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【勝ち組?】ダイフクの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

ダイフクは、搬送機器・物流設備などのマテリアルハンドリングシステムを製造販売する総合物流機械メーカー。1937年に鍛圧機械メーカーとして創業。終戦直後には家具・粉砕機などを製造していたが、1940年代から物流機械の製造に進出、1950年代にはトヨタ自動車の生産ライン向けにコンベアシステムを納入、物流機械メーカーとして発展。現在においては物流設備分野において売上高・シェアで世界1位。あらゆる製品を搬送できる自動化ノウハウを有しており、工場・倉庫の自動化・省人化に対応。

POINT

・物流機器メーカーとして世界1位の最大手、多種多様な業界に顧客多数
・売上高・利益は物流投資ブームを追い風に成長が続く、財務も堅い
・平均年収775万円、総合職は30歳で600万円を超えるが福利厚生は普通

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:65(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。給与・待遇は大手企業の中でも上位クラス、満足度の高い人生を安定して歩むことができる可能性が高い。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用数は年間80人~90人ほどと企業規模なり。かつては無名であったが、マテハンシステムにおける世界最大手への躍進と待遇改善によって人気上昇。滋賀県ではかなりの人気企業。
採用大学:【国公立】大阪大学・名古屋大学・広島大学・千葉大学・三重大学・大阪公立大学・滋賀県立大学・名古屋工業大学・豊橋技術科学大学など、【私立】早稲田大学・同志社大学・関西大学・関西学院大学・近畿大学・東京理科大学・金沢工業大学・東京電機大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

ダイフクの売上高は緩やかな成長基調が続いており、直近の2023年には過去最高となる6,114億円に到達。営業利益も長期的な増加傾向にあり、2022年には過去最高となる営業利益620億円を記録。いずれも好調な拡大を遂げている*1。
*1:当社の業績成長が続いている理由は、①世界的な人件費高騰を受けた生産性向上への物流自動化ニーズの拡大、②大手Eコマース業者や大手メーカーによる大規模な物流投資、③為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

ダイフクは、ダイフク事業(マテハンシステム・洗車機などの製造販売)、コンテック事業(産業用コンピュータ・ネットワーク機器などの製造販売)、DNA事業(北米におけるマテハンシステムなど)、CFI事業(半導体メーカー向けクリーンルーム内搬送システムなど)、DSA事業(中国における半導体メーカー向けクリーンルーム内搬送システムなど)、その他事業(その他の子会社)、の6事業を有する。
当社の主力事業はダイフク事業・DNA事業が担うマテハンシステムであり、この2事業が売上高の約66%・利益の約82%を占める。2020年からは生産の現地化を推進しており、アメリカ・中国・インドにおいて現地法人の生産能力を強化している。

✔最終利益と利益率

ダイフクの純利益は売上高と連動して増加しており、直近の2023年には過去最高となる純利益454億円を記録。2019年はやや減益に沈んだが、成長トレンドは崩れていない*2。営業利益率は9%~11%ほどで推移しており、設備メーカーとしては良好な水準。
*2:2019年に純利益が減少した理由は、①米中貿易摩擦の激化によって高利益率な半導体・液晶生産ライン向けの受注が低迷したこと、②2018年の純利益には関係会社株式の売却による特別利益が加わっており一過性要因が剥落したこと、など。

✔自己資本比率と純資産

ダイフクの自己資本比率は50%~60%の水準で長期的に推移している。直近の2023年は55.5%に後退したが、大手機械メーカーとしてはトップクラスの水準にある。純資産は右肩上がりの増加が長期的に続いており、直近は3,587億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ダイフクの平均年収は760万~830万円ほどで横ばいが続いている。総合職であれば30歳で年収600万~700万円ほど、課長職レベルで年収1,000万~1,200万円が目安*3。平均年齢は40歳~42歳で安定しており、大手メーカーの標準的な水準。
*3:当社は2024年に給与制度を改定。業績好調を受けて組合員を対象に平均12.4%の賃上げを実施(参考リンク)。年功序列を重視した評価制度から、業績を重視した評価制度へと転換。

✔従業員数と勤続年数

ダイフクの単体従業員数は業績拡大に応じて増加傾向にあり、直近では3,509人に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.3万人ほど。平均勤続年数は15年前後の水準で推移しており、大手メーカーの標準的水準である。

総合評価

企業格付け:B

世界首位の総合物流機器メーカー。顧客企業は自動車メーカー・半導体メーカー・大手EC業者・農協など極めて多岐に渡り、特定業界に依存しない事業構造も強み。自動倉庫からコンベアに至るまであらゆる自動化・無人化設備をパッケージとして提案・設置ができ、稼働後の保守サポートまでをビジネスとして展開。業績は右肩上がりの成長傾向が続いており、売上高・利益いずれも過去最高圏で推移している。世界的な人件費高騰によって物流業・製造業における効率化・生産性向上のニーズは高まり続けており、業績の追い風となっている。財務も堅実であり、成長企業でありながら自己資本比率55%以上の水準を維持できている。強いて言えば、昨今は欧州・中国を中心に物流ロボットを開発するベンチャー企業が乱立しており、ロボット分野において出遅れないかはやや懸念。とはいえ、過去50年以上に渡ってあらゆる業界に物流機器を納入してきた知見と信頼は当面不動であろう。

就職格付け:B

一般知名度は極めて低い企業であるが、物流機器において世界シェア首位を誇るリーディングカンパニー。戦前に製鉄機械メーカーとして創業した企業であるが、1950年代から物流機器メーカーへと業態を転換。戦前においては兼松グループの一角であったが、1947年にグループを離脱。その際に工場を置いていた大阪と福知山の頭文字から、現社名の「ダイフク」を冠するに至っている。給与水準においては平均年収775万円(2023年)と大手メーカー並みの給与体系、ボーナス比率が高い給与体系のため業績好調のうちは今の給与水準が謳歌できるだろう。悲しいほどに知名度が低い点が惜しいが、関西圏ではそこそこ知られた存在であり、地盤の滋賀県では有名企業である。福利厚生は企業規模なりであり、大阪・滋賀・東京に独身寮があり寮費は格安(ただし家賃補助制度は月額0.5万~2万円とやや渋い)。滋賀県日野町に総面積120万㎡のグローバルマザー工場があり、国内従業員の約半数が同地に勤務する(参考リンク)。昨今は物流の自動化・合理化が世界的なトレンドとなっており、転職市場においても同社出身者であれば底堅いニーズがあるだろう。なお、現経営陣の殆どは戦前にグループ離脱したはずの兼松出身者が大半を占めており、代表取締役会長・代表取締役社長・取締役・監査役に至るまで同社出身者がポストを占めている。

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出典:株式会社ダイフク(有価証券報告書)