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【勝ち組?】三井住友信託銀行の就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

三井住友トラストグループは、三井住友信託銀行・三井住友トラスト不動産・日興アセットマネジメントなどを傘下に収める大手信託銀行グループ。1924年に設立された三井信託を源流とし、2011年に中央三井トラストと住友信託銀行が合併して設立。信託銀行として銀行業務・信託業務・併営業務の3事業を柱としており、財産管理・相続業務・不動産仲介などにも進出。日系信託銀行では業界首位の規模を誇り、総資産は75兆円(信託銀行2位の三菱UFJ信託銀行は総資産42兆円)。名称が類似する三井住友フィナンシャルグループとはなんら資本関係・協業関係はない。

POINT

・日系信託銀行グループとしては断トツ首位、手数料収入に強い
・売上高・利益いずれも高水準で安定的、財務体質も優良
・総合職・30歳で850万~980万円とメガバンク同等、福利厚生も手厚い

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:71(最上位)

日本社会におけるサラリーマンの最上位クラスの待遇を得られる。勝ち組サラリーマンとして胸を張れる人生が得られるが、入社するには相当以上の能力もしくは運が必要。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用人数は年間380人~450人とかなりの大量採用。一般知名度がやや低いために、選考倍率はメガバンクよりも低くなりやすく、待遇を考えれば穴場である。
採用大学:【国公立】東京大学・東京工業大学・京都大学・大阪大学・名古屋大学・北海道大学・広島大学・滋賀大学・熊本大学・小樽商科大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・明治大学・立教大学・青山学院大学・フェリス女学院大学・同志社女子大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔経常収益と経常利益

三井住友トラストグループの経常収益は2021年まで1.2兆~1.4兆円で推移してきたが、同年以降は急増傾向。2024年には過去最高となる経常収益2.92兆円に到達している*1。経常利益は2023年に1,013億円まで減少したが、2024年には3,676億円まで増加*2。
*1:2022年から経常収益が急増した理由は、①世界的な金利上昇による資金運用収益(貸出金利息・利息配当金)が急増した点、②株式投資ブームによる資産運用・資産管理の手数料収入の増加、など。
*2:2024年に経常利益が急増した理由は、①円金利上昇による資金利益の増加、②資産運用・資産管理の手数料利益の増加、③不動産市況の活況による不動産仲介利益の増加、など。

✔セグメント別の状況

三井住友トラストグループは、個人事業(受信業務・与信業務・資産運用・遺言信託など)、法人事業(株式事務・証券代行・M&Aファイナンス・シンジケートローンなど)、投資家事業(投資商品・プライベートアセット・投資サポートなど)、不動産事業(不動産売買・賃貸借の仲介、アドバイザリー、不動産証券化など)、マーケット事業(投資業務、財務マネージ業務、金融商品開発・販売)、運用ビジネス事業(資産運用サービス業務)、その他事業の7事業を有する。
当社は7事業がバランスよく経常収益・経常利益を稼いでいるが、主力は個人事業・法人事業。とりわけ法人事業は経常利益において約43%を占める稼ぎ頭の事業となっている。特に法人事業における証券代行業務では上場企業の約41.8%と取引関係があり国内シェア首位を占めており利益率も高め(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

三井住友トラストグループの純利益は2023年を除けば1,200億~1,900億円で長期的に安定。2024年には過去最高となる純利益2,576億円に到達している。経常利益率も2023年を除けば12%~17%レベルで安定しており、金融業としても利益率はかなり高め。

✔自己資本比率と純資産

三井住友トラストグループの自己資本比率は4%台と低めだが、銀行業であれば健全な水準。銀行業は顧客から預金・有価証券を預かる事業の性質上、貸借対照表での負債が広がるため自己資本比率が低くなりやすい。純資産は横ばい傾向が強い推移となっているが、2023年には3兆円を突破している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

三井住友トラストグループの平均年収は1,200万~1,300万円の高水準で推移しているが、これは持株会社の283名・平均年齢50歳での平均年収であるため参考にならない。事業会社である三井住友銀行の平均年収は728万円(2023年)であるが、大卒総合職であれば30歳で850万~980万円、課長職レベルで1,100万~1,300万円が目安となるだろう。

✔従業員数と勤続年数

三井住友トラストグループの従業員数は283人(2023年)に過ぎず、従業員の大半は事業会社に所属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.29万人ほど。平均勤続年数は21.7年と長いが、持株会社の従業員のみの平均勤続年数なので参考にならない。

総合評価

企業格付け:AA

日系信託銀行では業界屈指の規模を誇り、信託銀行2位の三菱UFJ信託銀行を大差で引き離すリーディングカンパニー。日本国内に信託銀行は多数あるが、信託銀行を核とする金融グループとしては唯一無二の存在である(『普通銀行を中核とする金融グループに信託銀行が付随する形態』が一般的であるが、当行は『信託銀行を中核とする金融グループ』という点において珍しい)。同じく三井グループと住友グループの金融機関である三井住友フィナンシャルグループとは何ら資本関係はなく、同グループのSMBC信託銀行とは競合関係にすらあるので要注意。業績においては極めて安定的であり、経常収益・経常利益いずれも堅調に推移している。ネット銀行の隆盛によって銀行業が手数料収入を失う時代にあっても、手数料利益が占める割合は50%以上(大手メガバンクは軒並み30%台で推移している)と顧客基盤は盤石。信託銀行は遺言信託や証券代行業務など、ネット銀行では代替できないビジネスに強いため、依然として手数料利益をしっかりと稼ぎ続けられる。あらゆる一般市民が口座開設をするメガバンクに比べて、顧客の客層が富裕層などが中心である点も強み。

就職格付け:AA

信託銀行でのキャリアを目指すなら真っ先に候補となる業界首位の信託銀行グループ。他の大手金融グループとは異なり、信託銀行が脇役ではなくグループの中核を担っている為、信託銀行マンがキャリアの王道となる点は見逃せない。給与水準においては大手メガバンクに次ぐ水準にあり、持ち株会社の平均年収は1,200万~1,300万円ほどで推移している。…が、この平均年齢は「持株会社の283人(平均年齢50歳)の平均年収」であるため、参考にならない。実際には、大卒総合職・30歳で850万~980万円、課長職レベルで1,100万~1,300万円が目安となるだろう。福利厚生においても恵まれており、高年収のうえに32歳までは独身寮及び社宅に格安で入居できるため可処分所得を高く維持できる。全国転勤は大手メガバンクと同様の宿命ではあるが、店舗数が絶対的に少ないために中核都市クラスまでの転勤で済む点も見逃せないメリット(極端な僻地や過疎地域での勤務の可能性が低い)。地域限定職での採用もあるうえ入社後のコース転換も可能であるため、特定の地域に生活の根を下ろしたい場合にも柔軟である。

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出典:三井住友トラストグループ株式会社(有価証券報告書)