カテゴリー
電機メーカー

フジクラの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

フジクラは、電力ケーブル・光ファイバ・情報通信機器・自動車向けワイヤハーネスを主力製品とする電機メーカー。1885年に藤倉善八が綿巻線の製造を目指して創業。1890年にはゴム巻線の国産化に成功して、日系電線メーカーの雄として躍進。1970年代から光ファイバの研究開発を進め、現在では情報通信機器・光ファイバも主力事業の一角。自動車向け電装品にも強く、独フォルクスワーゲンと親密。同業の住友電気工業古河電気工業と並んで電線御三家と称され、企業規模は業界3位。光ファイバ融着機で世界シェア首位、フレキシブルプリント基盤では世界シェア3位を掌握。

POINT

1.電線メーカー御三家の一角、光ファイバなど情報通信分野でも世界的
2.売上高・利益いずれも急改善、財務体質は良化傾向だが普通レベル
3.平均年収769万円だが業績次第で大きく変動、住宅補助が手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

フジクラの売上高は2020年まで6,500億〜7,400億円ほどで推移してきたが、2022年は売上高8,065億円に急増。営業利益は2020年に急落*1したが、2022年は702億円に急増して過去最高を更新*2。
*1:2020年の業績悪化は、①光通信分野で中国メーカーとの価格競争激化による市況悪化、②COVID-19感染拡大による混乱で自動車向けワイヤーハーネスの売上急落、に起因。
*2:2022年の業績好調は、①世界的なデータセンター投資ブームによる情報通信分野の販売好調・高利益商品の拡販、②光ファイバ・電力ケーブルの需要急増による利益率改善、③為替レートの円安推移による為替効果、に起因。

✔セグメント別の状況

フジクラは、エネルギー・情報通信事業(電力ケーブル・通信ケーブル・光ファイバ・ネットワーク機器など)、エレクトロニクス事業(プリント配線板・電子ワイヤ・ハードディスク部品・各種コネクタなど)、自動車事業(自動車向けワイヤハーネス・電装品)、不動産事業(不動産賃貸など)、その他事業(新規事業など)の5事業を有する。
売上高・利益いずれもエネルギー・通信事業が過半数を占めており、稼ぎ頭の事業となっている。エレクトロニクス事業は売上規模こそ劣るが利益率が高いため全社利益への貢献しろが大きい反面、自動車事業は赤字転落しており利益貢献がない。

✔最終利益と利益率

フジクラの純利益は年度によって好不調がハッキリと分かれる。2019年・2020年は純損失に転落した反面、2021年・2022年には利益急増を謳歌*3。営業利益率は長期的に0%~8%で推移しており、上下変動が大きい。
*3:当社の利益率が不安定である理由は、①主力事業がいずれも景気動向に需要が大きく左右される点、②光ファイバ・電子部品は市況次第で販売価格が大きく変動する点、に起因。

✔自己資本比率と純資産

フジクラの自己資本比率は長期的に30%~40%ほどで推移しており、財務体質は普通。2019年には業績悪化で急落したが、同年以降は回復傾向。純資産も2019年に急減したが、最近の業績好調によって2022年には純資産2,944億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

フジクラの平均年収は700万~760万円ほどで推移している。2020年のみ前年の業績悪化により低下したが、同年以降は元の水準に回復。総合職であれば30歳で500万円~650万円ほど、課長職レベルであれば900万~990万円に達する。

✔従業員数と勤続年数

フジクラの単体従業員数は長年に渡って2,400人~2,600人規模で推移してきたが、2022年には2,108人に減少*3。平均勤続年数は16年~17年前後で推移しており、従業員の定着のよさは大手メーカーなり。
*4:2022年に従業員数が減少した理由は、①フレキシブルプリント基盤の製造・販売機能をフジクラプリントサーキットとして会社化したことが主要因。

総合評価

企業格付け:B

■業績動向
景気動向に左右されやすい。主力製品の光ファイバ・フレキシブルプリント基盤・自動車向けワイヤーハーネスはいずれも景気動向に販売・価格が大きく左右される。2020年には著しい市況悪化に苦しんだ反面、わずか2年後には過去最高レベルの好業績を叩き出すなど良くも悪くも安定感はない。

■財務体質
普通。直近の2022年は自己資本比率40%強と良好だが、景気動向に業績を左右されやすい点を考慮すると万全とは言えない。2019年の業績悪化では巨額損失によって自己資本比率26%までの急落しており、より強固な財務体質を構築して不況到来に備えたい所。

■ビジネス動向
新たな中期経営計画では、重点領域として「情報インフラ・データセンター・情報端末(含コネクテッドカー)」を選定。利益率が低迷する自動車向けワイヤーハーネス事業の規模縮小を模索しつつ、需要拡大が続くデータセンター等の情報通信分野への集中を決意。光ファイバの高密度化による技術革新にも意欲的。

就職格付け:B

■給与水準
メーカー上位級。電線御三家では住友電気工業には及ばず、古河電気工業に勝るとも劣らない。総合職なら30歳600万円・35歳650万円が目安だが、住宅補助が手厚いため実生活水準は見た目の数字以上。課長職になれば年収900万円を超えるが、年収1,000万円は次長クラスを目指す必要。

■福利厚生
良好。家賃補助制度・借上げ社宅制度いずれも整っており、住宅補助が手厚い。若手社員なら1万円/月未満で独身寮に入れるうえ、結婚しても35歳まで借上げ社宅に住める。節税効果もあわせた実質的な所得は見た目の平均年収+100万円は見込める。

■キャリア
事務系・技術系の2ルートが存在。事務系総合職は営業・人事・経理・法務などのコーポレート部門に配属され、技術系総合職は技術営業・開発・生産技術・品質保証に配属される。年功序列色が強く、リーダークラスへの昇進は30代中盤から。

■一般知名度・世間体
事業規模の割に一般知名度は低い。取扱製品が電線・光ファイバゆえに一般消費者には馴染みはない。どちらかと言えばゴルフクラブを製造するグループ会社の藤倉コンポジットの方が有名かもしれない。が、平均年収・福利厚生の待遇を思えば、下手な大手企業にも勝るポテンシャルがあるので惜しい。隠れ優良メーカーを探す場合には有望株かも。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!