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マルハニチロの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

マルハニチロは、①漁業・養殖などの水産資源トレード、②缶詰・冷凍食品などの加工食品を主力事業とする水産物系大手食品会社。2014年に水産加工大手のマルハとニチロが対等合併したことで誕生。合併前まで遡れば約140年間に渡って日本の水産事業を牽引してきた水産系最大手であり、マグロ・カンパチ・タコ・エビなどの流通において国内シェア最大手の一角。冷凍食品においても業界最大手であり、国内シェアは日本水産に続く第2位である。民間企業として初めてクロマグロ完全養殖にも成功した実績をもつ。

POINT

1.水産会社最大手の一角、水産物トレーディングが主力事業
2.売上高はやや伸びるが利益率が低い、財務体質も負債が多いがゆえに弱め
3.平均年収742万円だが、家賃補助・社宅を全廃止で魅力度が一気に低落

業績動向

✔売上高と営業利益

マルハニチロの売上高は8,800億~1兆円レベルで安定的。2020年には8,100億円まで減少したが、2021年頃から増加傾向に転換*1。営業利益は170億~250億円のレンジで推移してきたが、2021年はやや増加。
*1:2020年の売上高の減少はCOVID-19感染拡大による外食需要の激減で高級魚などの水産商品が価格下落したことが主要因。2022年の売上高増加は、世界的な物価高騰による水産資源の価格上昇が主要因。

✔セグメント別の状況

マルハニチロは、水産資源事業(漁業・養殖・水産資源の調達販売、加工食品・すり身の生産など)、加工食品事業(冷凍食品・缶詰・ちくわ・フリーズドライ製品など)、食材流通事業(水産商材や業務用食材の提案販売など)、物流事業(冷凍品の輸配送)、その他事業(不動産など)、の5事業を有する。
マルハニチロは缶詰・冷凍食品のイメージが先行するが、水産資源事業が売上高・利益を支えるコア事業となっている。漁業・養殖などの調達から供給までを一気通貫で担える水産物サプライヤーとして年間70万トン以上の水産物を取り扱っている。

✔最終利益と利益率

マルハニチロの純利益は50億~180億円ほどの水準で推移、年度により好不調は分かれるが純利益は堅実に確保できている*3。営業利益率は2%程度で長年推移しており、大手食品会社としては利益率が低め。

✔自己資本比率と純資産

マルハニチロの自己資本比率は緩やかな増加傾向が続いているが、直近でも30%未満と低めの水準であり負債比率が高い*2。純資産は長年に渡って増加が続いているが、直近でも純資産2,125億円と企業規模の割には少なめ。
*2:大手食品会社は自己資本比率が40%~60%程の会社が多いため、業界内では相対的に財務基盤が強くない印象が際立ってしまう事情がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

マルハニチロの平均年収は700万~740万円ほどの水準で極めて安定的。年功序列職が強い給与制度となっており、大卒総合職の場合では30歳で年収500万~600万円ほど。40歳の課長代理で700万~750万円。課長職レベルで年収850万~950万以上。

✔従業員数と勤続年数

マルハニチロの単体従業員数は1,500人~1,600人ほどの水準で安定的。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.28万人ほど。平均勤続年数は直近で15.9年と大手食品会社としては平均的水準。

総合評価

企業格付け:CCC

日本の水産業を牽引してきたリーディングカンパニーであり、日本水産と双璧を為す企業。「あけぼのさけ」や「さば水煮」などの缶詰製品や冷凍食品などのイメージが強いが、コア事業は水産資源のトレーディング。水産権益の確保から漁獲、調達、加工製品化までを一気通貫で担う業界大手である。業績は売上高・利益いずれも安定的だが、利益率は低い。営業利益率は長年に渡って1%~2%ほどの水準にあり、低利益率な印象。財務体質も自己資本比率30%にようやく近づいてきた状況であり、財務基盤が固い企業が多い食品業界においては見劣りしてしまう。今でこそ水産トレーディングが主力事業であるが、歴史的には遠洋漁業会社であったことで著名。1960年代には800隻以上の船団を保有して世界中の海で漁獲をしていたが、1977年に200海里規制が導入されたことで漁場を喪失。それからは水産トレーディングを主力事業とする水産会社として変革し、現在に至る。

就職格付けCC DDD

冷凍食品・缶詰などで国内シェア上位の為、一般社会においても良く知られた企業。水産資源の持続可能性にも正面から向き合っており、乱獲が進むクロマグロの完全養殖を実現する等の社会貢献も著名。平均年収は700万円台前半で長年安定しており、食品会社としては業界トップ級には遠いものの中の上レベルの待遇。が、最悪なのは家賃補助制度・社宅制度を2022年の新人事制度で一気に廃止したこと。表面上は「家賃補助を受給する社員/しない社員の公平化」を謳うが、社員間で異なるバックボーン(既婚/独身や実家暮らし/上京一人暮らしなど)を無視して一本化するのは却って不公平である。福利厚生の廃止と引き換えに基本給は引き上げられたが、平均年収の上がり幅は限定的であり不利益変更の感は否めない。30代で年収500~650万円と大手企業の中では給与水準は特段高いともいえず、家賃補助・社宅などの恩恵もないのは辛い。水産業に大きな志がないのであれば、待遇面を動機に目指すことはないだろう。

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