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機械メーカー

スター精密の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

スター精密は、モバイルプリンタ・自動旋盤を主力とする工作機械メーカー。1950年に腕時計部品の製造を目的として創業。シチズン時計との取引関係で事業規模を拡大しつつ、工作機械分野への進出を模索。1958年には自動旋盤の製品化に成功し、1976年にはCNC自動旋盤を販売開始。現在では、工作機械・プリンタを2本柱に事業展開しており、高利益率なニッチ商品に特化するグローバルニッチ戦略を掲げる。精密部品加工用のスイス式自動旋盤やモバイルPOS向け小型プリンタにおいて世界シェア首位級。

POINT

・静岡県地盤の工作機械メーカー、スイス式自動旋盤の世界的大手
・売上高・利益は不安定だが高利益率、財務体質は極めて堅牢
・平均年収939万円と静岡県トップ級、福利厚生も充実で平均勤続年数も長い

業績動向

✔売上高と営業利益

スター精密の売上高は年度により好不調が明確に分かれており、過去8年間は450億〜870億円のレンジで変動*1。2020年には売上高457億円まで急落したが、3年後には過去最高となる874億円に急増するなどムラが激しい。営業利益も変動幅が大きく、過去8年間は21億~139億円で推移。
*1:当社は工作機械事業が売上高・利益の大半を占めるが、同事業は顧客企業の設備投資意欲に大きく業績を左右される。2020年にはCOVID-19感染拡大で需要急減に直面したが、2022年には米国・欧州での需要急増で業績を伸ばした。

✔セグメント別の状況

スター精密は、特機事業(小型プリンター・カードリーダーライターの製造・販売など)、工作機械事業(CNC自動旋盤・スイス型CNC自動旋盤などの工作機械の製造・販売)、の2事業を有する。
かつては腕時計向け精密部品製造が主力事業であったが、現在は北海道に所在する子会社・ミクロ精密へ移管されている。売上高・利益いずれも工作機械事業が圧倒的に多く、小型プリンタを中心とする特機事業は補完的な地位に留まる。

✔最終利益と利益率

スター精密の純利益は過去8年間は17億〜102億円で推移しており、好不調が明確に分かれる。営業利益率も上下変動が激しめであり、不調時には4%まで低下しつつも、好調時には15%以上の高利益率へと到達する。

✔自己資本比率と純資産

スター精密の自己資本比率は増加傾向が継続しており、直近では85.6%に到達。実質無借金経営。業績変動が激しいゆえに、好調時の利益を蓄えることで財務健全性を盤石にしている。純資産は2021年から増加傾向が続いており、直近では803億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

スター精密の平均年収は業績に応じた変動が大きめであるが、700万~940万円で推移している。業績悪化時にも平均年収700万円は確保されており、業績好調時には地元・静岡県における最高峰の給与水準を提供している。総合職の場合、30歳で年収550万~680万円、課長職レベルで年収950万~1,150万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

スター精密の単体従業員数は2022年まで減少傾向が続いていたが、同年以降は底打ち傾向。直近で452人ほどの企業規模だが、子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1,671人。平均勤続年数は直近で19.1年と、従業員の定着は殆どの大企業を上回る超高水準。

総合評価

企業格付け:B

■業績動向
良くも悪くも変動が激しい。過去10年間は売上高400~870億円で推移しており、顧客企業の動向次第で売上高が倍増・半減する。利益も21億~139億円で推移しており、事業環境により利益も大きく変動する。が、総合的にはスイス型自動旋盤の競争力は相当に高く、販売台数の約90%ほどを海外市場が占める。最近では医療・情報通信分野からの引き合いが増えており、景気の浮き沈みに左右されつつも事業成長の芽は大いにある。

■財務体質
極めて良好。良くも悪くも業績が安定しないため、業績好調時の高利益率を生かして財務基盤の強化に気を払っている。自己資本比率は直近で85%以上と極めて高水準であり、そのうえ有利子負債もほとんどない実質無借金経営である。手元の現預金は300億円にも達しており、当社の企業規模を考えれば潤沢なキャッシュリッチぶりであろう。

■ビジネス動向
コーポレートパーパスとして「世界に挑戦する偉大な中小企業」を掲げる。2024年度までの目標は売上高1,000億円と控えめだが、営業利益200億円(営業利益率20%)に挑戦。企業規模を追わずに高利益率なニッチトップ企業を目指す。プリンタ・工作機械に並ぶ、第3の事業獲得を模索しており、潤沢な手元資金を活かしてのM&Aも検討中。

就職格付け:BBB

■給与水準
地元・静岡県におけるトップ企業の1社。平均年収は業績不調時にも700万円を上回っており、業績好調時には800万~940万円レベルにまで到達する。総合職であれば30歳で年収550万~680万円には到達し、業績好調時であれば賞与により更に上振れる。課長職レベルとなれば年収1,000万円には到達するため、静岡県では金銭的に何不自由ない暮らしを満喫できるだろう。

■福利厚生
極めて良い。満32歳までは会社がマンションを借り上げて社宅として提供してくれるうえ、家賃は月3,000円のみ。給与水準が高いうえに家賃もタダ同然なので実質的な生活水準は更に良好。そのうえ、年間休日日数が131日と休みが多い(日系大手メーカーの標準的水準は120日強である)うえ、冠婚葬祭時には特別休暇が付与されるため有給休暇も貯めやすい。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。海外売上高比率90%のグローバル企業であるため、英語力が相当に問われる。TOEIC受験料が半年ごとに会社負担となる他、グローバルリーダー研修と称して若手社員に海外経験を与える取り組みも。強いて言えば、新卒採用は毎年数人レベルであり、離職者も少ないために中途採用も限定的。入社することが最初の難関である。

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