企業概要
クボタは、農業機械･建設機械･建築材料･産業用エンジンなどを幅広く展開する農業機械メーカー。1890年に久保田権四郎が鋳物メーカーとして創業、1960年に国産初のトラクターの開発に成功してから農業機械メーカーとして発展。現在では農業用機械で世界第3位に位置、海外売上高比率は75%を超える。中小型サイズのコンパクトトラクタ―では欧米市場シェア首位級。水環境インフラ事業にも1893年から進出しており、ダクタイル鉄管を世界各国の水道管として納入している。
１．農業機器･建設機械で世界的メーカー、農業機械は世界シェア3位
２．売上高は急成長して2兆円を突破、ただし利益はそこまで増えず
３．平均年収800万円前後、寮･社宅はあるが家賃補助は廃止済
業績動向
✔売上高と営業利益
クボタの売上高は右肩上がりの成長基調が続いており、直近では売上高2.68兆円に到達*1。営業利益は1,600~2,400億円のレンジで横這い推移しており、売上高ほどの成長は見られない。
*1：近年のクボタは海外における農業･建設機械の販売好調により業績好調が続いている。欧米市場では長年に渡って高シェアを獲得してきた小型トラクターに加えて、大型トラクター分野でも攻勢。アジア市場ではインドのトラクター大手、エスコーツを買収。
✔セグメント別の状況
クボタは機械事業（農業機械･農業関連商品･エンジン･建設機械など）、水･環境事業（パイプシステム･都市インフラ製品･環境プラント･ポンプなど）、その他事業の3事業を有する。
クボタは主力事業は機械事業であり、売上高の約85%･利益の90%以上を同事業が稼いでいる。機械事業は農業機械･建設機械を主力とするが、いずれも世界的シェアを確立しており高い競争力を有している。
✔最終利益と利益率
クボタの純利益は緩やかな成長基調が続いており、2021年には過去最高となる純利益1,756億円を記録*2。営業利益率は緩やかな減少傾向が続いているものの依然として8.18%前後の水準であり、大手メーカーとしてはやや高め。
*2：2021年のクボタは北米市場で急激に売上高･利益を伸ばした。COVID-19感染拡大により郊外移住を含めた住宅市場が好調、建設分野における需要急増を追い風に業績拡大。
✔自己資本比率と純資産
クボタの自己資本比率は長年に渡って40%以上での推移が続いてきたが、直近はやや減少して39.3％*3。純資産も成長基調が継続しており、2022年には2.1兆円に到達。
*3：クボタは2021年に印エスコーツを約1500億円で子会社化。そのための資金調達として社債･借入金を増やしたことで自己資本比率が低下した。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
クボタの平均年収は800万円前後の水準で極めて安定的に推移。大手メーカー並みの給与水準を得ることができるが、昨今の業績好調が社員に還元される様子はあまり見られない。平均年齢は40歳前後の水準で極めて安定的に、大手企業としては普通の水準。
✔従業員数と勤続年数
クボタの従業員数は4万人レベルの水準で安定してきたが、2022年は印エスコーツの子会社化により従業員数が増加。平均勤続年数は減少傾向にあり、直近では14.2年となっている。
総合評価
企業格付け：BB
世界第3位に位置するグローバルな農機メーカー、長年に渡って欧米市場で中小型トラクターを販売してブランド価値を高めてきたことで現地でも存在感は大きい。近年は業績も好調で売上高が右肩上がり、2020年には売上高2兆円を悠々突破。営業利益の伸びは鈍く、売上高ほどの増加ペースではないが2020年には過去最高益を更新。これまでは日米欧市場が地盤であったが、近年はアジア市場にも熱視線。2022年には印エスコーツを買収、世界最大の農機市場であるインドでの拡販に打って出た。
就職格付け：BB
関西では有数の大手メーカーであり、とりわけ1937年からマザー工場と研究所を置く大阪府堺市では名門企業。給与水準は平均年収800万円レベルと大手メーカー並みの待遇、年功序列を重んじる給与テーブルを採用している。ボーナスが給与に占める割合は大きいが、業績好調により平均年収はほぼ不変で推移。福利厚生面は意外と普通で、家賃補助制度は廃止済。制度改正によって基本給に旧家賃補助分を織り込まれた為、給与水準は改訂前後で変わらなかったものの、実家暮らし社員が得をして一人暮らし社員が損をする感は否めない。入社5年目までは寮･社宅に入れるため、そこで節約する社員も少なくないとか。