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化学メーカー

日本触媒の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

日本触媒は、高吸水性樹脂・酸化エチレン・アクリル樹脂などを製造する大手化学素材メーカー。1941年に無水フタル酸の生産を目的に大阪府で創業、1959年には酸化エチレンを製品化してポリエステル繊維・ペットボトル・洗剤などの原料として大量消費社会の到来を支えた。現在では、①紙おむつなどに使われる高吸水性樹脂、②酸化エチレン・アクリル樹脂などの化学品、が主力製品。高吸水性樹脂において世界シェア1位である他、アクリル酸でも世界シェア3位を誇る。

POINT

1.基礎化学品・機能性化学品を主力製品とする化学素材メーカー
2.売上高・利益が一時悪化したが回復傾向、財務体質は超優良
3.平均年収782万円だが賃上げペース緩慢、福利厚生はまずまず

業績動向

✔売上高と営業利益

日本触媒の売上高は概ね2,900億~3,300億円のレンジで推移していたが、2020年からは増加傾向に転換*1。営業利益は2020年に赤字転落したが、同年以外は210億~310億円ほどの水準で推移している。
*1:2022年には売上高が大幅増加した要因としては、①販売価格の値上げ、②為替レートの円安進行による増収効果、などがある。景気減速によって販売数量は減少したものの、値上げと為替効果で大幅増収に着地。

✔セグメント別の状況

日本触媒は、マテリアルズ事業(アクリル酸・酸化エチレン・エチレングリコール・高吸水樹脂など)、ソリューションズ事業(コンクリート混和剤用ポリマー・電子情報材料・排ガス処理装置・ダイオキシン分解触媒・電池材料など)、の2事業を有する。
日本触媒は売上高・利益の多くをマテリアルズ事業で稼いでおり、ソリューションズ事業が占める割合は少ない。ソリューションズ事業は2021年年頃からの世界的な物価高によって主力製品の販売数量が減速したことで利益率が低下している状況。

✔最終利益と利益率

日本触媒の純利益は2020年を除けば*2、190億~230億円ほどの水準で安定的。営業利益率は5~8%ほどの水準で推移しており、大手化学素材メーカーとしては良くも悪くもないレベル。
*2:2020年に純損失を計上した理由は、①COVID-19感染拡大による景気減速をうけた主力製品の販売鈍化、②ヨーロッパの現地子会社での減損損失119億円の計上、③三洋化成工業との経営統合中止による費用損失、など。

✔自己資本比率と純資産

日本触媒の自己資本比率は60%以上の水準で長年推移しており、財務体質は極めて健全。純資産も増加傾向が続いており、直近の2022年には純資産3,700億円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

日本触媒の平均年収は長年に渡って760万~810万円ほどの水準で推移しているが、平均年収は伸び悩む。年功序列型の給与制度であり、大卒総合職は30歳前後で年収550万~650万円ほど、課長職レベルで年収1,000万~1,150万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

日本触媒の単体従業員数は長年に渡って増加傾向が続いており、直近では2,400人ほどの組織規模。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は4,500人ほど。平均勤続年数は直近で16.0年と大手化学メーカーの標準的水準。

総合評価

企業格付け:CCC

基礎化学品・機能性化学品を主力製品とする化学素材メーカー。過去から現在にいたるまで基礎化学品を製造しているが、化学技術を活かして高吸水性樹脂・電子情報材料などの分野にも積極進出して事業化してきた歴史を有する。売上高・利益いずれも2020年の落ち込みから回復傾向にあり、直近では業績好調といえる状況。良くも悪くも景気動向に業績を左右されやすい性質ではあるが、化学素材メーカーの宿命でもあるため仕方がない。財務体質は自己資本比率70%に迫るほどに堅実であり、化学メーカーとしてはトップクラスに優良な財務基盤がある。

就職格付け:CCC

大阪に本社機能を置く化学メーカーの1社、研究開発を重視する社風であることから従業員の4人に1人が研究開発部門に属している。世間一般では”触媒”という言葉から自動車排ガス浄化部品の会社であると思われがち。自動車排ガス処理触媒も実際に生産しているため誤りではないが、実態としては高吸水性樹脂・酸化エチレン・アクリル樹脂などが主力製品。平均年収は760万~810万円ほどの水準であり、大手メーカー並みの水準。大手化学メーカー4社には及ばないものの、十分と言ってよいだろう。福利厚生も大手メーカー並みであり、各事業所には独身寮・社宅が整備されている。この独身寮・社宅は通勤距離が無駄に長い物件もあるものの、家賃は格安水準で設定されているので貯金を貯めやすい。ただし、関東・関西に事業所がまばらに存在しているうえ、東京と大阪にそれぞれの本社を置いていることから、転勤リスクがそれなりに高い点には注意。本社勤務者は服装自由とされており、ファッションにはそこそこ寛容である。

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