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京浜急行電鉄の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

京浜急行電鉄は、神奈川県・東京都において鉄道事業・バス事業・百貨店行・不動産業などを展開する大手鉄道会社。1899年に国内3番目となる私鉄会社・大師電気鉄道として創業。1930年には金沢八景までの延伸を果たして三浦半島の開発に貢献した他、バス事業にも参入して事業領域を拡大。戦時下には東急電鉄・小田急電鉄京王電鉄などと国策合併を強いられたが、終戦後には分離独立。現在では品川・羽田・横浜エリアの再開発に注力、三浦半島の豊富な観光資源を生かしたレジャー事業も展開。起動加速度が高い車両を多数配備しており、最高速度120km/hへの到達が早いことでも有名。

POINT

・神奈川県・東京都が地盤の大手私鉄、鉄道事業への依存度が同業他社より高め
・売上高は2020年に急減して利益も停滞、有利子負債も同業他社より多め
・平均年収672万円で同業他社より低め、年間休日104日と少ない

業績動向

✔売上高と営業利益

京浜急行電鉄の売上高は2019年までは3,100億〜3,300億円前後で推移してきたが、2020年に売上高2,350億円まで激減。同年以降は回復途上にあるが、2022年でも2,530億円に留まる*1。営業利益も2019年まで300億~400億円前後で推移していたが、こちらも2020年に激減。
*1:京浜急行電鉄はCOVID-19感染拡大により大打撃を被った1社。外出自粛により鉄道需要が激減したうえ、グループ会社のタクシー・バス・ホテルなども大打撃を受けた。

✔セグメント別の状況

京浜急行電鉄は、交通事業(鉄道・バス・タクシーなど)、不動産事業(不動産分譲・賃貸など)、レジャー事業(ホテル・レストラン・ゴルフ場運営・レジャー施設など)、流通事業(百貨店・ストアなど)その他事業(鉄道車両整備・建設・ビル管理など)、の5事業を有する。
京浜急行電鉄は鉄道などの交通事業が売上高に占める割合は約38%に過ぎず、鉄道が売上高に占める割合は高くない。直近の2022年はCOVID-19影響で交通事業が赤字転落している為、不動産事業が全社利益の半分以上を占めている。

✔最終利益と利益率

京浜急行電鉄の純利益は2019年まで150億~220億円ほどで推移していたが、2020年に▲272億円の大赤字に陥った。2022年には純利益158億円まで回復しているが、保有する不動産を売却した特別利益が主要因*2。営業利益率は2019年まで9%~11%の高水準で推移してきたが、同年以降は振るわない。
*2:2022年は京急第2ビル・京急第7ビル・金沢八景第1京急ビルを売却して特別利益132億円を追加したことで大幅増益となった。あくまでも一過性要因であり、本業回復には至っていない。

✔自己資本比率と純資産

京浜急行電鉄の自己資本比率は長期的に25%~30%で推移。鉄道会社は自己資本比率が高まりにくい傾向*3があるが、同業他社と比べても低めの水準。純資産は2018年まで安定増加していたが、同年以降は横ばいで伸び悩む。
*3:鉄道会社は鉄道車輛や線路の維持管理に膨大な設備投資資金を要する特性があり、自己資本比率は他業界と比べて低めとなる特徴がある。ただし、安定したキャッシュフローが得られる業態であるため自己資本比率がやや低めであったとしても大きな問題とはならない。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

京浜急行電鉄の平均年収は2021年を除けば650万~690万円ほどの水準で推移。総合職の場合、35歳の課長補佐職で年収720万~800万円、課長職レベルで年収900万~970万円が目安。同じく神奈川県を地盤とする小田急電鉄・京王電鉄と比べると給与水準はやや低い。

✔従業員数と勤続年数

京浜急行電鉄の単体従業員数は2017年に子会社を吸収合併したことで急増*4。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は8,600人規模。平均勤続年数は直近で16.3年と大手企業の標準的水準だが、鉄道会社としては長くない部類。
*4:2017年10月に子会社の京急ステーションサービスを吸収合併したことで単体従業員数が増加。同社は駅構内での案内・事務業務を主力としていたが、鉄道事業を強化する方針により合併された。

総合評価

企業格付け:CCC

■業績動向
COVID-19の大打撃から回復途上。売上高3128億円(2019年)から2,350億円(2021年)への極端な売上高の急落に直面。2022年でも売上高2,530億円までしか回復しておらず、全盛期には程遠い。同業他社と比べても鉄道事業への依存度が高めであった為、他事業での挽回にも限界がある。リモートワークが一気に普及したことで相当の通勤需要を失った点は将来的にも尾を引く。

■財務体質
負債比率が高い。有利子負債は4,874億円と巨額であり、純資産2,522億円を大きく上回る。企業規模で当社を上回る小田急電鉄・京王電鉄よりも有利子負債比率が高く、自己資本比率は30%弱。もともと鉄道事業への依存度が高かった為にCOVID-19影響も厳しく、利益率が低下するなかで将来的に有利子負債が重荷となるリスクもあるか。

■ビジネス動向
アフターコロナの事業環境に適応すべく中期経営計画を策定。鉄道事業依存型の事業展開を転換、不動産事業を拡大して第2の柱とする事業形態への改革を急ぐ。鉄道・バス・ホテルはローコストオペレーション化を進めて、利益率の改善を図る方針。品川・横浜・羽田を「成長トライアングルゾーン」として再開発に注力。2020年から羽田空港の発着枠が拡張され国際線が増強されたことを受け、外国人観光客の取り込みにも意欲を示す。

就職格付け:CCC

■給与水準
平均年収672万円と関東大手私鉄のなかでは中堅下位。大卒総合職の場合はそれなりの給与水準が設定されており、30歳過ぎに課長補佐へと昇進すると年収700万円以上、課長まで昇進すれば年収900万円は超える。賞与が年4回支給されるが、1回あたりの支給額が少ないため総額としては普通レベルである。

■福利厚生
企業規模なり。独身寮は若手社員向けに一部整備されているが、家賃補助制度は「転勤がない」ことを理由に存在しない(転勤がなくとも家賃補助を支給する会社も世間には多いが…)。総合職・鉄道現業職いずれも年間休日104日と休日が少ないことは理解しておきたい(日系大手メーカーは120日前後が相場、同じく神奈川県地盤の小田急電鉄は123日である)。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職・鉄道現業職の3職種制。総合職は将来の京急グループ幹部候補として育成されるため、30歳過ぎで課長代理・30代後半には課長へと昇進するスピード感で出世していく。総合職は5年間隔で部門を跨いだ大きな異動があり、ジョブローテーションにより大局観・人脈・経験値を身に着けることが要求される。

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