企業概要
湖池屋は、ポテトチップスをはじめとするスナック菓子・タブレット菓子を展開する菓子メーカー。1953年に小池和夫が菓子製造を目指して創業、創業直後の主力商品はお好み揚げであったが、1960年代にポテトチップスの量産化に成功。現在ではカルビーに続いてポテトチップス分野で国内2位を誇り、中国・台湾・ベトナム・フィリピンなどに進出。代表的商品は『湖池屋プライドポテト』や『カラムーチョ』など。2011年には日清食品と資本提携、現在では同社が発行済み株式数の約45%を保有する大株主。
・ポテトチップス分野で国内2位、アジア圏への海外展開にも注力
・高付加価値商品シフトで売上高・利益は過去最高圏、財務体質も優良
・平均年収624万円で福利厚生もそこそこ、選考倍率が高倍率ゆえ注意
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:56(中堅)
上場企業・著名企業に勤務するサラリーマンとしては中堅クラスの待遇を得られる。安定性や待遇に目立った課題はほぼなく、良好な人生を送ることができる可能性が高いだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関上位級
誰もが知る有名企業でありながら、総合職の採用人数は年間25人~35人と極めて少ない。人気業界ゆえに応募数も極めて多いために、下手な大手メーカーよりも入社難易度は遥かに高い。
採用大学:非公開(出典:マイナビ2027)
業績動向
✔売上高と営業利益
湖池屋の売上高は2021年に303億円まで急落したが、同年以降は増加傾向に転換。2024年には過去最高となる売上高593億円に到達している*1。営業利益も緩やかな増加が長期的に続いているが、2024年には過去最高となる40.1億円に上振れ。
*1:2024年に売上高・利益を伸ばした理由は、①『プライドポテト』などの高付加価値商品群の販売好調、②世界的な原材料高を受けた値上げ対応の推進、が主要因。最近の当社はブランド戦略を重視しており、高付加価値・差別化ができる商品へのテコ入れを進めている。
✔セグメント別の状況
湖池屋は、国内事業(日本国内におけるスナック菓子の製造・販売など)、海外事業(中国・台湾・ベトナム・タイにおけるスナック菓子の製造・販売・輸出など)、の2事業を有する。
当社はアジア圏を中心に海外展開を進めているが、依然として売上高の約89%は国内事業が占める。海外展開における主力製品は『カラムーチョ』を据えており、辛味と酸味による味わいはアジア圏・北米・欧州において受け入れられている(参考リンク)。少子高齢化が進む日本国内においては、フラッグシップ商品『プライドポテト』によって高価格帯を強化する戦略を採っている(参考リンク)。
✔最終利益と利益率
湖池屋の純利益は緩やかな増加傾向が続いているが、2024年には過去最高となる25.9億円に到達。2021年には一時的に利益減少しているが、これは一過性の要因*2。営業利益率は右肩上がりの推移を描いており、2024年には6.77%に到達。菓子メーカーとしては良好な利益率となっている。
*2:2021年の業績悪化は、北海道における記録的な干ばつによる馬鈴薯不足が理由。原材料の調達難により生産・販売が急減したことで業績が下押しされた。
✔自己資本比率と純資産
湖池屋の自己資本比率は長期的に45%~55%ほどで推移しており、負債に依存しすぎない事業運営ができている。純資産は2020年から急速な増加傾向にあり、2024年には194億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
湖池屋の平均年収は長期的に550万~580万円ほどで横ばいであったが、2024年には624万円に上振れ*3。有名企業ではあるが、給与水準は菓子業界においても高くはない方。総合職の場合、30歳で450万~550万円ほど、課長職レベルで780万~880万円ほどが目安。
*3:当社の平均年収が伸び悩んでいる理由は、採用強化による人員増加が主要因。給与水準が低い若手社員を増やしたことで、見かけ上の平均年収が伸びにくい事情がある。
✔従業員数と勤続年数
湖池屋の単体従業員数は長期的な増加傾向にあり、2024年は736人規模の組織体制となっている*3。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1,110人ほど。平均勤続年数は10.3年(2024年)とそれほど長くはない水準に留まっている。
総合評価
企業格付け:C
日本においてポテトチップスの量産化に初めて成功した企業であり、現在においてもカルビーに続いてポテトチップス分野で国内シェア2位。ただ、カルビーは売上高3,225億円(2024年)にまで拡大しており、当社よりも事業規模は遥かに大きい。最近ではブランド戦略に強いこだわりを示しており、高付加価値商品群『湖池屋プライドポテト』『湖池屋ストロング』へのテコ入れを進めている。日本国内は少子高齢化が進んでおり、「量よりも質」を重視される市場ニーズに応えつつ、中高年女性など新しい顧客の獲得を進めている。業績においては2018年から売上高・利益を順調に伸ばしており、2024年には過去最高となる売上高・利益に到達。2021年のみ北海道の大干ばつによる馬鈴薯不足が影響してポテトチップス生産が滞ったが、あくまでも一過性。財務体質も自己資本比率45%~55%を長期的に確保できており、大いに健全な水準を維持できている。
就職格付け:CC
誰もが知る有名企業…であるが、意外にも売上高は593億円(2024年)ほどの中堅菓子メーカー。食品メーカー最大手は売上高5,000億〜1兆円クラスであるから、当社の規模感が意外と小さいことが分かるだろう。給与水準においては平均年収624万円(2024年)と、菓子業界としても高くはない方。総合職の場合、30歳で450万~550万円ほど、課長職レベルで780万~880万円ほどが目安。しかし、年功序列色は意外にも皆無であり、若手社員の抜擢人事にも積極的な側面も。20代での課長クラスへの抜擢がある他、部長クラスまで抜擢された例もある。福利厚生においては企業規模の割には恵まれており、家賃補助制度では新卒入社から5年間は会社が家賃の70%を負担。6年目以降も月額1万円は支給される為、生活の足しにはなる。が、知名度が非常に高いこともあって大手就活サイトのプレエントリー数が1万人を優に超える大人気ぶりであるのに対して、新卒採用枠は20人ほど。超高倍率の大激戦を潜り抜ける必要がある難関企業であることの認識は必要。そのうえ、超高倍率を突破したとしてもリターンとしての給与・待遇はそれほど抜きんでているわけではないのは惜しい。