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【勝ち組?】トヨタ自動車の就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

トヨタ自動車は、世界180ヶ国以上でトヨタ・レクサスブランドの自動車を製造・販売する大手自動車メーカー。1937年に豊田自動織機から自動車部が独立して設立。1950年代から国産乗用車の大量生産を進め、1957年にアメリカ市場へと進出。1974年には『カローラ』が世界販売台数1位を獲得して、世界的なブランド力を確立。1989年には高級車ブランド『レクサス』を立ち上げて高級車分野へと進出した他、1997年にはハイブリッド車『プリウス』を生み出した。現在では年間997万台を生産する世界トップクラスの自動車メーカーとして知られ、SUBARU日野自動車・ダイハツ工業の筆頭株主でもある。

POINT

・世界トップ級の大手自動車メーカー、ハイブリッド分野に傑出した強み
・売上高・利益は2021年から増加して業績好調、財務体質も相当に健全
・平均年収899万円だが昇給は意外と遅い、愛知県豊田市での暮らしがネック

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:75(最高峰)

サラリーマンとしては最高峰クラスの勝ち組。大手BtoCメーカーでは最高峰の給与水準であり、世界的な一般知名度の高さも強み。業績・利益率も申し分なく、不安要素は少ない。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用数は年間400人~570人ほど、かなりの大量採用であり総合職の出身大学も多様性に富む。最近では中途採用の比率を高めつつあり、新卒でなければ入社できない時代は終わっている。
採用大学:【国公立】東京大学・京都大学・大阪大学・名古屋大学・東北大学・九州大学・北海道大学・広島大学・名古屋工業大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・明治大学・中央大学・立命館大学・南山大学・東京理科大学・東京電機大学・豊田工業大学など(出典:大学通信オンライン

業績動向

✔売上高と営業利益

トヨタ自動車の売上高は2021年まで27兆~31兆円レベルで推移していたが、同年以降は急増。2023年には過去最高となる売上高45兆円に到達している*1。営業利益は2022年まで1.9兆~2.9兆円ほどで推移していたが、2024年には過去最高となる5.35兆円に到達*2。
*1:2023年に売上高が急増した理由は、①為替レートの円安推移による為替効果、②国内外におけるハイブリッド車の販売好調による増販、③原材料価格・労務費の上昇を踏まえた値上げ対応、など。
*2:2023年に利益が急増した理由は、為替レートの円安推移による為替効果が大きい。当社は生産台数の約44%を日本国内で生産しているため、円安が利益の押し上げに直結する。高利益率な高級車・ハイブリッド車の好調も追い風。

✔セグメント別の状況

トヨタ自動車は、日本事業、北米事業(アメリカ・カナダ・メキシコなど米州全域)、欧州事業(ドイツ・フランス・イギリス・ベルギーなど欧州全域)、アジア事業(中国・タイ・フィリピン・インドなどアジア全域)、その他事業(中近東・中南米・アフリカほか)、の5事業を有する。
当社は売上高の約78%を海外市場で稼いでおり、とりわけ北米事業は売上高の約39%を占める最重要市場である。一方、日本事業が全社利益の約64%を占めるが、これは日本で生産した車両を輸出して世界各地で得た利益が計上されているためである。

✔最終利益と利益率

トヨタ自動車の純利益は2022年まで1.8兆~2.8兆円レベルで推移していたが、同年以降は増加傾向。2023年には過去最高となる純利益4.94兆円に急増。営業利益率は7%~11%で推移しており、自動車メーカーとしては高めの利益率。

✔自己資本比率と純資産

トヨタ自動車の自己資本比率は37%~38%ほどで安定的に推移している。さほど高くはない水準だが、これは販売金融による負債が計上されている事情があり特段の問題はない*2。純資産は長期的な増加傾向にあり、2024年には35.2兆円に到達している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

トヨタ自動車の平均年収は830万~890万円のレンジで推移している。総合職であれば30歳で年収850万~950万円ほど、課長職レベルで年収1,250万~1,400万円に達する。製造業としては最高峰の給与水準だが、他業界と比較すると決して傑出しているわけでもない。

✔従業員数と勤続年数

トヨタ自動車の単体従業員数は2017年の7.48万人をピークにやや減少傾向にあり、2023年には7.02万人ほどの組織体制となっている。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は38万人の大所帯である。平均勤続年数は16.0年(2024年)と大企業の標準的な水準であり、従業員の定着は普通レベルである。

総合評価

企業格付け:SS

日本を代表する世界的な自動車メーカーであり、日本企業トップとなる売上高・利益を叩き出している製造業の雄。世界生産台数は年間1,000万台レベルに到達しており、事業規模においても傑出。100年に1度と言われる自動車業界の変革期を生き残るために全方位戦略を強いており、ガソリン車・ハイブリッド車・電気自動車・水素自動車などを満遍なく展開する。業績においては売上高・利益を2021年から大きく伸ばしており、極めて好調。当社は国内生産重視の事業方針を継続しており、日本国内における生産が約44%を占める。そのため、COVID-19以降の為替レートの円安推移が輸出有利な追い風となっている事情もある。財務体質においては自己資本比率38.0%(2023年)と高くはないが、これは販売金融による負債が計上されている事情があるため仕方がない。純資産でいえば35.2兆円(2023年)と巨大であり、安定した利益創出力をも加味すれば財務健全性には何ら懸念はないだろう。

就職格付け:AAA

名実ともに日本トップ企業として国内外に知られた企業であり、社会的名声においては他の追随を許さない。給与水準においては平均年収899万円(2024年)と製造業としてはトップクラス。総合職であれば30歳で年収850万~950万円ほど、課長職レベルで年収1,250万~1,400万円に達する。…が、日本屈指の事業規模を誇る割には普通の給与水準ではあり、年功序列色も今なお強いために昇給ペースは意外と遅い。商社・不動産・IT業界などと比べると優位性には乏しいこともまた事実である。福利厚生においては相当に恵まれており、独身寮は月額1〜3万円(30歳過ぎまで利用可能)、社宅は月額3~4万円で利用できる。が、当社最大のネックは、人生の多くの期間を愛知県豊田市の周辺で過ごすことになる点であろう。良くも悪くも愛知県の郊外であり、日々の娯楽は勿論のこと結婚・育児などにも影響はある。給与水準が意外と傑出しないことや都市部の出身者には厳しい環境であることを妥協できるかが大きな論点となるだろう(当社に入社できるだけのスキルを持ち合わせた求職者であれば、同等以上の待遇を都市部で得ることは十分可能であろう)。

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出典:トヨタ自動車株式会社(有価証券報告書)