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【勝ち組?】セイコーグループの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

セイコーグループは、時計製造を主力とする精密機械メーカー。1881年に服部金太郎が開設した服部時計店を起源に持ち、1890年代から国産懐中時計の量産化に成功した日系時計メーカーの雄。1960年代に世界初のクオーツ腕時計の開発に成功。伝統的なスイス時計メーカーの多くを窮地へと追い込み、腕時計市場を席捲。現在では高級腕時計から普及価格帯に至るまで幅広く時計を販売。社名が類似するセイコーエプソンは当社から諏訪工場が分離した企業である。

POINT

・日本を代表する時計メーカーの一角、低~高価格帯まで幅広く展開
・売上高は回復傾向だが利益率はかなり凡庸、財務健全性も普通
・大卒総合職は30歳で年収480万~550万円ほど、福利厚生は薄め

就職偏差値

61(中堅上位)

日本企業における中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

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業績動向

✔売上高と営業利益

セイコーグループの売上高は2020年に一時的減少*1に見舞われたが、同年以降は回復傾向に。が、1985年に記録した売上高5,000億円と比べると事業規模はかなり縮小している。営業利益は2021年から増加傾向が継続、直近では147億円に到達。
*1:COVID-19感染拡大による世界的なロックダウン・外出規制により装飾品としての腕時計需要が大幅減少。一時的な環境変化とはいえ影響は甚大であった。

✔セグメント別の状況

セイコーグループは、エモーショナルバリューソリューション事業(腕時計・掛時計・ムーブメント、高級宝飾・服飾・雑貨など)、電子デバイス事業(水晶振動子・プリンタ・精密部品など)、システムソリューション事業(無線通信機器・データサービス・情報システムなど)、その他事業(シェアードサービス・不動産賃貸ほか)の4事業を有する。
当社は腕時計メーカーとしてのイメージが強いが、時計分野の売上高は約65%ほどであり、他事業の存在感もそれなりに大きい。高級価格帯の”グランドセイコー”や”クレドール”が人気を博しているものの、時計分野の営業利益率は10%未満。

✔最終利益と利益率

セイコーグループの純利益は30億円~100億円ほどで横ばい。直近の純利益は、競合するシチズン時計の純利益の半分ほどに留まる。営業利益率は概ね3~5%レベルであり、それほど利益率は高くはない。

✔自己資本比率と純資産

セイコーグループの自己資本比率は直近で39.6%とまずまずの水準。リーマンショック後の業績悪化により自己資本比率8.7%(2010年)まで低迷した経緯があるが、10年強をかけて今の水準まで回復。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

セイコーグループの平均年収は直近で804万円であるが、これは持株会社の171人の平均年収であるため注意が必要。大卒総合職は30歳で年収480万~550万円ほど、課長職レベルで年収800万~900万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

セイコーグループの単体従業員数は直近で171人に過ぎず、従業員の大半は事業会社に属している。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は1.18万人ほど。平均勤続年数は20年前後と長いが、これは持株会社の171人の平均勤続年数であるため注意が必要。

総合評価

企業格付け:CC

■業界ポジション
シチズン時計・カシオ計算機と並ぶ、日系3大時計メーカーの一角。時計のブランドイメージでは、高級価格帯が強い当社が業界首位にも思われがちだが、実は売上高・利益率・財務健全性いずれもシチズン時計が優位な状況。

■業績動向
2020年にCOVID19影響で業績悪化したが、最近は回復基調。しかし、業績は長期的に横這いで成長性に乏しく、営業利益率も5%前後とかなり凡庸な水準に留まる。高価格帯の高級時計において世界的な成功を収めてはいるが、スイス系に代表される海外高級ブランドとの激しい競争にコストが嵩み、イメージほど利益率は高くない状況にある。

■財務体質
回復傾向。直近では自己資本比率39.6%まで回復しており、企業規模・業界を考えれば標準的水準にまで到達。かつて2010年にはリーマンショック後の業績悪化により自己資本比率10%未満という危機的水準まで転落した過去があるが、ようやく財務体質の再建に成功したと言える。

■海外ブランド買収戦略
2022年に策定した新しい中期経営計画では、[人生に寄り添い、悦びの時を共に歩める商品を、優れた顧客体験を通じて販売する事で、ブランド価値向上と企業価値向上を実現]することを目標に掲げる。今後はラグジュアリーブランド(クレドール・グランドセイコー)およびプレミアムブランド(プロスペックス・プレサージュほか)に注力。利益率の改善を目指すとしているが、成功するかは依然未知数。

就職格付け:CC

■給与水準
平均年収は直近で804万円と一見すると高いが、これは持株会社の171人の平均年収であるため事業会社の従業員の給与水準を表現していない。実際には、大卒総合職は30歳で年収480万~550万円ほど、課長職レベルで年収800万~900万円ほどが目安。ボーナスが業績に応じて大きく変動するため、景気後退期などに高級時計の販売が急落すると、平均年収も減少する傾向がある。

■福利厚生
微妙。かつては福利厚生が優れていたが、2010年頃の業績悪化を経て削減傾向にある。地方出身者であれば入社時に借上げ社宅を付与されるが、実家から通勤できる社員には住宅補助はない。しかしながら、銀座本社の平均残業時間は10.37時間(2022年)と残業は少なく、平均勤続年数は20年前後と従業員の定着は大いに良好。

■キャリア
持株会社としてのセイコーグループの採用は若干名であり、事業会社が主体となって新卒採用・中途採用を展開している。具体的には、セイコーウオッチ・セイコーインスツル・セイコーソリューションズなどである。セイコーグループに新卒入社する場合は広報・人事・経理などグループを統括する業務に従事する一方、事業会社に入社した場合には時計製造・システム開発など実業に携わることになる。

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出典:セイコーグループ株式会社(有価証券報告書)