カテゴリー
石油資源会社

住友金属鉱山の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

住友金属鉱山は、鉱山開発・精錬・素材生産を展開する住友グループの非鉄金属系の資源会社。住友グループの源流企業であり、1590年に蘇我理右衛門が銅吹所として創業。1690年に別子銅山を開発、1973年の閉山まで日本経済を銅採掘で支えた。1980年代からは菱刈鉱山で金採掘を進める他、海外へ資源開発・精錬を展開。現在では素材メーカーとして磁石・電池材料・触媒なども供給するほか、非鉄金属分野では権益量・生産量で世界トップ5社に食い込む。

POINT

・銅・ニッケルなどの採掘・精錬で世界的な資源開発会社、住友グループの源流企業
・売上高・利益は資源バブルで急騰するも一過性、財務体質は優良
・平均年収834万円で大手メーカー並み、福利厚生は住宅補助が恵まれている

業績動向

✔売上高と営業利益

住友金属鉱山の売上高は長期的に8,500億~9,300億円で推移していたが、2021年から急増*1。2022年には売上高1.42兆円に到達。営業利益も2021年から急増、同年以降は1,800億〜2,000億円ほど。
*1:業績好調となった要因は、①世界的な資源価格高騰によって銅・ニッケル価格が上昇したこと、②電気自動車の生産台数増加によってバッテリー正極材として使用されるニッケルの拡販に繋がったこと、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

住友金属鉱山は、資源事業(国内外における非鉄金属資源の探査・開発・生産など)、精練事業(金・銀・プラチナ・銅・ニッケル・フェロニッケル・亜鉛などの精練・販売など)、材料事業(電池材料・磁性材料・近赤外線吸収材料・結晶材料・気泡コンクリートなど)、その他事業(不動産事業・エンジニアリング事業など)、の4事業を有する。
2021年から世界的に資源価格が高騰。銅・ニッケルなど非鉄金属価格が上昇したことで、精錬事業の売上高・利益が急増している状況。2022年には精錬事業だけで売上高1兆円を突破しており、当社の稼ぎ頭の事業となっている。

✔最終利益と利益率

住友金属鉱山の純利益は資源価格に左右されやすいこともあり、不安定。2020年まで0億~900億円で推移しており年度によって好不調が分かれていたが、2021年以降は急増傾向*2。営業利益率は増加傾向にあり、直近では13%ほどの水準。
*2:2021年は世界的な非鉄金属価格の上昇に加えて、チリ・シエラゴルダ銅鉱山の全持分譲渡による売却益743億が加わったことが急増の原因。持分譲渡による売却益はあくまでも一過性要因であるため、2022年には純利益が減少。

✔自己資本比率と純資産

住友金属鉱山の自己資本比率は長期的に60%以上で長期的に推移しており、財務基盤は安定的。純資産は2021年から急増しており、直近では1.79兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

住友金属鉱山の平均年収は長期的に780万~830万円ほどで安定。総合職の場合、30歳で年収600万~650万円、課長職レベルで年収1,050万~1,200万円が目安。平均年齢は2018年から低下傾向にあり、直近では41.5歳まで若返った。

✔従業員数と勤続年数

住友金属鉱山の単体従業員数は2017年まで微増傾向にあったが、同年以降は1,050人前後で横ばい。平均勤続年数は2018年まで20年を上回って推移していたが、同年以降は減少傾向。2022年には18年まで低下したが、依然として高水準である。

総合評価

企業格付け:BBB

■業績動向
急増傾向。世界的な資源価格の高騰を追い風に、2021年から売上高・利益いずれも過去最高を更新して絶好調。が、あくまでも資源価格高騰・円安に支えられた好調であるから、一過性の好調に過ぎない。2023年は純利益460億円まで後退する見通しであり、元の利益水準へと戻るのは既定路線。

■財務体質
良好。良くも悪くも資源価格に業績を大きく左右される事業であるために財務健全性には相当の注意が払われている。自己資本比率60%以上を長年に渡って維持し続けており、負債への依存度も低い。当社は450年以上に渡って存続してきた老舗企業であり、数々の戦争・災害を乗り越えて生き残ってきた実績もある。

■ビジネス動向
中期経営計画では「世界の非鉄リーダーをめざす」を合言葉に拡大路線を示唆。長期ビジョンとして純利益1,500億円を掲げているが、目標生産量としてニッケル⽣産量15万トン/年・銅権益分⽣産量30万トン/年が掲げられている。業績目標で生産量を掲げるのは珍しい。中長期的には電気自動車の販売増によるニッケル需要の増加を見越しており、ニッケル権益の拡張にも意欲的。

就職格付け:BB

■給与水準
大手メーカー同等水準。平均年収780万~830万円ほどで安定しており、大卒総合職なら30歳で年収600万円は優に超える。リーダークラスになれば年収800万円を超え、課長職レベルで年収1,100万以上。業績は年度により好不調がはっきり分かれるが、賞与額はあまり業績に連動しておらず、良くも悪くも安定的である。

■福利厚生
企業規模相応。若手社員には独身寮が整備されており、月1万円以下で入居可能。が、築50年以上の風呂トイレ共同物件も多数ある。退寮後は借上げ社宅制度・家賃補助制度を選択することになるが、家賃補助額は2万円/月ほどであるため借上げ社宅の方が圧倒的にコスパが良い。借り上げ社宅を選べば年額50万円以上の節約になるため、生活水準は見た目の年収以上。

■キャリア
事務系・技術系の2職種制。資源開発という事業ゆえに、技術系では鉱物学・岩石学・構造地質学などの専攻者も有利。年功序列色があるものの優秀であれば入社10年強で管理職まで到達することも制度上は可能。主力工場は愛媛・鹿児島に集中であるため生産系技術職は同地での勤務可能性が高い。

■労働災害が多い
鉱山開発という業種柄、労働災害が多い。2000年代は年間60件以上の労働災害で従業員が死傷しており、2020年代においても年間20件以上の労働災害が国内だけで発生。2020年には死亡事故について労働安全衛生法違反の罪で略式起訴も受けている。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!