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エン・ジャパンの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

エン・ジャパンは、求人サイト・人材紹介・HR-Tech・ダイレクトリクルーティングなどを展開する人材サービス会社。1983年に求人広告代理店として創業後、人材サービス領域で事業展開を進めてきた。現在では職種・世代・雇用形態に応じた求人サイトを多数展開するが、とりわけ正社員・中途採用サイトの”エン転職”は競争力が高い。求人サイト運営で蓄積したデータ・ノウハウを生かして、最近ではHR Tech領域にも積極進出。採用支援ツール”engage”は日本企業の8社に1社が利用するまでにシェアを拡大。

POINT

1.求人サイト”エン転職”を主力とする人材サービス会社、海外展開も注力
2.売上高・利益は長期的に成長が続く、最近は先行投資が祟ってやや減益
3.平均年収525万円だが従業員の年齢構成が若め、福利厚生は期待NG

業績動向

✔売上高と営業利益

エン・ジャパンの売上高は2020年に一度急落したものの*1、長期的には増加傾向が続いている。過去8年間に限っても、売上高を2倍以上に増加している成長企業である。営業利益は2018年の117億円をピークに減少傾向だが、これは更なる業績拡大に向けた先行投資が主要因。
*1:2020年に売上高が急減した理由は、COVID-19感染拡大による企業の採用マインド悪化。先行き不透明な状況により採用活動をストップする企業も急増、エン・ジャパン各事業が打撃を受けた。
*2:エン・ジャパンは中期経営計画において2027年に売上高1,200億円の達成を目指しており、このために積極投資を継続。先行投資が続いていることで利益率が悪化している。

✔セグメント別の状況

エン・ジャパンは、HR-Tech事業(人事管理・採用管理システムなど)、人財プラットフォーム事業(AMBI・ミドルの転職、ダイレクトリクルーティングなど)、求人サイト事業(エン転職・エンゲージ・エンバイトなど)、人材紹介事業(エンエージェントなど)、その他事業(国内におけるその他事業)、海外事業(ベトナム・タイ・インドにおける求人サイト・人材紹介・人材派遣など)、の6事業を有する。
エン・ジャパンは多種多様な人材サービスを展開するが、主力事業は求人サイト事業。同事業は売上高の約42%を占めており、他事業を大きく上回る規模感となっている。海外市場への進出も進んでおり、海外売上高比率は約24%に到達している。

✔最終利益と利益率

エン・ジャパンの純利益は、営業利益と同様に2018年をピークに減少傾向。これも先行投資が重荷となった減益である。営業利益率は好調時には17%~20%に達しており高利益率なビジネスモデルだが、2022年には6%まで急降下。

✔自己資本比率と純資産

エン・ジャパンの自己資本比率は70%前後の高水準で推移しており、大いに健全な水準。規模拡大に向けた先行投資はしつつも、財務健全性はしっかりと維持している印象。純資産は2019年まで増加し続けていたが、同年以降は横ばいが続く。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

エン・ジャパンの平均年収は長年に渡って460万~520万円ほどの水準で安定的に推移。平均年齢が30歳前後の若い組織であるため、平均年収が低く出やすい。大卒総合職は30歳で550万~650万円、課長職レベルで650万~850万円ほど。上記年収には固定残業代45時間/月が含みである。

✔従業員数と勤続年数

エン・ジャパンの単体従業員数は増加傾向にあり、直近8年間で従業員数が約2倍にまで増加。直近では1,800人規模の組織体制となっている。平均勤続年数は直近で4.2年と極めて短く、従業員の定着はそれほど良くない。

総合評価

企業格付け:CC

人材業界において売上高で第13位に位置する中堅企業だが、求人サイトに強みを持ち主力サイトの会員数は1,000万人を超える。ハイクラス転職とHR-Techを成長分野として位置づけ、最近では”ミドルの転職”と”engage”の事業育成に注力。業績は長年に渡って成長基調が続いており、売上高は過去8年間で2倍以上にも増加。成長分野への積極投資によって利益は伸び悩んでいるものの、それでも黒字はしっかりと確保。もともとが営業利益率20%前後と高水準であったため、事業育成に向けた積極投資を進めても営業利益率6%台に着地している。財務体質はかなりの堅実志向であり、自己資本比率は70%前後で推移し続けている。先述した積極投資は有利子負債に依存せずに進めている為、財務体質を健全に維持できている。2011年頃からは海外進出にも注力しており、とりわけベトナムでは現地シェア首位のナビゴスサーチを子会社化している。中期経営計画で掲げた「2027年に売上高1,200億円」達成に向けて、国内外における積極攻勢を進める状況である。

就職格付け:C

よりよい「縁」を繋ぐことを理念とする人材サービス会社。就職・転職・人材に関わる領域で事業展開を進めているが、2016年には婚活サービス”エン婚活”を開始するなど他領域にも関心。職種別採用を進めており、募集職種はマーケティング・コンサルタント・ITエンジニア・コーポレートなど。従業員の平均年齢が30歳前後で推移し続けている若い企業でもある。給与水準は平均年収525万円と高い利益率の割には低めであるが、これも従業員の平均年齢が低いため低くなりやすい事情があるだろう。が、上記年収は固定残業代45時間/月が含みであるため、残業によって更に上振れる余地があまりないとは考えておきたい。年功序列とは無縁の企業文化であるため、実力さえあれば数年で管理職まで昇格して、年収650万~850万円にも到達できる。当然ながら、実力がなければ平社員のままである。福利厚生については新興企業ゆえに整っておらず、独身寮・家賃補助制度などの住宅支援はなく、退職金についても10年以上の勤続者にのみ自社株式が付与される位。総じて、大企業就職ではなく、ベンチャー就職に近い感覚で捉えるべきであろう。人材サービス業界においてチャレンジングな環境で勝負したい求職者にこそ目指してほしい。

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