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機械メーカー

アマダの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

アマダは、レーザーマシン・パンチプレス・研削盤などを展開する大手工作機械メーカー。1946年に天田勇が開いた機械修理店を源流とし、1955年に国産初となるバンドソーを完成させたことで工作機械メーカーへと転身。顧客企業へ実機を運び込んでデモをする体験型販売によって国内有数の工作機械メーカーへの躍進を果たし、1980年代には欧米市場へと海外進出。現在では板金加工分野で国内シェア約70%を掌握し、工作機械メーカーとして世界4位の規模を誇る。

POINT

・板金機械に強い世界的工作機械メーカー、神奈川県地盤
・売上高・利益は2021年から急回復、営業利益率10%以上を安定確保
・平均年収667万円で業界中位、2025年までに平均15%の賃上げ予定

業績動向

✔売上高と営業利益

アマダの売上高は長年に渡って2,700億〜3,300億円で推移していたが、2022年は過去最高となる3,657億円に到達*1。営業利益も長年に渡って330億〜450億円で推移しているが、2022年は過去最高となる498億円に到達。
*1:2022年の業績好調は、①世界的な人件費高騰により製造業の設備投資が活性化した点、②為替レートの円安推移によって海外市場における当社の競争力が増大した点、③日本における省人化投資の政府補助金が追い風となった点、に起因。

✔セグメント別の状況

アマダは、金属加工機械事業(レーザマシン・パンチプレス・ブレスブレーキ・微細溶接機など)、金属工作機械事業(金切帯鋸盤・研削盤・メカニカルプレスなど)、その他事業(不動産賃貸業など)、の3事業を有する。
金属加工事業が売上高・利益の大半を占めており、とりわけ高い競争力を有している板金機械が主力製品となっている。板金加工においては、あらゆる工程(設計・切断・曲げ加工・溶接)に対応する製品ラインナップを有しており、顧客企業のニーズに応じたトータルソリューションを提案できる。

✔最終利益と利益率

アマダの純利益は230億〜330億円ほどで安定的。2020年はCOVID-19感染拡大による景気後退に直面したが、純利益185億円を確保*2。営業利益率は長期的に10%〜13%で推移しており、メーカーとしては高めの利益率を誇る。
*2:2020年はCOVID-19感染拡大により数多くの顧客企業が設備投資を控えたうえ、世界的なロックダウンで商談にも支障。販売低迷に苦しんだ経緯がある。

✔自己資本比率と純資産

アマダの自己資本比率は長年に渡って70%以上の高水準で推移しており、実質無借金経営を達成している*3。純資産も緩やかな増加傾向にあり、直近では5,085億円に到達。
*3:アマダは1980年代以前から無借金経営にこだわる経営方針を継続している。工作機械は景気動向に販売を大きく左右される事情があり、深刻な景気後退局面でも企業存続を確保できる財務体質にこだわっている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

アマダの平均年収は2020年に持株会社制の見直しによって下落、直近3年は平均年収630万〜660万円ほどで推移。総合職の場合、30歳で年収550万〜650万円、課長職レベルで年収750万〜900万円が目安。2023年には「2年間で平均15%の賃上げ」を宣言、今後上昇する可能性が高い。

✔従業員数と勤続年数

アマダの単体従業員数は2020年に持株会社制を見直したことで2,500人前後まで急増。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は8,900人ほど。平均勤続年数は直近で17.6年とかなり長く、従業員の定着がよい。

総合評価

企業格付け:BBB

■業績動向
安定。工作機械は景気動向に業績を左右されやすい業界だが、売上高・利益いずれも一定レンジ内での推移が継続。COVID-19が吹き荒れた2020年にも純利益をしっかりと確保して軟着陸を果たした。高利益率のビジネスモデルを構築しており、営業利益率は10%以上で安定。利益面では業界1位のDMG森精機すら上回る。

■財務体質
鉄壁。創業者の無借金経営の方針を今でも継続しており、自己資本比率70%以上・実質無借金経営を長期的に維持。2021年には手元の現預金が1,000億円を上回っており、典型的なカネ余り企業。あまりのカネ余りぶりにROEが低迷してしまい、株主から厳しい目線を浴びる側面も。

■ビジネス動向
2030年までの長期計画「長期ビジョン2030」を策定。2030年までの売上高5,000億円達成を掲げ、2025年までの目標として売上高4,000億円・営業利益率16%を宣言。看板商品としてレーザー製品群や製造DXソリューションの強化にも邁進。カネ余り成熟企業から成長企業への転換を目指す。

就職格付け:CCC

■給与水準
工作機械メーカー中堅上位。日系工作機械メーカーとしてトップクラスの規模を誇るが、平均年収は667万円とそこまで。実際には財務健全性の確保による雇用安定を優先しているのだが、同業のDMG森精機が平均年収800万円以上であるから差は大きい。が、2023年には向こう2年間で平均15%の賃上げを宣言。人材投資に前向きになりつつあるか。

■福利厚生
普通。独身の若手社員は独身寮・借上げ社宅によって月額1万円強で生活できるため、実質的な生活水準は見た目の平均年収以上。ただし結婚後の住宅補助は限られており、会社都合の転勤者のみ家賃補助として家賃額の60%が支給される位。

■キャリア
技術系・営業系・管理系の3職種に分かれ、入社後は年功序列でリーダー・班長・主任と昇進していく。30歳過ぎまでは実力差があっても給与はほぼ変わらない。代理店を介さない直販体制によって成長した企業であるため、メーカーでありながら営業部門の存在感も大きい。現経営陣は企画・管理部門の出身者が多い。

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