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ニコンの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ニコンは、カメラ・レンズ・顕微鏡・半導体露光装置などを主力とする光学機器メーカー。1917年に東京計器から分離独立した企業であり、創業当時は光学兵器の製造を目指していた。戦前は日本軍向けの狙撃眼鏡や測距儀などが主力製品であったが、戦後には民間向け事業に転換。以降はカメラやレンズを主力事業とする他、1980年代には半導体露光装置にも進出。現在ではデジタル一眼レフカメラ・ミラーレス一眼レフカメラで世界シェア上位級。

POINT

1.かつてキヤノンと双璧を為した日本カメラ産業の祖
2.売上高は減少傾向、カメラ事業の衰退が懸念
3.平均年収800万円以上でブランドイメージは良い

業績動向

✔売上高と経常利益

ニコンの売上高は右肩下がりで推移しており、直近では5,396億円まで減少*1。営業利益は安定しないが、過去最高の1,351億円(2008年)と比べると衰退は否めない。
*1:2013年には売上高1兆円を越えて過去最高を記録したが、主力のカメラ事業の売上低迷が衰退の原因。スマートフォンの爆発的な普及でコンパクトデジタルカメラ市場が急激に衰退。安泰と思われた一眼レフカメラも、ミラーレス一眼レフの急成長に追随できずにシェアを落としている。

✔セグメント別の状況

ニコンは映像事業(一眼レフ・コンパクトカメラ・レンズ)、精機事業(半導体露光装置・FPD露光装置など)、ヘルスケア事業(生物顕微鏡・観察装置・検眼眼鏡など)、その他事業の4事業を有する。
かつてカメラで市場を席巻したが、現在ではカメラ市場の衰退によって精機事業が主力事業となっている。精機事業が利益の約94%を占めており、カメラ事業の苦戦が伺える。

✔最終利益と利益率

ニコンの純利益は▲344億円から665億円のレンジで推移している。なお、2018年のみ純利益が好調であるが、これには訴訟和解金190億円が含まれており一過性の要素が強い*2。
*2:蘭ASML・独カールツァイスがニコンの露光装置・デジタルカメラに関連する特許を侵害したとして提起した訴訟(参考資料

✔自己資本比率と純資産

ニコンの自己資本比率は直近で57.5%と高めの水準。衰退企業ではあるが、過去の蓄積が幸いして財務健全性は優良。純資産はほとんど横這いで推移しており、直近では6,000億円レベル。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ニコンの平均年収は直近で811万円とかなり高めの水準。大卒総合職の平均年収は850~950万円程度と推定される。平均年齢は40歳を上回っており、社員の年齢構成はかなり高めとなっている。

✔従業員数と勤続年数

ニコンの従業員数は右肩下がりで減少し続けており、直近では1.84万人まで減少。特に2016年には構造改革による事業整理と早期希望退職を募集したことで、従業員数を約4,000人減らした。平均勤続年数は16年前後とやや長め。

総合評価

企業格付け:B

キヤノンと並んで日本のカメラ産業を長年に渡って支えてきた著名企業としてブランドイメージは上々。ただ、直近10年ではコンパクトデジタルカメラ市場の縮小により、売上高は右肩下がりで縮小。牙城の一眼レフカメラ市場においてもミラーレス一眼レスブームに乗り遅れ、ソニーを筆頭とする新興組にシェアを奪われる状況。半導体製造装置も好調とは言い難いが、2021年には利益の大半を精機事業で稼いでおり、カメラ事業は既に主力事業ではなくなっている。過去の蓄積で当面は安泰だが、事業構造のシフトも必要であろう。

就職格付け:C

企業としての成長性は頭打ちだが、それでもネームバリューと待遇面は悪くない。勤続年数は10年以上で平均年収800万オーバー、社員の待遇と定着性がよい企業である。日本人であれば殆どが知っている有名企業であり企業イメージもよいため、就職先として誇るには十分。かつて2000年代には超優良企業として誰もが羨む就職先であった時期もあり、今なお大卒総合職であれば平均年収800万円は超える。カメラ事業の縮小後の事業改革に成功して再び優良企業に返り咲く可能性に賭けるのも一興。

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