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ジャパンディスプレイの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ジャパンディスプレイは、自動車・スマートフォン・タブレット・ノートパソコン向けディスプレイを製造する液晶ディスプレイメーカー。2012年に産業革新機構の主導によってソニー・東芝・日立のディスプレイ事業が合併して発足。歴史的に米・Apple社との取引関係が深く、2016年頃まではiPhoneシリーズ向けディスプレイの主力サプライヤーの1社として活躍。が、発足直後から多額の損失を繰り返しており、累計純損失は6,000億円以上。経営危機に瀕しては官民ファンドの支援による延命を繰り返しており、2019年にはいちごアセットグループが筆頭株主となり支援中。

POINT

1.かつてiPhone向けで高シェアを握った液晶ディスプレイメーカー
2.売上高・利益いずれも最悪期が続く、財務体質だけは急改善
3.平均年収700万円以上かつ福利厚生も充実、社員への待遇は良好

業績動向

✔売上高と営業利益

ジャパンディスプレイの売上高は著しい右肩下がりとなっており、2022年には売上高2,707億円まで減少*1。営業利益も2017年以降は赤字が続いており、利益をまったく生みだせていない。
*1:ジャパンディスプレイは米Apple社向けの売上高が50%以上を占める「iPhone一本足」企業であったが、2017年頃からiPhoneシリーズが有機ELディスプレイへ移行。液晶ディスプレイのiPhoneが激減したことで売上高が急減した。

✔セグメント別の状況

ジャパンディスプレイは、モバイル事業(スマートフォン・タブレット・ノートパソコン向けディスプレイなど)、車載事業(カーナビ・インパネ・後部座席モニター向けディスプレイなど)、ノンモバイル事業(デジタルサイネージ、産業用・特殊用途向けディスプレイ)、の3事業を有する。
ジャパンディスプレイはかつて米Apple社向けモバイル事業が主力であったが、iPhoneシリーズの脱・液晶ディスプレイ化によって同事業は急激に衰退。現在では車載事業が主力となっている。2023年にはモバイル事業から近く撤退すると宣言。

✔最終利益と利益率

ジャパンディスプレイは純利益を全く確保できておらず、巨額の純損失を恒常的に発生させている。営業利益率もマイナス圏での推移が定着しており、売れば売るほど損失が生まれる状況。

✔自己資本比率と純資産

ジャパンディスプレイの自己資本比率は急激な上下変動を繰り返しているが、直近では自己資本比率55%以上であり良好。2018年には一時的に債務超過に陥ったが、いちごアセットグループの支援によって健全化。純資産は相次ぐ純損失で一時的に8億円まで激減したが、現在は1,244億円まで回復。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ジャパンディスプレイの平均年収は2021年を除けば700万円以上の水準で安定的。経営危機に瀕しても従業員の給与はしっかり守られている。年功序列型の給与制度であり、大卒総合職は30歳前後で年収500万~600万円ほど、課長職レベルで年収800~1,000万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

ジャパンディスプレイの単体従業員数は右肩下がりの減少が続いており、直近では2,800人ほどの組織規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4,700人ほど。平均勤続年数は直近で21.5年と極めて長い*2。
*2:平均勤続年数がここまで長いのは、①長年の業績不振によって転職志向の高い人材は抜けきっていること、②平均年齢47歳と高齢社員が多いため転職しにくいこと、③新規採用を絞っているため低勤続年数の人材が少ないこと、などが要因。

総合評価

企業格付け:E

産業革新機構が主導して立ち上げた国策企業、かつてはソニー・東芝・日立という名だたる企業群の連合として「日の丸ディスプレイ」企業と期待されたが、その後は業績悪化の連続。売上高は右肩下がりで減少し、巨額の純損失を連続計上。官民ファンドからの支援で耐え忍んできたが、あまりにも損失規模が大きいために2019年には債務超過に転落。株価は2014年の最高値836円から25円まで下落しており、下落率97%にも達する。が、2019年にはいちごアセットグループが本格支援に参入。発行済み株式数の75%以上を掌握する代わりに、同グループは産業革新機構からの借入金も肩代わり。財務体質は無借金経営までの健全化を果たした。相変わらず業績不振は続くものの、2023年には不採算化していたモバイル事業からの撤退も決断。いちごアセットグループの手腕によって再生するか否かが注目される状況。

就職格付け:DDD

週刊ダイヤモンド・週刊東洋経済などに「ゾンビ企業」と揶揄される不憫な液晶ディスプレイメーカー。普通の営利企業であればまったく耐えられない連続純損失を計上しながらも、官民ファンドなどの支援で生き残ってきたバイタリティは有名。終身雇用を期待できる企業ではまったくないが、平均年収は700万円以上をキープしており待遇面は世間が思う程には悪くない。福利厚生についても、合併前の日立製作所の制度設計を踏襲しているため恵まれている。家賃補助制度では家賃の最大70%までを最大7年間迄まで補助、社宅制度であれば3万円以下で独身者・妻帯者いずれも社宅入居ができる。ここまで業績が酷くなければ優良企業として紹介できるレベルの厚遇である。液晶ディスプレイ自体が斜陽産業であるため終身雇用はまったく期待できないが、無名企業からのキャリアアップを狙う場合などには「名より実を取る」戦略であれば意外と選択肢に入るのかもしれない。

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