企業概要
味の素は、”味の素”をはじめとする調味料を主力として世界100ヶ国以上でビジネスを展開する大手食品メーカー。1907年に鈴木三郎助が鈴木製薬所として創業、翌年の1909年には”味の素”を発売(L-グルタミン酸ナトリウムを主成分とするうま味調味料)。戦後の1946年に現社名の味の素へ社名変更。アミノ酸メーカーを自負しており、アミノ酸の製法・利用法において調味料・健康食品・医療品・機能材料などあらゆる分野を深掘。アジシオ・コンソメ・ほんだしなど日本人の食生活に根差した調味料ラインナップを有する他、冷凍食品でも業界大手。
・日系食品メーカー最大手の1社、海外売上高比率67%と世界展開に強み
・売上高は極めて安定的で利益は回復傾向、財務体質も大いに優良
・平均年収1,072万円と食品業界では最優良クラス、福利厚生も手厚い
就職偏差値と難易度
✔就職偏差値:74(最上位)
サラリーマンとしては最上位クラスの勝ち組。食品メーカー最上位級の高待遇かつ企業イメージも卓越。高利益率かつ安定的なビジネスモデルで将来安泰、海外展開にも期待大。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:難関上位級
総合職の採用人数は年間90人~140人前後であり、企業規模のなりの採用人数。就職人気トップクラスの企業だけあって総合職の出身大学は旧帝大・早慶がボリューム層。海外名門大からの採用実績も。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・九州大学・筑波大学・横浜国立大学・信州大学・一橋大学・東京外国語大学・オックスフォード大学・イリノイ大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・明治大学・中央大学・学習院大学・国際基督教大学・東京理科大学など(出典:マイナビ2027)
業績動向
✔売上高と営業利益
味の素の売上高は2021年まで1兆円前後で安定的に推移していたが、2022年から増加傾向に転換。2024年には過去最高となる売上高1.53兆円まで増加している。営業利益は2019年まで減少傾向が続いた*1が、2020年からは増加基調へ転換。
*1:2019年まで営業利益の減少が続いた理由は、①海外子会社の採算悪化を受けた減損損失(参考リンク)、②日本国内における唐揚げ・米飯類の競争激化、③為替レートの円高推移による為替効果、など。
*2:2020年から増益傾向に転換した理由は、①為替レートの円安推移による為替効果、②世界的な原材料価格の高騰をうけた値上げ対応、など。
✔セグメント別の状況
味の素は、調味料・食品事業(うま味調味料・外食用調味料・加工用調味料・加工原料・甘味料・即席麺・コーヒー飲料、業務用調味料・人工甘味料・酵素製剤など)、冷凍食品事業(餃子類・米飯類・麺類・デザート類・加工肉などの冷凍食品)、ヘルスケア等事業(医療用アミノ酸・バイオファーマサービス・電子材料・機能性材料・健康食品など)、その他事業、の4事業を有する。
当社にとっては調味料・食品事業が長年に渡って稼ぎ頭となっており、同事業が売上高の約58%・利益の約71%を占めている。うまみ調味料『味の素』のグローバル展開にも注力しており、とりわけタイにおいては販売量が日本市場の40倍以上にも達する(参考リンク)。冷凍食品は売上高の約20%を支える事業ではあるが競合環境が厳しい為に利益率は高くない。
✔最終利益と利益率
味の素の純利益は2019年まで低下傾向がみられたが、同年以降は増加傾向に転換。2022年には過去最高となる純利益940億円に到達している。営業利益率は4%~10%のレンジで推移しており、食品メーカーとしてはかなり高めの利益率を誇っている。
✔自己資本比率と純資産
味の素の自己資本比率は40%~50%レベルで安定的に推移している。負債に依存しない事業運営ができており、大いに健全な財務体質である。純資産は2019年まで減少傾向がみられたが、同年以降は増加傾向。2023年には純資産8,844億円に到達している。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
味の素の平均年収は2020年までは940万~990万円ほどで推移していたが、2021年以降は平均年齢1,000万円以上に上振れ。食品業界としては最高峰となる給与水準である。総合職の場合、30歳で年収800万~900万円にほど、35歳前後で基幹職へ昇格すると年収1,000万円以上に到達する。
✔従業員数と勤続年数
味の素の従業員数は3,100人~3,400人ほどの水準で推移している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3.4万人ほど。平均勤続年数は20.3年(2024年)と長く、社員の定着は極めて良好である。
総合評価
企業格付け:AAA
“味の素”や”ほんだし”を代表的製品とする、日系食品メーカーの代表格の1社。日本の食卓に根差した調味料を主力製品としているが、実際にはグローバル企業そのものであり世界100ヶ国以上でビジネスを展開。現在では海外売上高比率が約63%を占めるまでに海外事業が成長しており、日系食品メーカーとしては数少ないグローバル展開に成功した企業の1社。業績においては2019年まで利益減少がみられたが、2022年からは好転。海外事業の好調と為替レートの円安推移が重なって、2022年には過去最高となる純利益940億円に到達している。財務体質においては自己資本比率43.4%(2024年)とかなりの高水準であり、安定的な利益創出力を考えれば不安要素はまったくないだろう。最近ではヘルスケア事業が成長しており、売上高・利益の成長が続いている。ヘルスケア事業は利益率がとりわけ高い事業であるため、この調子で成長すれば更なる躍進も期待できそう。
就職格付け:AAA
日本人ならば誰もが知る超有名企業であり、食品業界の最優良企業の1社として名高い。調味料という文化に根差した製品を主力とする為に安定性は断トツ、時代にあわせて食生活は変化していくものだが調味料はそうそう変化しない。給与水準は平均年収1,072万円(2024年)と業界首位級、しかも持株会社の従業員ではなく単体従業員3,400人余の平均年収であるから超高待遇である。福利厚生においてもも非常に手厚く、家賃補助制度は入社後7年まで家賃の70~80%が補助される。平均勤続年数は20年前後の高水準で安定しており、従業員の定着も良いホワイト企業。エリートビジネスマン界隈でも優良企業として名が知れ渡っているのは当然ながら、ビジネスにまったく関心がない一般人にも名が知れ渡っていることは地味な長所であり、どこへ行っても名門の大手企業へ勤めていると称賛の眼差しを受けられるだろう。