80~120人ほどに過ぎないため、採用を勝ち取るのは超高難易度。採用職種には理工系コース･デザインコース･サウンド系コース･政策企画系コース･事務系コースなどがある。学歴が良いくらいで内定を狙える企業ではまったくないため、何らかの実績･一芸に富むことが必要。強いて言えば、ゲーム業界において断トツの待遇であるため何らかの事情で転職を目指す場合に同業界には行き場がない･下方転職になってしまうことだろうか。