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日本電子の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

日本電子は、電子顕微鏡・理化学機器などを展開する三菱グループの計測機器メーカー。1949年に電子顕微鏡の量産・販売を目指して創業、1950年代には核磁気共鳴装置を国産化。長年に渡る技術蓄積によって50pm(ピコメートル)もの分解能をもつ製品群を有しており、原子レベルの分析を可能としたことで科学技術の進歩に多大な貢献を果たした。現在では電子顕微鏡分野で世界首位級のシェアを誇り、世界2社しか製造できない核磁気共鳴装置も製造できる。2014年からニコンと資本提携しており、親密な関係。

POINT

・電子顕微鏡・核磁気共鳴装置で世界首位級の計測機器メーカー、東京・多摩地域地盤
・売上高・利益は急増傾向で財務体質も改善、半導体業界に業績依存
・平均年収789万円で業界中堅上位、福利厚生も良好で休日日数が多い

業績動向

✔売上高と営業利益

日本電子の売上高は2020年まで950億〜1,100億円ほどで推移していたが、同年以降は増加傾向に。2022年には売上高1,626億円に到達。営業利益は2020年から急増傾向にあり、2022年には241億円に到達。
*1:2020年からの業績好調の理由は、①世界的な半導体業界の活況による電子ビーム露光装置の販売好調、②為替レートの円安推移による為替効果、など。市場規模が小さい学術・研究分野に留まらず、半導体分野への積極進出を図ったことが成長の起爆剤となった。

✔セグメント別の状況

日本電子は、理化学・計測機器事業(電子顕微鏡・核磁気共鳴装置・質量分析計など)、産業機器事業(電子ビーム描画装置・高周波電源など)、医用機器事業(検体ラック・生化学自動分析装置・臨床検査情報処理システムなど)、の3事業を有する。
祖業の電子顕微鏡が含まれる理化学・計測機器事業が売上高の半分以上を占めるが、利益では産業機器事業が約78%を占めており対極的。産業機器事業の高利益率を支えているのは半導体業界向け電子ビーム描画装置であり、半導体業界の活況もあって稼ぎ頭の事業となっている。

✔最終利益と利益率

日本電子の純利益は2020年まで5億~30億円ほどで低迷していたが、同年以降は急激に増加。営業利益率も2020年までは2%〜8%台であったが、直近では14.8%まで上昇。

✔自己資本比率と純資産

日本電子の自己資本比率は右肩上がりで増加しており、直近では50%以上まで到達して安定的な財務基盤を実現。かつては自己資本比率20%台で低迷していたが、昨今の業績好調で急激な財務改善を果たした。純資産も右肩上がりで増加しており、直近では1,019億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本電子の平均年収は長期的に730万~790万円ほどで安定。総合職の場合、30歳で年収500万~557万円、課長職レベルで年収750万~900万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

日本電子の単体従業員数は2020年まで1,900人規模で安定していたが、同年以降は増加傾向。平均勤続年数は直近で16.9年と大手メーカー並みの長さ。

総合評価

企業格付け:CC

■業績動向
2020年から好調期に。半導体業界の活況によって電子ビーム描画装置の販売好調、そのうえ為替レートの円安推移もあって為替効果も享受。営業利益率は14.8%まで上昇しており、売上高・利益いずれも急拡大。が、半導体業界は浮き沈みが激しい業界であるため、好調が今後も続くとは限らない。最近の高利益率も半導体業界向け製品のお陰であるため、半導体業界が不調に陥ると厳しい。

■財務体質
良好。2011年には自己資本比率15%まで低迷していたが、昨今の業績好調によって財務体質の大幅健全化を達成。直近では自己資本比率50%を上回っており、手元の現預金も342億円ほどを確保。今後また業績悪化したとしても耐えきれるだけの財務基盤を築いたと評価できる。

■ビジネス動向
成長ビジョン「70年目の転進」を宣言。”転進”の言葉が示す通り、既存の事業領域に囚われない事業拡大によって高収益・成長を求める。成長マーケットとして半導体・創薬・電池分野を見定めて新製品の開発を急ぐ。半導体分野は早くも大きな成果を生み出しており、2020年からの業績急成長を成し遂げた。2024年の売上高1,700億円・営業利益240億円を目標とする。

就職格付け:CC

■給与水準
業績に関わらず、平均年収700万円以上で長年に渡って安定的。総合職なら30代中盤で年収600万円には到達する。直接的ライバル企業は少ないが、計測機器メーカーとして比較すると業界中堅クラスである。若手の間は給与水準はそれほどだが、勤続を重ねれば年功序列で一定以上の給与水準に到達するのは強み。

■福利厚生
良好。年間休日が129日と多め、そのうえ特別休暇・リフレッシュ休暇も充実。若手社員は独身寮に格安で入寮できるため生活コストを節約できる。退寮後は家賃補助制度で月1万〜2万円ほどが支給される。東京都多摩地域に工場・研究所が集中しており、都会すぎず田舎すぎず、東京都心にもアクセスしやすい企業立地も強味。

■キャリア
技術系は開発・設計・生産技術に加えて、顧客企業まで出向いて技術支援を担当することも。事務系は営業・総務・人事・生産管理など。実力主義の導入を模索しているが、平均年齢が高い組織体制もあって、管理職昇格は優秀であっても40代前半が目安。現経営陣は営業・開発の出身者が多い。

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