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【勝ち組?】三井住友銀行の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

三井住友フィナンシャルグループは、住友グループ・三井グループに属する大手金融グループ。2001年に住友銀行とさくら銀行が合併した誕生した三井住友銀行の持株会社であり、三井住友ファイナンス&リース・SMBC信託銀行・SMBC日興証券・日本総研などを傘下に持つ。総資産290兆円を超える世界上位級の総合金融グループであり、資産規模では世界上位15行に数えられる。最近では海外銀行への出資・買収を相次いで仕掛けており、海外事業の育成にも熱心。

POINT

・国内三大メガバンクの一角、銀行単体の収益力は三菱UFJ銀行をも凌ぐ
・業績は2021年から好転して過去最高を更新、財務体質も堅い
・総合職は30代・年収1,000万円で福利厚生も良好、全国転勤の覚悟は必須

就職偏差値

■GCIB採用
日本企業における頂点であり、まさしくトップクラスの勝ち組。誰もが羨望する圧倒的な待遇・地位が約束されるスーパーエリート。しかしそれゆえ、入社できるのは同世代の極一握りに限られ、超人的な能力・努力・運がすべて必要となる。
■総合職
かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。

詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

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業績動向

✔売上高と経常利益

三井住友フィナンシャルグループの経常収益は2021年まで4兆円規模で推移していたが、2022年には9.35兆円まで急増*1。邦銀としては三菱UFJフィナンシャルグループに続く第2位の経常収益を誇る。経常利益は2021年から増加傾向が続いている。
*1:2023年の経常収益の急増は、①景気好調による資金需要の急増、②主要各国の利上げによる金融収益の増加、③収益認識の基準の変更による会計変更、など。

✔セグメント別の状況

三井住友フィナンシャルグループはホールセール事業部門(国内の大企業・中小企業向け業務)、リテール事業部門(国内の個人向け業務)、グローバル事業部門(海外企業・現地法人向け業務)、市場事業部門(金融マーケットに関連する業務)、本社管理(その他の業務)の5事業を有する。
経常収益では国内の個人向け業務のリテール部門が約32%を占めるが、利益に占める割合は11.5%程度に過ぎない。殆どの利益を対企業業務や海外・市場取引で稼いでいる構造であり、メガバンクにとって個人向け業務は利益率が低いことが伺える。

✔最終利益と利益率

三井住友フィナンシャルグループの純利益は2021年から増加傾向にあり、直近では0.96兆円まで増加*2。経常収益に対する純利益の割合はメガバンク3行中トップクラス。自己資本利益率は長期的に5%~6%ほどで安定的。
*2:2016年に日本銀行がマイナス金利政策を導入したことで利益低迷に苦しんでいたが、世界的な物価高に伴う金融政策の変更によって金融環境は大きく改善。2023年は景気好調による資金需要の急増もあって、当行の利益率も改善傾向にある。

✔自己資本比率と純資産

三井住友フィナンシャルグループの自己資本比率は直近で5.0%と低めだが、銀行業であれば健全な水準。銀行業は顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三井住友フィナンシャルグループの平均年収は直近で1,086万円だが、これは持株会社の1,290名のみの平均年収。三井住友銀行単体での平均年収は842万円(2022年)。総合職であれば30歳で年収800万~950万円ほど、支店長クラスであれば年収1,500万~1,700万円に到達する。

✔従業員数と勤続年数

三井住友フィナンシャルグループの単体従業員数は増加傾向にあり、直近では1,290人ほど。殆どの従業員は事業会社に属しており、子会社・関係会社を含めた連結従業員数は直近で10.6万人ほど*3。平均勤続年数は15.4年だが、これは持株会社の1,130名のみの平均勤続年数。三井住友銀行の平均勤続年数は16.1年(2022年)。

総合評価

企業格付け:AA

■業界ポジション
国内三大メガバンクの一角、銀行単体の収益力は三菱UFJ銀行に対してリードしており、日系メガバンクの中では頭一つ抜けた存在。メガバンク3行の中でも機動力に過ぎれたビジネス戦略に定評があり、2023年にはTポイントを展開するカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCCグループ)と資本業務提携して、Vポイントの裾野を一気に広げて世間を驚かせた。が、2021年にはSMBC日興証券で相場操縦という金融機関にあるまじき不祥事を発生させ、コンプライアンスへの疑義も。

■財務体質
好転。長年に渡ってマイナス金利政策による事業環境の悪化に苦しんでいたが、2024年にはマイナス金利政策が終了。資金運用の環境が改善されたうえ、世界的な株高による恩恵も大。2024年には10年ぶりに過去最高益を更新しており、「銀行業は斜陽産業」と言われてきた状況は大きく変わりつつある。

■財務体質
良好。自己資本比率は5.0%と一見すると低いが、銀行業であれば問題ない水準。メガバンク3行のなかでも自己資本比率は他と遜色ない。総資産290兆円規模という圧巻の資産規模に加えて、純資産は18.3兆円レベルと大きい。

就職格付け:Global採用=AAA/総合職=BB

■給与水準
銀行業トップクラス。総合職であれば30代で年収1,000万円を越え、支店長クラスとなれば1,500万~1,700万円にも達する。定期的な資格取得・ドサ周り営業・ノルマへのプレッシャーという金融機関特有の難点もあるため、自身の適性はよく考えておきたい。

■福利厚生
良好。転勤前提の総合職には独身寮・家賃補助・社宅制度が整備されており、住宅コストを大きく削減できる。一見するとお得にも見えるが、一部の本社部門を除いて定期的な転勤があるため夫婦共働きには向かず、世帯収入という意味では伸ばしにくいのが辛い。転勤発表も1週間前などのタイミングで発表となるため、人生設計が立てにくいのも注意点。

■キャリア
総合職のみの採用だが、一部部門に配属を確約するコース別採用もある。総合職の多くは営業部門・全国支店へと配置され、リテール営業・法人営業からキャリアをスタートさせる。その後、ローテーションを経ながら将来有望な人材は花形部門へと配置転換され、ダイナミックな金融の世界に関わっていく(一部のコース別は花形部門に入社後ただちに直行できる)。エリア総合職に該当する職種は採用が激減しており、窓口業務はスタッフ職(契約社員)への置き換えが進んでいる。

■50代以降の転籍
定年まで本体で勤続できる社員は一握り。役員クラスになれなかった総合職は50代前半で遅かれ早かれ取引先・関係会社へと転籍となる点に注意。転籍後は年収が大幅ダウンとなる他、今まで経験がない他社に中高年から配属されることになるため環境も大きく変わる。人生後半の待遇の悪さから就職格付けは低くなる。

■Globalバンキングコース採用
2023年に職種別採用が開始され、本社部門直行のブレイン採用枠が誕生。とりわけグローバルバンキング部門への採用枠は別格のキャリアパスが用意されており、就職格付けは別枠で考える必要がある。同コースはグローバル戦略企画・組織設計などに携わることが前提の採用であり、世界的にも上位級の巨大金融グループでダイナミックな花形業務に就けるというのは大きなロマンがある。金融機関を志しつつもドサ周り営業に人生の時間を費やしたくない人材には選択肢となりうる。

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出典:株式会社三井住友フィナンシャルグループ(有価証券報告書)