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伊藤忠エネクスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

伊藤忠エネクスは石油・ガス・電力・再生可能エネルギー・リニューアブル燃料などを扱うエネルギー商社。1961年に日本鉱業(現・ENEOSホールディングス)の石油製品を販売する為に伊藤忠商事が設立した伊藤忠燃料を源流とし、2001年に現社名の伊藤忠エネクスへと社名変更。家庭用電気・ガスから産業用燃料に至るまで幅広くエネルギー事業を展開、エネルギー商社としての売上高は国内首位。石油・ガス製品の輸入に留まらず、火力発電所・水力発電所・太陽光発電所を保有して発電事業にも進出。最近では自動車関連事業にも注力しており、系列ガソリンスタンドは1,600拠点以上。2014年には日産大阪販売の株式の過半数を取得して新車販売事業にも進出。

POINT

1.伊藤忠Gのエネルギー商社、新車販売・発電・レンタカーなど幅広く展開
2.売上高・利益いずれも安定だが利益率は低い、財務体質は普通
3.平均年収952万円で専門商社トップ級、住宅補助が極めて手厚い

業績動向

✔売上高と営業利益

伊藤忠エネクスの売上高は7,000億~1兆円レベルでの推移が続いており、年度による上下変動が大きい推移となっている*1。営業利益は安定しており、毎年150億~210億円のレンジで安定的に利益を確保。
*1:伊藤忠エネクスの売上高が2020年に急落しているが、これはCOVID-19感染拡大の影響。外出自粛によりガソリンスタンドの販売が減少した他、店舗・工場の稼働減少により産業用ガスの販売も落ち込み。

✔セグメント別の状況

伊藤忠エネクスは、ホームライフ事業(LPガス・灯油・都市ガス・電力・リフォーム・家庭用リチウムイオン蓄電システムなど)、カーライフ事業(ガソリン・灯油・軽油・自動車・自動車関連商品の販売)、産業ビジネス事業部門(重油・産業用ガス・リニューアブル燃料・船舶向け燃料・ターミナルタンク賃貸など)、電力・ユーティリティ事業(水力発電・太陽光発電・石炭火力発電など、電熱供給サービス、レンタカー事業など)の4事業を有する。
伊藤忠エネクスは売上高の約56%をカーライフ事業で稼いでおり、エネルギー商社でありながら自動車関連が最主力事業となっている。利益面では全社利益の約40%を稼ぎだす産業ビジネス事業の貢献も大きく、カーライフ事業と同規模の利益を稼いでいる。

✔最終利益と利益率

伊藤忠エネクスの純利益は過去8年間に渡って微増傾向が続いており、直近の2022年には過去最高となる純利益138億円に到達。営業利益率は1~2%レベルで推移しており、利益率は低めのビジネスモデル。

✔自己資本比率と純資産

伊藤忠エネクスの自己資本比率は過去8年間に渡って30%前後の水準で推移しており、高くも低くもない標準的な水準。純資産は右肩上がりでの増加傾向が続いており、直近の2022年には純資産1,803億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

伊藤忠エネクスの平均年収は緩やかな微増傾向が続いており、直近の2022年の平均年収は952万円。大卒総合職なら30歳前後で年収600~700万円ほどが目安。総合商社には及ばないものの、専門商社としてはトップクラスの給与水準。

✔従業員数と勤続年数

伊藤忠エネクスの単体従業員数は概ね500人規模で推移しており、少数精鋭の組織規模となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は5,461人規模。平均勤続年数は直近で15.7年と大手企業としては標準的な水準。

総合評価

企業格付け:AA

伊藤忠グループの中核企業の1社としてエネルギー流通を担う企業であり、伊藤忠商事が発行済み株式数の約53.9%を保有する筆頭株主の地位にある。エネルギー商社としては岩谷産業と並んで国内トップ企業の一角。国内市場を主戦場とする企業であり、売上高のほとんどは日本国内であり海外事業は部分的に留まる。業績は売上高7,000億~1兆円レベルで非常に安定的。2020年にはCOVID-19感染拡大によってガソリン・産業用ガスの需要が落ち込んだことで売上高が減少したものの、これは稀有な例。基本的には国内エネルギー需要に急変が起こらない限りは業績は安定的である。財務体質は自己資本比率30%台と大手企業としては標準的な水準に留まるが、利益体質が安定的であるため特段の問題はないだろう。

就職格付け:AA

伊藤忠商事のグループ会社であり、良くも悪くも親会社にあたる伊藤忠商事との関係が深い。代表取締役会長・代表取締役社長はいずれも伊藤忠商事の出身であり、取締役クラスは伊藤忠商事出身者と伊藤忠エネクス出身者が半々といったところ。給与水準は平均年収900万円レベルと総合商社には劣るものの専門商社としてはトップクラス。福利厚生は住宅補助が非常に手厚く、独身だと8万円/月・既婚者は11万円/月まで借上げ社宅としてサポートされる。この住宅補助を加味すれば、実質的な生活水準は額面年収の+100万円以上は固い。2030年に向けた新たな中期経営計画を新たに策定したが、2030年に向けた目標値としては純利益200億円以上・ROE9.0%以上を目標として掲げる(参考リンク)。将来的には人口減少が進む国内市場を主力とする企業であるうえ自動車の省燃費化・電動化によってガソリン販売の縮小が見込まれるため、爆発的な伸びしろは期待しにくいが安定企業であることは間違いないか。

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