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電機メーカー

ニデックの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ニデックは、HDD向け精密モータ・車載モータなどを主力とする総合モータメーカー。1973年に永守重信が精密モータメーカーとして京都市西区で創業。1980年代以降のコンピュータ普及期にHDD向けモータの大量生産に成功して急成長。1990年代には積極的M&Aを立て続けに仕掛けて企業規模を拡大しつつ、車載向けモータ領域に進出。現在では世界的総合モータメーカーとして知られ、HDD向けスピンドルモータ・車載パワステモータなどで世界シェア首位。最近では電気自動車向けeアクスルのシェア拡大に邁進。

POINT

・京都地盤の世界的な総合モータメーカー、世界シェア首位製品多数
・売上高は右肩上がりで利益も安定的、財務体質も良好
・平均年収686万円だが福利厚生は普通、平均勤続年数11.8年とそこまで長くない

業績動向

✔売上高と営業利益

ニデックの売上高は長期的に右肩上がりの推移が続いており、直近の2022年には売上高2兆円を突破*1。営業利益は売上高ほどは成長していないが、2021年に1,704億円に到達。
*1:ニデックの売上高の増加を牽引しているのは、車載・家電・産業機械向けモータ製品群。車載向けモータは2,713億円(2015年)から5,196億円(2022年)に増加、家電・産業機械向けモータは2,833億円(2015年)から9,139億円(2022年)まで増大している。

✔セグメント別の状況

ニデックは、精密小型モータ事業(HDD用モータ・ブラシレスモータ・ファンモータ・振動モータなど)、車載事業(車載モータ・自動車部品・トラクションモータなど)、家電・商業・産業事業(家電モータ・産業用モータなど)、機器装置事業(ロボット・プレス機器・工作機械など)、電子・光学部品事業(スイッチ・センサ・レンズユニット・カメラシャッターなど)、その他事業(オルゴールなど)、の6事業を有する。
ニデックはHDD向け精密モータで急成長した企業であるが、現在では車載・家電・産業機械向けモータが売上高における主力。HDD向け精密モータは高利益率の優良事業だが、小型製品ゆえに単価が小さいため、高単価な車載・家電・産業機械向けモータの事業拡大に熱心。最近では電気自動車向けeアクスルのシェア拡大による更なる成長を模索。

✔最終利益と利益率

ニデックの純利益は平常時で900億~1,300億円で安定的だが、不調時には400億円前後まで低下する*2。営業利益率は微減傾向にあるが、高単価な車載・家電・産業機械向けモータによって売上高を拡大している副作用でもある。
*2:直近では2022年に純利益450億円まで低下したが、これは同年に車載事業において構造改革費用541億円を計上した為。中国市場における電気自動車向け製品の競争激化による打撃が理由。

✔自己資本比率と純資産

ニデック自己資本比率は40%〜50%台を長年に渡って継続しており、良好。急成長企業でありながら負債に頼りすぎず、財務健全性と成長性を両立。純資産は過去8年間でほぼ倍増しており、直近は1.3兆円規模に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ニデックの平均年収は長期的に600万~680万円ほどで推移。総合職の場合、30歳で年収500万~580万円、課長職レベルで年収830万~950万円が目安。成果を給与に積極反映するため、同年代であっても実力次第で給与レンジが分かれる。

✔従業員数と勤続年数

ニデックの単体従業員数は2018年まで微増傾向が続いたが、同年以降は減少傾向に転換。直近では2,176人ほどの企業規模だが、子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は10.6万人に達する。平均勤続年数は直近で11.3年であり、企業規模の割に従業員の定着は今ひとつ。

総合評価

企業格付け:BBB

■業績動向
成長企業。1990年代までは売上高2,000億円台に過ぎなかったが、現在では売上高2腸炎企業へと躍進。高利益率なHDD向け精密モータで出発した企業だが、より高単価が見込める車載・家電・産業機械向けモータへの拡大によって急成長。過去70件以上の企業買収を経験しており、戦略的M&Aによる事業拡大の巧者としても知られる。

■財務体質
良好。M&Aによる他社買収を繰り返しつつも、無理な買収はしていない。自己資本比率は50%前後で推移し続けており、負債に依存しすぎない事業運営を志向。長年に渡って成長を支えてきたHDD向け精密モータ事業は営業利益率10%以上を安定確保してきた高収益事業であり、当社の財務体質の強化に大きく貢献している。

■ビジネス動向
中期戦略目標「Vision2025」では、2025年度に売上高4兆円・営業利益率15%を目標に掲げる。が、2022年度の売上高2.24兆円・営業利益率4.46%であり現実味は薄め。成長事業でありながら2022年に赤字転落した車載事業は2023年には黒字転換を達成する見通しであり、同事業の再建は徐々に進捗中。売上高4兆円の達成に向けて新たな企業買収も検討中だが、現時点では目立った動きなし。

■創業者カラー
たった1代で世界企業を生み出した立志伝中の創業社長・永森重信の”永守イズム”が重視される。キーワードは「情熱・熱意・執念」「すぐやる、必ずやる、出来るまでやる」「知的ハードワーキング」。かつては社長自身が「元日の午前以外は休まない」を掲げるモーレツ企業であったが、最近では「生産性向上・残業ゼロ」へと方針転換。甘い会社ではないが、ブラック企業ではない。

就職格付け:CCC

■給与水準
平均年収600万円台で推移しており、大手電機メーカー・工作機械メーカーには今一歩及ばない水準。2020年には前年の業績悪化を受けて平均年収587万円まで後退したが、一時的な利益減少で平均年収600万円を割り込むのは痛い。管理職クラスの年収レンジは高めに設定されているが、一般従業員の給与水準は売上高1兆円企業の割には低め。

■福利厚生
普通。若手社員には独身寮が手配されるが、家賃補助制度はなし。退寮後は勤務地に応じた勤務地手当が月額2万〜3万円ほど支給されるが、35歳に半減して40歳以降は支給なし。社長方針で残業時間は削減されているが、平均勤続年数は10年余と企業規模の割には長くはない。

■キャリア
実力主義。能力がある優秀な社員は30歳過ぎでリーダーに昇格、35歳過ぎには管理職へと昇格する。高評価なら昇給・昇格が早いが、低評価だと降格・減給となる。年功序列による温情的昇給は殆どないため、活躍がない社員は給与が頭打ちになる。良くも悪くもメリハリがある人事制度であるため、企業理念に忠実に立ち回りつつ成果をしっかりだす覚悟が必要。

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