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出版印刷会社

凸版印刷の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

凸版印刷は、印刷テクノロジーを中核として印刷・電子部品・包装材・ITソリューションなどを展開する総合印刷会社。1900年に大蔵省印刷局に在籍していた木村延吉と降矢銀次郎が創業、1908年に株式会社として設立。長年のライバルである大日本印刷と共に、戦前から海外の印刷技術を輸入して国内印刷業を牽引してきた最大手企業。1950年以降は印刷テクノロジーを核とした事業多角化を推進、現在では印刷業以外が売上高の半分以上。印刷会社としての売上高は世界1位、世界最大の印刷会社である。

POINT

1.世界最大の総合印刷会社、印刷業に依存しない事業多角化を推進
2.売上高は1.5兆円規模で停滞するも利益は成長基調、過去最高益も更新
3.平均年収700万円と普通、独身寮はあるが家賃補助はない

業績動向

✔売上高と営業利益

凸版印刷の売上高は1.5兆円前後で極めて安定的に推移しており、成長も衰退もない状況が続いている*1。営業利益は緩やかな成長が続いており、直近では735億円に到達。
*1:凸版印刷の売上高は横這いが続くが、その内訳は徐々に変化している。最近では情報コミュニケーション事業の売上高が減少しつつも、エレクトロニクス事業の売上高が伸長。エレクトロニクス事業は営業利益率も高い為、利益面にも追い風となっている。

✔セグメント別の状況

凸版印刷は情報コミュニケーション事業(証券・通帳・カード類・ビジネスフォーム・広告宣伝物&書籍等の印刷・BPO事業)、生活産業事業(軟包材・プラスチック成型品・フィルム・建装材)、エレクトロニクス事業(液晶フィルタ・TFT液晶・フォトマスク・半導体パッケージなど)の3事業を有する。
凸版印刷は事業多角化が進んだ企業であり、売上高の約57%を印刷・ICカードの情報コミュニケーション事業に頼りつつも残43%を他事業で支える構造。利益面においては生活産業事業とエレクトロニクス事業が占める割合が既に半分以上を占めている。

✔最終利益と利益率

凸版印刷の純利益は成長基調が続いており、直近では1,232億円に到達して過去最高を更新*2。営業利益率は緩やかな上昇が続いているが依然として4.75%前後の水準であり、そこまで高くはない。
*2:2022年はエレクトロニクス事業における半導体関連の売上高・利益率が急改善、営業利益は前年比2.5倍に急増。更に政策保有株として保有していたリクルート株を売却したことで特別利益434億円も計上したことで、過去最高益を更新。

✔自己資本比率と純資産

凸版印刷の自己資本比率は緩やかな増加傾向が継続、直近では59.7%に到達。安定した利益体質を加味すれば倒産リスクとはおよそ無縁。純資産も成長基調が継続しており、2020年には1.45兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

凸版印刷の平均年収は直近で700万円、世界最大の総合印刷会社のイメージの割には大手メーカーにやや劣る水準。平均年齢は緩やかな増加傾向にあり42.9歳に到達しているが、大手企業としては普通の水準。

✔従業員数と勤続年数

凸版印刷の従業員数は5万人レベルの水準で安定。平均勤続年数は減少傾向にあり、直近では13.3年となっている。大手企業としてはやや短め。従業員数が増えていないにも関わらず平均勤続年数が短くなっていることから離職による入れ替わりがあると推定される。

総合評価

企業格付け:B

世界最大の総合印刷会社にして、印刷・電子部品・ITソリューションなど事業多角化が進んだ大手企業。衰退が進む印刷業に依存しない事業ポートフォリオ構築に成功した企業であり、液晶カラーフィルタでは世界シェア首位。最近では印刷会社でありながらITソリューションにも注力しており、顧客企業へデジタルトランスフォーメーションの積極提案を推進。業績は堅調であり、売上高こそ横這いであるものの、営業利益・純利益の成長は続いており2022年には過去最高益を更新。財務も堅実かつ安定しており、過去の蓄積により自己資本比率60%近い水準にある。

就職格付け:CC

業績・財務は堅実であり、特定事業に依存しない事業ポートフォリオを保有しており当面安泰。採用職種は営業系・企画系・技術系に分けられている。特に企画職はマーケティング戦略・企画などのクリエイティブ領域に特化したキャリアを歩めるため、広告業界との併願に向いている。ただ、平均年収の低さは課題であり、世界最大の総合印刷会社の割に平均年収700万円どまり。2021年までは平均年収600万円台であり、給与が伸びたとはいえ依然として夢はない水準に留まる。格安で入居できる独身寮はあるものの、家賃補助制度はないため都市部での生活の場合に余裕はあまりない。

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