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食品メーカー

キユーピーの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

キユーピーは、マヨネーズ・ドレッシング・ジャムなどの調味料を製造販売する大手食品メーカー。1919年に中島董一郎が創業した中島商店を母体として創業、翌年の1925年には日本初のマヨネーズを発売。創業者の中島董一郎は海外留学で豊かな洋食文化に触れて、日本でマヨネーズやジャムを普及させたいと決意したという。戦前からマヨネーズを日本国内に大きく普及させた企業であり、1958年にはポリボトル入りのマヨネーズを発売。現在に至るまで継続販売されている大ヒット商品となった。1950年代には日本初のドレッシング・ミートソースを発売、日本の食卓文化に大きな貢献を果たし洋食文化の普及を後押しした。2014年には同根企業のジャム大手、アオハタを子会社化。

POINT

1.マヨネーズ・ドレッシング分野に強い大手食品メーカー。ジャムにも強い。
2.売上高・利益いずれも安定型、財務体質も自己資本比率60%超と優良
3.平均年収613万円とそこそこ、福利厚生はかなり手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

キユーピーの売上高は5,300億~5,700億円レベルで安定的に推移してきたが、2021年からは売上高4,300億円前後まで低下*1。営業利益は2018年まで増加傾向が続いていたが、2019年からは減少傾向に転換している*2
*1:キユーピーは2021年1月に連結子会社であったキユーソー流通システムの株式を一部売却。同社が連結子会社から持分法適用会社へと変更になったことで全社売上高が減少。
*2:2019年・2020年は売上高の減少による利益減少に見舞われ、2021年以降は原材料価格の高騰で利益が減少。過去2年間はコスト増加への対応を販売価格の値上げで試みるも減益に沈んでいる。

✔セグメント別の状況

キユーピーは市販用事業(市販向けマヨネーズ・ドレッシング・ソース・サラダ・惣菜など)、業務用事業(業務向けマヨネーズ・ドレッシング・食酢・卵など)、海外事業(中国・東南アジア・北米でのマヨネーズ・ドレッシングなど)、フルーツソリューション事業(ジャム・フルーツ加工品など)、ファインケミカル事業(ヒアルロン酸・卵黄レシチンなど)、共通事業(食品・食品製造機械の販売など)の6事業を有する。
当社は売上高の約85%を日本国内で稼いでおり、国内依存型の事業構造となっている。最主力事業は国内向けの一般用事業であり、売上高の40%・利益の42%を稼いでいる。売上高の約35%を業務用事業で稼いでいるが、利益に占める割合は約22%のため利益率は高くない。

✔最終利益と利益率

キユーピーの純利益は2020年を除けば、150億~180億円のレンジで安定的に推移。リーマンショックによる世界的大不況に見舞われた2008年~2009年頃を含めても純利益をしっかりと確保しており利益体質は固め。営業利益率は4~6%のレンジで推移しており、安定的。

✔自己資本比率と純資産

キユーピーの自己資本比率は長年に渡って50%台で推移してきたが、2021年以降は自己資本比率60%台へ上昇*3。安定した利益創出力を考えれば非常に健全な財務体質。純資産は微増傾向が続いており、直近の2022年には純資産2,946億円に到達。
*3:2021年1月にキユーソー流通システムが連結子会社から持分法適用会社へと変更になったことで総資産1,052億円・負債622億円が減少。これにより自己資本比率が高まった。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

キユーピーの平均年収は600万円前後の水準で安定的に推移しており、業界上位の大手食品メーカーと比べると見劣りする。大卒総合職なら30歳頃に年収500~600万円が目安、課長職へ昇格すると年収700~800万円に到達する。

✔従業員数と勤続年数

キユーピーの従業員数は2,400人前後の水準で安定的に推移。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.06万人ほど。平均勤続年数は増加傾向が続いており、直近の2022年には16.2年に到達。

総合評価

企業格付け:CC

日本人ならば誰もが知る著名な食品メーカーであり、日本国内ではマヨネーズ=キユーピーと言っても過言ではないほど食生活に根付いた企業。健康志向の高まりでマヨネーズ市場は縮小傾向にあると思われがちだが、過去10年間で国内生産量・消費量は寧ろ拡大(参考リンク)。健康志向の高まりで野菜摂取量が増加したことでマヨネーズの消費量が増えた他、高付加価値・高価格な健康配慮型マヨネーズの需要が新たに誕生するなどポジティブな影響が大きい。キユーピーの業績は売上高・利益いずれも安定型、世界的な景気後退局面も含めてしっかりと純利益を確保できている。財務体質も非常に堅実で、直近では自己資本比率66.4%と非常に保守的な財務戦略を採っている。現状は国内市場に依存する事業構造であるが、2030年に向けた中期経営計画においては中国・東南アジア・北米での成長を掲げて海外展開にも意欲を示している(参考リンク)。

就職格付け:CCC

マヨネーズ・ドレッシングにおいて高いブランド力を持つ調味料メーカー。あまり知られていないが現在においても創業一族が大株主であり、大株主に名を連ねる中島董商店・董花は中島家が代表を務める企業群である。給与水準は平均年収600万円台と中堅メーカー並みの水準であるが、課長職へ昇格すると年収700~800万円に到達する。福利厚生はかなり充実しており、総合職ならば29歳まで3,500円/月という破格の家賃で社宅に居住できる。29歳以降にも家賃補助が4~9万円/月ペースで手厚く付与されるため、住宅コストを抑制できる点は強み。キユーピーの最大の魅力は安定性であり、リーマンショックで世界的な大不況に見舞われた時期にもしっかりと純利益を確保。そのうえで自己資本比率60%以上の高水準を維持している為、倒産リスクとはおよそ無縁。安定した雇用と知名度を求める求職者ならば、相当に魅力的な企業であろう。

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