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自動車部品メーカー

デンソーの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

デンソーは、自動車に使用される幅広い部品を製造する自動車部品メーカー。1949年にトヨタ自動車から独立して設立された企業であり、現在ではロバート・ボッシュに次ぐ世界第2位のメガサプライヤーとして君臨。世界中の自動車メーカーに、エンジン部品・電子機器・エアコン・熱交換器・車載半導体などを供給しており、特に電気電子部品に強みを有している。自動車部品以外の事業も幅広く展開しており、QRコード・携帯電話・ロボットの開発やスマート農業にも進出。

POINT

・世界第2位の自動車部品メーカーとして業界屈指、トヨタGへの業績依存大
・欠陥燃料ポンプによる死亡事故で世界的リコールに、費用負担で利益停滞
・総合職は30歳で年収750万円~だが住宅補助薄い、勤務地は愛知県郊外

業績動向

✔売上高と営業利益

デンソーの売上高は2020年まで4~5兆円規模で推移していたが、2021年以降は増加傾向が継続。2023年には売上高7.14兆円に到達。営業利益は3,100億~4,200円レベルでの推移が続いているが、2019年には急減速する局面も*1。
*1:2019年には営業利益が611億円に急減しているが、これは①景気減速により主要顧客の自動車生産台数が減少したこと、②年度末にCOVID-19感染拡大による生産混乱に直面したこと、に起因している。

✔セグメント別の状況

デンソーは日本事業(積水ハウス向けを主とする建材の製造販売)、北米事業(アメリカ・カナダ・メキシコなど)、欧州事業(オランダ・イギリス・イタリア・スペインなど)、アジア事業(中国・タイ・マレーシア・インドなど)、の4事業を有する。
デンソーはグローバルに事業展開するメガサプライヤーであるが、意外にも海外売上高比率は59%に留まっている。これは売上高の約47%を(日本国内における生産比率が高い)トヨタ自動車に依存していることに起因している。

✔最終利益と利益率

デンソーの純利益は680億~3,200億円ほどの水準で横ばい。2020年頃から燃料ポンプの欠陥によるリコールが続発、総額4,400億円以上もの費用が発生しており利益が伸び悩む状況*2。
*2:2020年頃から過去に販売した燃料ポンプの構造上の欠陥により、エンジンに燃料が届かずエンストに至る可能性が判明。これによる死亡事故も発生したことで社会問題化(参考リンク)。リコール台数は全世界で約1,666万台以上に及び、利益を下押しし続けている(参考リンク)。

✔自己資本比率と純資産

デンソーの自己資本比率は直近で60.9%と高水準であり、安定的な利益体質もあわせて考えれば堅実な財務体質である。純資産は堅調な増加を継続しており、直近では5.53兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

デンソーの平均年収は直近で811万円と、完成車メーカー大手3社に近い水準(トヨタ自動車・日産自動車未満、本田技研工業以上)。大卒総合職であれば30歳で750万~850万円ほど、課長クラスで1,050万~1,200万円ほど。平均年齢は44.5歳とかなり高めであり、高齢化が進んだ組織。

✔従業員数と勤続年数

デンソーの単体従業員数は2018年以降は4.5万人前後で横ばいの推移が続いている。2017年に自動車向け小型モータを得意とする同業のアスモを買収したことで従業員数が4万人を超えたが、それ以降は横這い。平均勤続年数は22.3年前後とかなり長めの水準。

総合評価

企業格付け:A

■業界ポジション
自動車部品メーカーでは世界2位の規模感を誇り、世界の自動車業界に対して大きな存在感があるメガサプライヤー。売上高の約51%がトヨタグループが占め、トヨタ自動車への業績依存度が極めて高い。同社以外においては、本田技研工業・ステランティスグループ・フォード・ゼネラルモーターズとの取引関係が深い。

■業績動向
2021年以降は売上高が増加傾向。主要顧客・トヨタ自動車の販売好調に加えて、2022年以降の急激な円安により売上高が拡大している。が、利益は伸び悩んでおり、事業環境の追い風を生かし切れていない。最大要因は欠陥燃料ポンプ問題であり、度重なるリコールにより利益が削がれている状況。

■財務体質
良い。自己資本比率は直近で60.9%と高水準であり、安定的な利益体質もあわせて考えれば堅実な財務体質である。有利子負債は8,507億円に及ぶが、手元の現預金だけでも7,893億円を確保できており余裕が大きい。

■ビジネス動向
2025年までに営業利益率10%を目指す中期経営計画を策定。将来性がない事業の整理を進め、将来的に成長性があり高利益率が見込めるビジネスへと集約を図る方針。とりわけ、電気自動車の基幹部品であるインバータ・電源システム・熱マネジメントシステムへと投資を急ぐ他、自動運転・ソフトウェア分野への技術深堀も進める。 次世代半導体の国産化を目指す新会社・ラピダスにも出資。

就職格付け:BBB

■給与水準
平均年収は直近で811万円と、大手メーカーなりの水準。完成車メーカー大手3社に近い水準にあり、トヨタ自動車・日産自動車未満、本田技研工業以上の給与水準である。大卒総合職は30歳で750万~850万円ほど、課長クラスで1,050万~1,200万円ほど。

■福利厚生
企業規模の割に乏しい。借上げ社宅・家賃補助制度の適用範囲が狭いため、若手社員は独身寮での共同生活が主となる。いちど独身寮からでると戻れないうえ、30歳前後には退寮しなければならない。関東地方における拠点は東京支社のみであり、従業員の殆どが生涯を中部地方の郊外で過ごすことになる。

■キャリア
事務系・技術系の2職種制。事務系総合職は生産管理・企画・営業・人事・法務などに配属され、技術系総合職は研究開発・生産技術・IT・半導体などのコースに分かれる。いずれの職種も部門間をまたぐローテーションを経ながら経験を蓄積する。かつてトヨタ自動車から分離独立した経緯があるが、現経営陣は殆どが当社プロパー入社組であり、トヨタ自動車からの天下り役員は殆どいない。

■勤務地
本社勤務の場合でも勤務地は愛知県刈谷市が中心となる為、首都圏をはじめとする他地域出身者にとってはかなり苦しい環境。そのうえ中部地方ではトヨタ自動車が圧倒的な企業ブランドを誇り、仕事においても同社を顧客として日々業務にあたるため、自己肯定感もやや高めにくい点はネックか。

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