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【勝ち組?】アンリツの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

アンリツは、通信&IPネットワーク測定器・光通信測定器・移動通信測定器などを製造する計測器メーカー。1895年に電気通信機の製品化を目指して創業。1900年代には公衆電話の大量生産に着手して電話網の普及に貢献した他、1933年には日本初のテレビ放送機を完成させた。戦後には公衆電話を製造する傍ら、測定機事業へと進出。現在では通信機器向け計測器を得意とし、通信キャリア・スマートフォンメーカー・電子機器メーカーなどを主要顧客としてビジネスを展開。1963年から50年近く日本電気グループの一員であったが、2011年に日本電気がアンリツ株を売却したことで同グループを離脱。

POINT

・通信計測機器で世界トップ3社の一角、通信機器分野で100年以上の歴史
・売上高・利益は2019年から伸び悩むが、財務体質は極めて健全
・大卒総合職で30歳600万円が目安、神奈川県厚木市周辺が地盤エリア

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:63(中堅上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中難易度

総合職の採用実績は年間35名~45名と企業規模なり。一般知名度は極めて低いが、計測機器メーカーとしては上位級の待遇であるため隠れ優良企業として一定の人気はある。
採用大学:【国公立】大阪大学・九州大学・横浜国立大学・金沢大学・静岡大学・電気通信大学・横浜市立大学・東京農工大学・名古屋工業大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・法政大学・立命館大学・学習院大学・日本大学・東京理科大学・芝浦工業大学・工学院大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

アンリツの売上高は長期的には微増傾向にあるが、2019年に売上高1,000億円を上回ってからは横ばい傾向に転換*1。2024年は売上高1,129億円となっているが、過去最高を記録した2000年の1,590億円は超えられていない。営業利益は2020年に過去最高となる197億円に到達したが、同年以降は停滞ぎみ。
*1:2019年は世界的に5G通信商用化の開発投資が活況、計測器・測定システムの拡販で業績好調であった。しかし、2022年以降は5G投資が世界的に減速したことで業績停滞へ。

✔セグメント別の状況

アンリツは、通信計測事業(通信&IPネットワーク測定器、光通信測定器、移動通信測定器、マイクロ波ミリ波測定器など)、PQA事業(自動重量選別機、自動電子計量器、異物検出器、品質管理システムなど)、環境計測事業(EV・電池向け試験装置、ローカル5G支援サービスなど)、その他事業(物流、センシング、不動産賃貸など)、の4事業を有する。
当社は通信計測器市場において世界首位級のシェアを誇り、最近では4G通信・5G通信向けのネットワーク品質モニタリングや通信基地局の通信品質測定などを展開している(参考リンク)。第二の柱となっているPQA事業は『プロダクツ・クオリティ・アシュアランス』の略であり、食品・薬品業界向けのX線異物検出機や金属検出機などを主力としている(参考リンク)。

✔最終利益と利益率

アンリツの純利益は2020年をピークに減少傾向が続いているおり、2024年には74億円まで後退している*2。が、景気後退局面にも純損失には転落せず、堅実に利益を確保できているのは強み。営業利益率は2020年をピークに低下傾向にあるが、2024年においても10%以上を確保できている。
*2:2024年は世界的なスマートフォンの販売低迷によってネットワーク検査機器の販売が振るわず。電気自動車の需要低迷によってEVバッテリー検査装置も伸び悩んだ(参考リンク)。

✔自己資本比率と純資産

アンリツの自己資本比率は長期的な増加傾向が続いており、2024年は77.8%となっている。有利子負債は35.6億円(2024年)に過ぎず、安定的な利益体質を加味すれば財務体質は大いに健全*3。純資産も緩やかな増加傾向が続いており、2024年には1,242億円に到達している。
*3:当社は終戦後に倒産危機に陥った歴史があり、1949年に全従業員を解雇したのち200人だけを再雇用して再建した歴史がある(この際にNECからの出資を受け入れて再建した経緯がある)。苛烈なリストラを経験した歴史的な経緯もあって、財務体質の健全性には著しく配慮がなされている。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

アンリツの平均年収は2019年のみ820万円まで急増したが、同年を除けば730万~780万円ほどで推移している。大卒総合職の場合、30歳で年収550万~620万円、課長職レベルで年収850万~940万円ほどが目安。平均年齢は45.1歳(2023年)と大手企業の標準的な水準をやや上回る。

✔従業員数と勤続年数

アンリツの単体従業員数は2020年・2021年に急増しており*4、2023年は1,730人ほどの組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3,960人ほど。平均勤続年数はで21.0年と大手企業の標準的な水準を大きく上回っている。
*4:2020年・2021年に従業員数が急増した理由は、子会社のアンリツネットワークス・アンリツエンジニアリング・アンリツプロアソシエを吸収合併したため。

総合評価

企業格付け:CCC

通信計測機器において世界トップ3社に数えられ、国内シェアでも首位に位置するリーディングカンパニー。戦前においては電話機・無線機などを主力としたが、現在では4G通信・5G通信向けのネットワーク品質モニタリングや通信基地局の通信品質測定などが主力商品となっている。業績においては、売上高・利益いずれも2019年頃の5G通信ブーム期からピークアウトしている状況。2020年には営業利益率18.5%と相当の高利益率を叩き出していたが、2024年は営業利益率10%まで後退。当社固有の事情として、4G通信や5G通信など通信規格の切り替わりに業績を左右されやすい傾向があり、2019年頃をピークとした業績停滞もこの要因が大きい。財務体質においては極めて優良であり、自己資本比率70%以上かつ有利子負債は35.6億円(2024年)に過ぎない。業績は目先こそ落ち目であるが、情報通信業にとって当社の計測技術は不可欠の存在であるため、長期的には再び成長基調に回帰するのではないか。万が一、このままの業績が続いたとしても営業利益率10%台は計測機器メーカーとしては決して悪い水準ではない。

就職格付け:CC

神奈川県内に多くの拠点を置く計測機器メーカーであり、まさしく「神奈川県の隠れ優良企業の筆頭格」たる存在。主力事業がBtoB専業であるため一般知名度は極めて低いが、本社を置く厚木市周辺ではそれなりの有名企業。平均年収は700万円以上は手堅く、業績拡大時には平均年収800万円以上にまで跳ね上がる。大卒総合職の場合、30歳で年収550万~620万円、課長職レベルで年収850万~940万円ほどが目安となるだろう。福利厚生においては中堅メーカー並みだが、31歳までは独身寮に格安で入居できるため若手社員のうちは可処分所得を高く維持しやすいだろう。事業所の多くが神奈川県厚木市周辺に集中しており、「そこそこ便利ながら安価に生活できる」立地なのも魅力。遠方への転勤リスクは極めて限られるため、神奈川県の出身者であれば相当の魅力はある。2015年にグローバル本社を建替えており、竹中工務店が手掛けた綺麗なオフィスビルに生まれ変わった(参考リンク)。

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出典:アンリツ株式会社(有価証券報告書)