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【勝ち組?】伊藤忠エネクスの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

伊藤忠エネクスは石油・ガス・電力・再生可能エネルギーなどを扱うエネルギー商社。1961年に日本鉱業(現・ENEOS)の石油製品を販売する為に伊藤忠商事が設立した伊藤忠燃料を源流とし、2001年に現社名へと社名変更。家庭用電気・ガスから産業用燃料に至るまで幅広くエネルギー事業を展開、エネルギー商社としての売上高は国内首位。火力発電所・水力発電所・太陽光発電所を保有して発電事業にも進出。最近では自動車関連事業にも注力しており、系列ガソリンスタンドは1,600拠点以上。

POINT

・伊藤忠Gのエネルギー商社、新車販売・発電・レンタカーなど幅広く展開
・売上高・利益いずれも安定だが利益率は低い、財務体質は普通レベル
・平均年収993万円で専門商社トップ級、住宅補助が極めて手厚い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:71(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用人数は年間25人前後と非常に少ない。親会社の伊藤忠商事と比べると一般知名度は数段低いものの、そもそも採用数が少ないため、子会社だからといって難易度が低いことはまったくない。
採用大学:【国公立】京都大学・大阪大学・名古屋大学・東北大学・筑波大学・広島大学・滋賀大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・国際基督教大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

伊藤忠エネクスの売上高は7,000億~1兆円レベルでの推移が続いており、年度による上下変動が大きい推移となっている*1。営業利益は安定しており、毎年170億~210億円のレンジで安定的に利益を確保。
*1:当社はガソリン・LPガスなどを大量に販売しているため、資源価格の上下変動によって売上高が変動しやすい特性がある。2020年には売上高7,390億円まで後退したが、これもCOVID-19感染拡大による原油価格の下落が大きく影響している。

✔セグメント別の状況

伊藤忠エネクスは、ホームライフ事業(LPガス・灯油・都市ガス・電力・リフォーム・家庭用リチウムイオン蓄電システムなど)、カーライフ事業(ガソリン・灯油・軽油・自動車・自動車関連商品の販売)、産業ビジネス事業部門(重油・産業用ガス・リニューアブル燃料・船舶向け燃料・ターミナルタンク賃貸など)、電力・ユーティリティ事業(水力発電・太陽光発電・石炭火力発電など、電熱供給サービス、レンタカー事業など)の4事業を有する。
当社は売上高の約56%をカーライフ事業で稼いでおり、自動車関連ビジネスが最主力事業となっている。利益面では全社利益の約39%を稼ぎだす産業ビジネス事業の貢献も大きく、カーライフ事業と同規模の利益を稼いでいる。最近では環境ビジネスにも注力しており、リニューアブルディーゼルを日本で初めて商用展開する試みを進めている(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

伊藤忠エネクスの純利益は100億円レベルで長期的に横ばいが続いているが、2022年には過去最高となる純利益138億円に到達。営業利益率は1%~2%で推移しており、利益率は低めのビジネスモデル。

✔自己資本比率と純資産

伊藤忠エネクスの自己資本比率は過去8年間に渡って30%前後の水準で推移しており、高くも低くもない標準的な水準。純資産は右肩上がりでの増加傾向が続いており、2023年には1,922億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

伊藤忠エネクスの平均年収は890万~990万円での横ばいが続いている。大卒総合職の場合、30歳で年収680万~750万円ほど、課長職レベルで年収1,100万~1,300万円ほど。総合商社には及ばないものの、専門商社としては上位クラスの給与水準。

✔従業員数と勤続年数

伊藤忠エネクスの単体従業員数は概ね500人規模で推移しており、少数精鋭の組織規模となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5,360人規模。平均勤続年数は直近で16.0年と大手企業としては標準的な水準。

総合評価

企業格付け:AA

伊藤忠グループの中核企業の1社としてエネルギー流通を担う企業であり、伊藤忠商事が発行済み株式数の約53.9%を保有する筆頭株主。エネルギー商社としては岩谷産業と双璧を為す国内トップ企業だが、売上高では当社がリードしつつも利益面では同社に見劣りする状況にある。業績においては、売上高7,000億~1兆円レベルで非常に安定的。2020年にはCOVID-19感染拡大によってガソリン・産業用ガスの需要が落ち込んだことで売上高が減少したものの、これは稀有な例。基本的には国内エネルギー需要に急変が起こらない限りは業績は安定的である。財務体質は自己資本比率30%台と大手企業としては標準的な水準に留まるが、利益体質が安定的であるため特段の問題はないだろう。2030年に向けた新たな中期経営計画を新たに策定したが、2030年に向けた目標値としては純利益200億円以上・ROE9.0%以上を目標として掲げる(参考リンク)。将来的には人口減少が進む国内市場を主力とするうえ、自動車の省燃費化・電動化によってガソリン販売の縮小が見込まれるため、成長性は期待しにくいが安定企業であることは間違いない。

就職格付け:AA

伊藤忠商事のグループ会社であり、良くも悪くも親会社にあたる伊藤忠商事との関係が深い。代表取締役会長・代表取締役社長はいずれも伊藤忠商事の出身であり、取締役クラスは伊藤忠商事出身者と伊藤忠エネクス出身者が半々といったところ。給与水準にいおいては、平均年収900万円レベルと総合商社には劣るものの専門商社としてはトップクラス。大卒総合職の場合、30歳で年収680万~750万円ほど、課長職レベルで年収1,100万~1,300万円ほどが目安となるだろう。福利厚生は住宅補助が非常に手厚く、借上げ社宅として独身だと8万円/月・既婚者は11万円/月までサポートされる。この住宅補助を加味すれば、実質的な生活水準は額面年収の+100万円以上は固い。商社のイメージに反して労働環境もホワイトであり、平均残業時間は8.07時間/月(2023年)と非常に短いことも見逃せない(参考リンク)。なお、当社は国内市場を主戦場とする企業であり、売上高のほとんどは日本国内であり海外事業は部分的に留まるため、海外でダイナミックに活躍したい場合には適さないリスクがある。

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出典:伊藤忠エネクス株式会社(有価証券報告書)