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【勝ち組?】豊田自動織機の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

豊田自動織機は、物流機械・フォークリフト・自動車部品などを主力とする輸送用機器メーカー。1926年に豊田佐吉が創業したトヨタグループの源流企業であり、現在でもトヨタ自動車の第2位の大株主である。当初は繊維機械メーカーであったが、1935年にトラックの市販化に成功。1937年に自動車部門をトヨタ自動車として分社化した。同社の分社化以降は繊維機械や物流機械を主力製品としているが、現在では一部のトヨタ車を当社が受託生産しているため自動車メーカーとしての側面もある。

POINT

・トヨタグループの源流企業、現在の主力事業は物流機器・産業機械など
・売上高は急拡大するも利益は微増、財務体質は大いに健全
・平均年収814万円台とトヨタグループ内では上位級、福利厚生も良好

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:70(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用人数は年間150人~200人と門戸はかなり広いが、事務系採用は40人ほどと理系偏重の採用となっている。大学別では名古屋大学・名古屋工業大学が最多の採用実績がある他、中部地方からの就職者が多い。
採用大学:【国公立】名古屋大学・名古屋工業大学・大阪大学・静岡大学・岐阜大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・同志社大学・明治大学など(出典:大学通信ONLINE

業績動向

✔売上高と営業利益

豊田自動織機の売上高は2021年頃から増加傾向が続いており、直近では3.83兆円に到達*1。営業利益はそれほど急拡大はしていないが、直近の2023年には2,004億円まで増加。
*1:2021年から売上高が増加している理由は、①EC市場拡大・人手不足による物流機器の販売好調、②当社が受託生産しているトヨタ新車販売の増加、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

豊田自動織機は自動車事業(完成車受託生産、エンジン、自動車部品)、産業車両事業(フォークリフト、倉庫機器、自動倉庫、物流ソリューション)、繊維機械事業(織機、紡機ほか)、その他事業(運輸ほか)の4事業を有する。
トヨタ車の受託生産と繊維機械のイメージが強い豊田自動織機だが、これらの事業は売上高・利益への貢献はさほど大きくはない。本当の稼ぎ頭は産業車両事業であり、同事業が売上高・利益の大半を稼いでいる実態がある。

✔最終利益と利益率

豊田自動織機の純利益は長期的に1,400億~1,800億円レベルで安定しており、景気後退時にも底堅い推移。2023年には過去最高となる純利益2,287億円まで増加。営業利益率は5%~7%ほどで安定しているが、2016年頃と比べると微減傾向がみられる。

✔自己資本比率と純資産

豊田自動織機の自己資本比率は直近で54.6%とかなり高めの水準にあり、業績の安定性も加味すると極めて健全な財務状況。純資産は右肩上がりでの増加が続いている*2。
*2:2020年から純資産が急増したのは、豊田自動織機が保有するトヨタグループ株式(トヨタ自動車・豊田通商・デンソーなど)の株価上昇による効果。最近では上場企業の株式持ち合いに対する厳しい目線が増えており、長期的には保有を見直す可能性が高い(参考リンク)。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

豊田自動織機の平均年収は直近で814万円と、トヨタ自動車には及ばないもののトヨタグループ上位の水準にある。総合職であれば30歳で650万~750万円、課長職レベルであれば1,000万~1,150万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

豊田自動織機の単体従業員数は緩やかな増加傾向にあり、直近では1.42万人ほど。昨今の積極的M&Aにより、子会社・関係会社を含めた連結従業員数は7万人を超える規模に拡大している*3。平均勤続年数は18.5年と大手メーカーの中でもそこそこ高めの水準。
*3:近年の豊田自動織機は海外企業の買収を増やしており、これにより従業員数が増加。2017年に米Bastian Solutions社と蘭Vanderlande社を買収、2021年には米Lift Technologies社と伊Lift-Tek Elecarを買収。

総合評価

企業格付け:A

元々はフォークリフトメーカーとして著名であったが、近年は海外の物流機械メーカーの買収を加速。最新鋭の物流機器を多種多様に組み合わせた物流ソリューションを納入できる強みを尖らせている。業績が安定的であるうえ、自己資本比率50%とやや過剰なほど堅実な財務を有しており、当面は安泰だろう。トヨタグループの源流企業という立場から多くのトヨタ自動車株を保有するが、このトヨタ自動車株は直近で評価額2.6兆円に到達。大きな資産価値を有している。が、2023年に主力製品のフォークリフトで排ガス認証不正が発覚。国土交通省がフォークリフトの型式認証を取り消すなど、大きな不祥事となった。

就職格付け:A

愛知県ではトヨタ自動車の源流企業として一目置かれる名門企業。愛知県では誰もが知る名門企業として尊敬の眼差しを受けられるが、首都圏や近畿圏における一般知名度はまったく振るわない。源流企業とはいえ、売上高の約30%をトヨタ自動車からの受託生産で稼ぐなど微妙と言えば微妙な立ち位置。給与水準は平均年収774万円と良好ではあるが、当然ながらトヨタ自動車には及ばず。主要拠点・工場はすべて愛知県に集中しているため、人生の大半を愛知県で生活することになる点は人を選ぶか。

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出典:株式会社豊田自動織機(有価証券報告書)