企業概要
シマノは、自転車部品と釣具の製造販売を主力事業とするスポーツ用品メーカー。1921年に島野庄三郎が自転車部品工場として創業、1970年に釣具の製造に進出したことで現在の自転車部品・釣具の二大事業部が揃う。自転車部品のコンポーネント化に先鞭を打った先駆者であり、自社部品をセットで使用することを前提とした設計で、調整・修理の利便性を飛躍的に向上。現在では自転車部品における世界標準の地位を確立。スポーツ自転車部品では世界シェアの85%を占めており、圧倒的な首位の座を誇る。
1.自転車部品で世界シェア断トツ首位のスポーツ用品メーカー
2.売上高・利益は絶好調、財務堅実で自己資本比率90%に迫る
3.平均年収872万円でメーカー上位級で高待遇、社宅は築浅で豪華
業績動向
✔売上高と営業利益
シマノの売上高は2020年以降に急激な増加に転じ、直近の2022年に売上高6,289億円に到達*1。営業利益は600億~850億円ほどで安定的に推移していたが、2020年以降は営業利益1,000億円を悠々突破。
*1:シマノはCOVID-19の感染拡大で業績を大きく伸ばした企業。感染リスクにより行動制限が課される中で、自転車が感染リスクが低い娯楽として需要急増したことで業績躍進。
✔セグメント別の状況
シマノは自転車部品事業(変速機・ホイール・クランクセット・チェーン・ブレーキ・制動用部品・ペダルなど)、釣具事業(リール・ロッド・ルアー・フィッシングギアなど)、その他事業(ロウイング関連用品など)の3事業を有する。
シマノはBtoCで事業展開する釣具事業のイメージが強いが、実態はBtoBの自転車部品事業が売上高・利益の約80%を占める。海外売上高比率が約90%を占めるが、これは海外の大手自転車メーカーへ部品を納入している関係による。
✔最終利益と利益率
シマノの純利益は売上高と概ね連動、2020年以降はCOVID-19による自転車ブームで純利益1,000億円を優に超えた。営業利益率は20%前後の水準で安定推移、大手メーカーとしてはかなり高めの水準。
✔自己資本比率と純資産
シマノの自己資本比率は概ね90%前後の超高水準で推移しており、大手メーカーとしては卓越して高い水準*3。純資産は右肩上がりで増加しており、直近では7,411億円に到達。
*3:自己資本比率が高いのみならず、有利子負債額を現預金額が上回る実質無借金経営である。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
シマノの平均年収は850万円前後で推移しており、大手メーカーにも勝るとも劣らない給与水準。大卒総合職ならば35歳頃に年収600~750万円、課長職になれば1,000万円を越える。平均年齢は40.6歳と大手メーカーとしては標準的な水準。
✔従業員数と勤続年数
シマノの従業員数は概ね1万人レベルで推移しており、近年はやや減少傾向もみられる。業績拡大で人員増強をしていない。平均勤続年数は13.6年と大手メーカーとしてはやや短めの印象。
総合評価
企業格付け:BBB
自転車部品において世界首位、卓越したコンポーネント戦略で競合他社を圧倒するポジションを確立しており、自転車界のインテルとも称される。業績はCOVID-19による自転車ブームで2020年から絶好調、売上高も利益も急増して飛ぶ鳥を落とす勢い。COVID-19が一服して自転車ブームはやや落ち着くも、今度は為替レートが円安に振れたことで海外売上高比率90%が追い風に。財務は極端なほど堅実であり、自己資本比率90%に近い実質無借金経営。営業利益率は20%前後とこれまた高い。ケチのつけようがない優良企業の鏡である。
就職格付け:BBB
関西が誇る優良メーカーの一角であり、自転車業界の巨人。一般認知度はそこまで高くなく、精々「釣具メーカーの1社」程度だが、その実態はグローバルで圧倒的な競争力を確立した自転車部品メーカー。特にスポーツ自転車部品では世界シェア85%程度とされ、競合不在の状況。業績は絶好調で、財務も非の打ち所がない健全ぶり。給与水準は関西の名門であるパナソニック・ダイキン・クボタに勝るとも劣らない。社員の住宅支援も手厚く、独身寮「シマノ菱木レジデンス」・新婚者社宅「シマノ泉ヶ丘レジデンス」・転勤社宅「新金岡レジデンス」はいずれも2010年代の建築で新しいうえに贅沢な構造。新卒採用人数は年30~60人程度ゆえ、入社難易度はかなり高い。