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住友大阪セメントの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

住友大阪セメントはセメント・石灰石・建材・電子部品などを展開する住友グループの大手セメントメーカー。セメントにおける国内シェアは太平洋セメント・宇部三菱セメントに次いで国内3位を誇る。1907年に八茎鉱山の社長であった広瀬金七らが創業した磐城セメントを源流とし、1963年に住友セメントへと社名変更。1994年には同業の大阪セメントと合併を果たし、現社名の住友大阪セメントとなった。事業多角化に熱心な企業であり、祖業のセメントに加えて①魚礁などの海洋製品、②廃熱発電による電力供給、③ナノ粒子技術から発展したセラミックス・化粧品材料、④光通信技術を活かした電子部品材料などを展開。

POINT

1.住友Gの大手セメント・素材メーカー、セメント分野の国内シェアは第3位
2.売上高は横ばいだが利益が悪化傾向が続く、ただし財務体質は優良
3.平均年収692万円で年功序列型の給与体系、住宅手当が厚い点は優秀

業績動向

✔売上高と営業利益

住友大阪セメントの売上高は2020年まで2,300億~2,500億円で安定推移していたが、2021年以降は減少傾向*1。営業利益は2015年に過去最高となる236億円を記録したが、同年以降は減益傾向が続く*2。
*1:住友大阪セメントの売上高が2021年に急落したのは、会計基準の変更が主要因であり事業不調によるものではない。2020年3月31日から収益認識に関する会計基準が新たに適用され、同基準に従ったことが変化点(参考リンク)。
*2:直近における利益低迷の主要因は、①世界的な資源価格の高騰によるセメント事業の大幅減益、②公共工事予算の減少による大規模な土木・建築工事を伴う公共事業の減少、③人手不足・建築コスト上昇による建築需要の停滞、などがある。

✔セグメント別の状況

住友大阪セメントはセメント事業(セメント・生コンクリート・セメント系固化材など)、鉱産品(石灰石・ドロマイト・タンカル・シリカ微粉など)、建材(コンクリ構造物補修材料、重金属汚染対策品、魚礁・藻場礁、電気防食工法など)、光電子(光通信部品・光計測機器)、新材料(各種セラミック材料・ナノ粒子材料、抗菌剤、化粧品材料など)、その他(不動産賃貸・エンジニアリングなど)、の6事業を有する。
住友大阪セメントは売上高の約69%をセメント事業で稼ぐが、直近ではセメント事業が赤字転落しており全社利益には貢献しない状況。非セメント事業による利益創出で赤字額を抑制する状況にあるが、とりわけ新材料事業は全社利益の約48%を稼ぐ重要事業となっている。

✔最終利益と利益率

住友大阪セメントの純利益は2016年に過去最高となる純利益162億円を記録したが、同年以降は減少傾向が継続。2022年には純損失57億円に転落*3。営業利益率は2016年までは10%前後の水準にあったが、同年以降は下降傾向が続く。
*3:2022年の純損失は世界的な資源価格の高騰が主要因。セメント製造には石炭火力自家発電設備を用いるが、石炭価格が急騰したことでセメント製造コストが急増。主力のセメント事業が赤字に陥ったことで純損失に転落。

✔自己資本比率と純資産

住友大阪セメントの自己資本比率は2020年までは増加傾向が続いて61.8%に達したが、同年以降は微減傾向。直近の2022年には51.2%に低下したが、依然として高水準であるため財務体質は健全。純資産は長期的に横這いが続いており、1,700億~2,300億円のレンジで推移。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

住友大阪セメントの平均年収は長年に渡って690万~710万円ほどの水準で安定推移している。大卒総合職は30歳前後で年収500万円ほど、課長職レベルで年収800~950万円が目安。平均年齢は直近で42.7歳と大手メーカーの標準的な水準。

✔従業員数と勤続年数

住友大阪セメントの従業員数は長期的に微増傾向が続いているが、概ね1,200人規模の組織となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2,896人ほど。平均勤続年数は18.7年とかなり長めとなっている。

総合評価

企業格付け:BB

国内第3位の大手セメントメーカーでありつつも、電子部品・セラミックス・化粧品材料など幅広く事業展開する素材メーカーとしての側面も有する企業。国内のセメント需要は1990年代には8000万トン/年レベルに達したが、現在では4000万トン/年レベルにまで半減しており、成長産業ではない業界。そのため、事業多角化によってセメント以外の分野に活路を求めつつ、同業の大阪セメントと合併することで規模拡大を果たした点に特徴がある。業績は売上高こそ横這いだが、2015年頃から利益は減少傾向。2022年には石炭価格の高騰が直撃して純損失に転落する事態に陥った。2023年にはコスト高を販売の値上げで吸収するとしており、赤字転落は一過性とみられる。財務体質は自己資本比率50%以上を依然として確保しており、当面安泰。

就職格付け:B

セメントメーカーという業種から一般知名度は高くないものの、住友グループに属することを象徴する社名から一般人にも大企業であることは彷彿とさせられる点には強み(この点においては業界首位の太平洋セメントよりも恵まれているかもしれない)。給与水準は平均年収700万円前後で長年に渡って推移。ただし年功序列色が強い企業であるために、大卒総合職の場合でも30歳前後で年収500~600万円ほど。福利厚生はかなり恵まれており、住宅補助は特に充実。借上げ社宅制度では家賃10万円以内の物件なら、1万円/月程度の自己負担で居住可能。借上げ社宅制度は額面年収を少なめに留めることができ、税金負担も抑制できる点において家賃補助制度よりも優秀。借上げ社宅制度による住宅コストの抑制分を加味すれば、実質的な生活水準は平均年収+100万円ほどになるだろう。

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