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【勝ち組?】キユーピーの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

キユーピーは、マヨネーズ・ドレッシング・ジャムなどの調味料を製造販売する大手食品メーカー。1919年に中島董一郎がサケ・カニ缶詰メーカーとして創業、1925年には日本初となる国産マヨネーズを発売。戦前からマヨネーズを日本に普及させ、1958年にはポリボトル入りのマヨネーズを発売。現在に至るまで継続販売される大ヒット商品となった。1950年代には日本初のドレッシング・ミートソースを発売、日本における洋食文化の普及を後押しした。2014年には同根企業のジャム大手、アオハタを子会社化。

POINT

・マヨネーズ・ドレッシング分野に強い大手食品メーカー、ジャムにも強い
・売上高・利益いずれも安定型、財務体質も自己資本比率60%超と大いに健全
・平均年収639万円とそこそこ、安定した雇用と知名度が強み

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:61(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:難関上位級

総合職の採用数は年間25人~50人と企業規模なり。日本人なら誰もが知る企業かつ企業イメージも良好であるが故に、選考倍率が極端に高くなりやすい。相当の難関企業である。
採用大学:【国公立】京都大学・名古屋大学・筑波大学・広島大学・静岡大学・琉球大学・東京海洋大学・大阪公立大学・横浜市立大学など、【私立】同志社大学・法政大学・関西大学・近畿大学・同志社女子大学など(出典:マイナビ2026

業績動向

✔売上高と営業利益

キユーピーの売上高は2020年まで5,300億~5,700億円レベルで安定的に推移してきたが、2021年に売上高4,070億円まで急落*1。同年以降は緩やかな増加傾向にある。営業利益は2023年まで減少傾向*2が続いていたが、2023年には343億円まで回復
*1:2021年に売上高が急落した理由は、2021年1月に連結子会社であったキユーソー流通システムの株式売却。同社が連結子会社から持分法適用会社へと変更になったことで全社売上高が減少。
*2:2019年・2020年は売上高の減少による利益減少に見舞われ、2021年以降は原材料価格の高騰で利益が減少していた。2023年に販売価格の値上げと海外事業の成長によって増益に転換。

✔セグメント別の状況

キユーピーは、市販用事業(市販向けマヨネーズ・ドレッシング・ソース・サラダ・惣菜など)、業務用事業(業務向けマヨネーズ・ドレッシング・食酢・卵など)、海外事業(中国・東南アジア・北米でのマヨネーズ・ドレッシングなど)、フルーツソリューション事業(ジャム・フルーツ加工品など)、ファインケミカル事業(ヒアルロン酸・卵黄レシチンなど)、共通事業(食品・食品製造機械の販売など)、の6事業を有する。
当社は売上高の約81%を日本国内で稼いでおり、国内型の事業構造となっている。主力事業は国内向けの一般用事業であり、売上高の33%・利益の38%を稼いでいる。特筆すべきは海外事業が全社利益の約33%を稼いでいる点にあり、海外事業の利益貢献は大きい。

✔最終利益と利益率

キユーピーの純利益は2020年を除けば、130億~180億円のレンジで安定的に推移。リーマンショックによる世界的大不況に見舞われた2008年~2009年頃を含めても純利益をしっかりと確保しており利益体質は固め。営業利益率は4~6%のレンジで推移しており、食品メーカーとしては標準的な水準。

✔自己資本比率と純資産

キユーピーの自己資本比率は長年に渡って50%台で推移してきたが、2021年以降は自己資本比率60%台へ上昇*3。安定した利益創出力を考えれば大いに健全な財務体質。純資産は微増傾向が続いており、2023年には純資産3,316億円に到達。
*3:2021年1月にキユーソー流通システムが連結子会社から持分法適用会社へと変更になったことで総資産1,052億円・負債622億円が減少。これにより自己資本比率が高まった経緯がある。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

キユーピーの平均年収は600万円前後の水準で安定的に推移しており、業界上位の大手食品メーカーと比べると見劣りする。大卒総合職の場合、30歳で年収500万~600万円ほど、課長職へ昇格すると年収700万~800万円に到達する。当社には労働組合がないため、労働者側の賃金交渉力が弱い可能性がある。

✔従業員数と勤続年数

キユーピーの単体従業員数は2017年の2,523人をピークに微減傾向にあり、2023年には2,332人となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.06万人ほど。平均勤続年数は増加傾向が続いており、2023年には16.2年に到達している。

総合評価

企業格付け:CC

日本人ならば誰もが知る著名な食品メーカーであり、日本国内では『マヨネーズ=キユーピー』と言っても過言ではないほど食生活に根付いた企業。健康志向の高まりによってマヨネーズ市場は縮小傾向にあると思われがちだが、過去10年間で国内生産量・消費量は寧ろ拡大(参考リンク)。健康志向の高まりで野菜摂取量が増加したことでマヨネーズの消費量が増えた他、高付加価値・高価格な健康配慮型マヨネーズの需要が新たに誕生するなどポジティブな影響が大きい。業績においては売上高・利益いずれも安定型、世界的な景気後退局面も含めてしっかりと純利益を確保できている。財務体質も非常に堅実であり、自己資本比率65.4%(2024年)と高水準。2021年1月にキユーソー流通システムの保有株式を売却したことが、財務健全化を加速させている。現状は国内市場に依存する事業構造であるが、2030年に向けた中期経営計画においては中国・東南アジア・北米での成長を掲げて海外展開にも意欲を示している(参考リンク)。なお、社名が「キューピー」と勘違いされがちだが、実際は「キユーピー」が正である。

就職格付け:CCC

マヨネーズ・ドレッシング分野において傑出したブランド力を持つ調味料メーカー。あまり知られていないが、現在においても創業一族が大株主であり、大株主に名を連ねる中島董商店・董花は中島家が代表を務める企業群である。給与水準においては平均年収600万円台と中堅メーカー並みの水準であるが、課長職へ昇格すると年収700万~800万円に到達する。福利厚生はかなり充実しており、総合職ならば29歳まで3,500円/月という破格の家賃で社宅に居住でき、29歳以降にも家賃補助が4~9万円/月ペースで手厚く付与されるため、住宅コストを抑制できる点は強み家賃補助制度の改定によって3万円/月にまで減額となった(2025年2月20日追記)。当社への就職を考えるにあたって最大の魅力は安定性であり、リーマンショックを発端とした世界的な大不況に見舞われた時期にもしっかりと純利益を確保できたのは美点。現在では自己資本比率60%以上の高水準を維持している為、倒産リスクとはおよそ無縁であろう。安定した雇用と知名度を求める求職者ならば、相当に魅力的な企業である。

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出典:キユーピー株式会社(有価証券報告書)