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機械メーカー

不二越の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

不二越は、工作機械・ロボット・工具・ベアリングなどを製造販売する総合機械メーカー。1925年に工具製造を目指して創業。1925年には国産工具として昭和天皇の謁見を受け、この時の御召艦にちなんで「那智(Nachi)」をブランド名に。戦後には産業用ロボットや油圧機器へと進出、総合機械メーカーへと多角化を果たした。創業地・富山県では名門企業として知られ、不二越病院・不二越迎賓館なども運営。現在では、ブローチ工具で世界シェア1位、産業用ロボットで世界シェア4位、ベアリング国内シェア4位。

POINT

・工作機械・産業用ロボット中堅、富山県では地元を代表する名門企業
・売上高・利益は急増傾向で財務体質も改善、半導体業界に業績依存
・平均年収万円665万円で業界中堅上位、住宅補助が極めて手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

不二越の売上高は長期的に2,200億〜2,600億円ほどで安定的。2020年には売上高2,011億円まで急落したが、その後3年間で回復。営業利益は2020年を除けば100億〜170億円で安定的。
*1:2020年に売上高・利益が後退した理由は、①COVID-19感染拡大により大手メーカーが軒並み工作機械・産業用ロボットなどへの設備投資を手控えた点、②主要顧客の自動車メーカーがCOVID-19感染拡大により減産を進めた点、に起因。

✔セグメント別の状況

不二越は、機械工具事業(研削盤・ブローチ盤・産業用ロボット・制御装置・工具など)、部品事業(ベアリング・油圧機器・ロックアクチュエータなど)、その他事業(工具鋼・合金工具鋼・運送・情報処理システム・受託加工サービスなど)、の3事業を有する。
祖業の機械工具事業が売上高に占める割合は約32%まで低下しており、現在では部品事業が売上高の約60%を占めるまでに成長。しかし利益面では機械工具事業が過半数を占めており、今なお利益貢献が大きい事業となっている。

✔最終利益と利益率

不二越の純利益は概ね80億~120億円ほどで推移している。景気後退局面では20億~35億ほどまで後退するが、過去10年強は赤字転落なく推移している。営業利益率は3%~6%台で推移しており、高くも低くもない。

✔自己資本比率と純資産

不二越の自己資本比率は緩やかな増加傾向が継続しており、直近は43.9%に到達。2009年には自己資本比率26%まで低迷したが、大きく改善。純資産も増加傾向が続いており、直近では1,695億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

不二越の平均年収は長期的に620万~660万円で安定しているが、2020年は514万円まで後退*2。総合職の場合、30歳で年収450万~530万円、課長職レベルで年収850万~950万円が目安。
*1:2020年はCOVID-19感染拡大により冬ボーナスをカットしたことで平均年収が約100万円の減少。利益減少したとはいえ黒字確保したにも関わらず、従業員のボーナスを大きく削減しているのは厳しい。

✔従業員数と勤続年数

不二越の単体従業員数は2021年まで増加傾向が続いていたが、同年以降は頭打ちで推移。直近の2022年は3,226人ほどの企業規模だが、子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は7,200人以上。平均勤続年数は直近で15.2年と大企業の標準的な水準。

総合評価

企業格付け:CC

■業績動向
可もなく不可もなし。過去10年間は売上高2,500億円弱で安定的、利益も2020年を除けば100億〜170億円で安定。が、2022年は原材料高を価格転嫁しきれずに純利益60億円台まで利益減少しており、2023年も同水準の見込み。事業環境は悪くないはずだが、当社の業績は伸び悩んでいる。

■財務体質
改善傾向。利益率は高くないが過去10年間に渡って地道に黒字を積み上げてきたことが幸いして、財務健全性が拡大。直近では自己資本比率43.9%まで改善を果たした。工作機械メーカーは景気後退局面で業績低迷しやすいが、多少の業績悪化なら順番に耐えられる水準にある。

■ビジネス動向
前中期経営計画では「2020年までに売上高3000億円・利益270億円」を掲げていたが、達成できず。2021年以降は世界的な人手不足・人件費高騰を追い風に産業用ロボット・自動化設備への投資がブームとなったが、当社は追い風を掴み切れていない。事業環境は追い風が吹いているものの、競争力が傑出しているわけでもないため利益率は伸び悩む。主要顧客の自動車メーカー向けに、電気自動車の生産を見据えた工作機械・ロボットの拡販を図ろうとしているが、成果は未知数。

就職格付け:CCC

■給与水準
業界中堅級。平均年収600万〜650万円台で推移しているが、業績悪化すると賞与カットで平均年収500万円台に後退することも。が、昇進すると給与は大きく伸びる。主任以上に昇格すると年収700万円を優に超え、課長職レベルなら年収850万〜950万円ほどに達する。ただし、福利厚生が優れるため、見た目の平均年収以上の生活水準である。

■福利厚生
極めて良い。住宅補助が特に手厚く、従業員の満足度は高い。独身寮は8,000円程度で入居でき、借上げ社宅は年齢制限がないうえ90%が会社負担。社員食堂も格安であり、食費も安い。住宅費・食費の多くを会社が負担するため、見た目の平均年収+100万円ほどのメリットがある。富山県には当社運営の不二越病院もあり、従業員の生活を包括的に支えている。

■キャリア
入社後は事務系・技術系いずれと大半が富山県内の主力事業所へと配属される。営業職の場合は商品知識・営業スキルを得たあとは全国各地の営業拠点に配属となるが、技術職の場合はキャリアの大半を富山県内で過ごすケースが殆ど。年功序列色が強いため、昇進のためには勤続年数を重ねることも大切。語学力育成に力を入れており、新卒社員は2ヶ月程度の海外語学研修へと派遣される。

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