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【勝ち組?】神鋼商事の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

神鋼商事は、鉄鋼材・非鉄金属・鉄鉱石・石炭などを主力とする鉄鋼系専門商社。1946年に神戸製鋼所がメーカー直結商社として設立、創業当時から鉄鋼系専門商社として事業拡大。神戸製鋼所の製品販売だけではなく、鉄鋼生産に必要となる石炭・鉄鉱石の供給も担うことで同社のサプライチェーンの根幹を支える。神戸製鋼所が得意とする自動車業界・造船業界との取引関係が厚く、アメリカ・メキシコでは日系自動車メーカー向け素材・部品の製造~販売までを手掛ける。

POINT

・神戸製鋼所Gの鉄鋼系専門商社、大阪府に本社を置く在阪商社の一角
・売上高・利益いずれも2022年から好調、財務体質はそこそこ良好
・平均年収982万円だが安定性はない、福利厚生はまずまず

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:67(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関

総合職の採用人数は年間7名~15名に過ぎず、一般職の採用人数も年間4名~9名のみ。最近の商社ブームによって選考倍率が上昇傾向にあり、難化傾向。
採用大学:【国公立】東京大学・大阪大学・神戸大学・広島大学・横浜国立大学・鳥取大学・東京外国語大学・大阪公立大学・兵庫県立大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・同志社大学・関西学院大学・関西大学・日本大学・近畿大学・フェリス女学院大学・日本女子大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

神鋼商事の売上高は2020年まで7,800億〜9,200億円レベルで安定していたが、同年以降は4,900億〜6,100億円ほどに低下*1。営業利益は2020年まで40億〜80億円ほどで推移していたが、同年以降は上振れ。2024年は営業利益132億円となっている。
*1:2021年から企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」を適用。収益認識の基準が変更されたことで数字上の売上高が下落した。

✔セグメント別の状況

神鋼商事は、鉄鋼事業(鋼板・特殊鋼・チタン・ステンレスなど)、鉄鋼原料事業(神戸製鋼所向けの石炭・鉄鉱石など)、非鉄金属事業(自動車・空調向けアルミ・銅製品など)、機械事業(産業機械・化学機械など)、溶接事業(溶接材料・生産材料など)、その他事業(不動産賃貸)、の6事業を有する。
当社は鉄鋼事業・非鉄金属事業がコア事業であり、同2事業で売上高の約70%以上を占める。2023年に策定した中期経営計画では、電気自動車・自動車軽量化と資源循環型ビジネスを重点領域として策定。事業多角化よりもコア事業の進化を模索している。

✔最終利益と利益率

神鋼商事の純利益は2020年まで20億〜55億円ほどで推移していたが、同年以降は上振れ。2022年には過去最高となる純利益91億円に到達している*2。営業利益率は2020年まで1%未満で低迷していたが、同年以降は2%台へ上昇している。
*2:2022年に純利益が増加した理由は、①世界的な新車生産台数の増加による⾃動⾞向けの鋼材販売の増加、②世界的な鉄鋼価格の高騰による粗利増加、③国内外における建機部品の取り扱い増加、など。

✔自己資本比率と純資産

神鋼商事の自己資本比率は長期的に17%〜25%前後で推移しており、やや低めの水準に留まる。ビジネスモデルの関係上、負債が広がりやすい事情を鑑みれば問題ない水準*3。純資産は右肩上がりで増加しており、2024年は929億円に到達している。
*3:商社は規模・信用を活かして多額の資金を調達して事業に投資するビジネスモデル。常に新たな事業への投資を模索しているため、自己資本比率は高まりにくい業態。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

神鋼商事の平均年収は2019年に660万円まで減少していたが、2024年には業績好調に後押しされて982万円まで上振れしている。総合職の場合、30歳で870万〜950万円ほど、課長職レベルで年収1,200万~1,350万円レベル。平均年齢は39.3歳(2024年)と、大手企業の標準的な水準を下回っている。

✔従業員数と勤続年数

神鋼商事の単体従業員数は長年に渡って440人〜470人ほどで極めて安定的。事業規模の割には組織規模は小さめであり、少数精鋭の体制。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数も1,430人ほど。平均勤続年数は14.3年(2024年)と大手企業の標準的な水準をやや下回る。

総合評価

企業格付け:B

神戸製鋼所がグループ中核商社として設立して以降、約70年に渡って同グループのサプライチェーンを支えてきた専門商社。大手鉄鋼メーカーがグループ内に商社を抱えるのは業界通例であり、同類企業としては日鉄物産・JFE商事などがある。業績においては2021年から好調に転じており、鉄鋼価格の上昇を追い風として売上高・利益は過去最高圏で推移している。親会社の神戸製鋼所も業績回復が続いており、グループ全体として事業運営は好調である。売上高だけは2018年をピークに減少しているが、これは会計における収益認識の変更が主要因であって事業自体は好調である。財務体質においては自己資本比率23.6%(2024年)と低いが、これは当社のビジネスモデルを鑑みれば問題はない。預り金によって負債が膨らみやすいほか、事業投資に向けた資金調達が必要な観点からすればやむをえない範疇。当社は鉄鋼系ビジネス深化と海外展開強化を重視しており、事業多角化を推進している他大手専門商社とはまた違った戦略である。

就職格付け:BBB

大阪府に本社を置く鉄鋼系専門商社の一角。本社は関西きってのビジネス街・中之島においてトップクラスの好立地である三菱地所・淀屋橋スクエアに入居しており、しかも最上層である15階~18階を独占入居。大阪のビジネスマンならば誰もが憧れるオフィス環境は特筆に値する。給与水準においては平均年収982万円(2024年)と優良だが、業績悪化時には664万円(2019年)まで後退しており安定感はない。福利厚生においてはそこそこ整備されており、自社保有の社宅・独身寮がある。ただし年季が入った物件もそれなりにあるため、当たりはずれはある。従業員持株会が盛んであることも特徴的であり、神鋼商事従業員持株会は当社の大株主リストにおいて第6位となっている。神戸製鋼所グループとはいえ親会社の保有株式比率は15%にも満たない為、そこまで圧倒的な支配力はないのも特徴的。当社の代表取締役社長は親会社の神戸製鋼所出身であるが、プロパー入社の取締役もそれなりにいる。同類企業の日鉄物産は親会社によって2022年に完全子会社化された為、当社は今なお独立性を保っているのは魅力ではある。

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出典:神鋼商事株式会社(有価証券報告書)