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工作機械

【勝ち組?】アマダの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

アマダは、レーザーマシン・パンチプレス・研削盤などを展開する大手工作機械メーカー。1946年に天田勇が開いた機械修理店を源流とし、1955年に国産初となるバンドソーを完成させたことで工作機械メーカーへと転身。顧客企業へ実機を運び込んでデモをする体験型販売によって国内有数の工作機械メーカーへの躍進を果たし、1980年代には欧米市場へと海外進出。現在では板金加工分野で国内シェア約70%を掌握し、工作機械メーカーとして世界4位の規模を誇る。

POINT

・板金機械に強い世界的工作機械メーカー、国内板金機械では断トツ首位
・売上高・利益は2021年から急回復、営業利益率10%以上を安定確保
・平均年収734万円と業界中堅上位、若手社員向けの社宅制度は良好

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:62(中堅上位)

大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用実績は年間30名~65名ほど。一般知名度は低いが、工作機器メーカーの志望者にとってはトップ企業の一角。業界トップのDMG森精機とは、関東本社である点において差別化ができている。
採用大学:【国公立】東北大学・千葉大学・横浜国立大学・金沢大学・静岡大学・新潟大学・岐阜大学・東京農工大学・名古屋工業大学・電気通信大学など、【私立】早稲田大学・同志社大学・関西学院大学・法政大学・学習院大学・日本大学・東京理科大学・芝浦工業大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

アマダの売上高は2021年まで2,500億〜3,300億円ほどで推移していたが、2023年には過去最高となる4,035億円に到達*1。営業利益も2021年まで260億〜450億円で推移していたが、2023年は過去最高となる565億円に到達している。
*1:2023年に売上高が増加した理由は、①世界的な人件費高騰による製造業の設備投資の活性化、②為替レートの円安推移による為替効果、③日本市場における省人化投資の政府補助金による支援、など。

✔セグメント別の状況

アマダは、金属加工機械事業(レーザマシン・パンチプレス・ブレスブレーキ・微細溶接機など)、金属工作機械事業(金切帯鋸盤・研削盤・メカニカルプレスなど)、その他事業(不動産賃貸)、の3事業を有する。
当社は金属加工機械事業が売上高・利益の大半を占めており、板金機械においては国内シェア断トツ首位に君臨している。板金加工においては、あらゆる工程(設計・切断・曲げ加工・溶接)に対応する製品ラインナップを有しており、顧客企業のニーズに応じたトータルソリューションを提案できる。

✔最終利益と利益率

アマダの純利益は180億〜405億円ほどで安定的に推移している。2020年はCOVID-19感染拡大による景気後退に直面したが、純利益185億円を確保*2しており、景気後退局面にも底堅さがある。営業利益率は長期的に10%〜14%で推移しており、工作機械メーカーとしては高めの利益率を誇る。
*2:2020年はCOVID-19感染拡大により数多くの顧客企業が設備投資を控えたうえ、世界的なロックダウンで商談にも支障。販売低迷に苦しんだ経緯がある。

✔自己資本比率と純資産

アマダの自己資本比率は長年に渡って70%以上の高水準で推移しており、実質無借金経営を達成している*3。純資産は緩やかな増加傾向にあり、2023年には5,343億円に到達している。
*3:当社は1980年代以前から無借金経営を重視する経営方針を継続している。工作機械は景気動向に販売を大きく左右される事情があり、深刻な景気後退局面に備えることを重視している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

アマダの平均年収は2020年に持株会社制の変更によって646万円まで下落したが、2024年には平均年収734万円まで増加している。総合職の場合、30歳で年収530万〜630万円ほど、課長職レベルで年収850万〜950万円ほどが目安。2023年には「2年間で平均15%の賃上げ」を宣言している。

✔従業員数と勤続年数

アマダの単体従業員数は2020年に持株会社制を見直したことで2,676人まで急増。2024年には2,875人の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は8,990人ほど。平均勤続年数は18.3年(2024年)と長く、従業員の定着がよい。

総合評価

企業格付け:CC

■業績動向
好調。工作機械は景気動向に業績を左右されやすい業界だが、利益における安定性が強い。COVID-19が吹き荒れた2020年にも純利益185億円を確保して軟着陸を果たした。高利益率のビジネスモデルを構築しており、営業利益率は10%以上で安定。利益面では業界1位のDMG森精機すら上回る。

■財務体質
鉄壁。創業者の無借金経営の方針を今でも継続しており、自己資本比率70%以上・実質無借金経営を長期的に維持。手元の現預金は1,000億円を上回っており、典型的なカネ余り企業。あまりのカネ余りぶりにROEが低迷してしまい、株主から厳しい目線を浴びる側面も。

■ビジネス動向
2030年までの長期計画「長期ビジョン2030」を策定。2030年までの売上高5,000億円達成を掲げ、2025年までの目標として売上高4,000億円・営業利益率16%を宣言。看板商品としてレーザー製品群や製造DXソリューションの強化にも邁進。カネ余り成熟企業から成長企業への転換を目指す。

就職格付け:CC

■給与水準
工作機械メーカー中堅上位。日系工作機械メーカーとしてトップクラスの規模を誇るが、平均年収734万円(2024年)と業界首位には及ばず。実際には財務健全性の確保による雇用安定を優先しているのだが、同業のDMG森精機が平均年収900万円以上であるから差は大きい。が、2023年には平均15%の賃上げを宣言しており、人材投資に前向きになりつつあるか。

■福利厚生
普通。独身の若手社員は独身寮・借上げ社宅によって月額1万円強で生活できるため、実質的な生活水準は見た目の平均年収以上。ただし結婚後の住宅補助は限られており、会社都合の転勤者のみ家賃補助として家賃額の60%が支給される位。

■キャリア
技術系・営業系・管理系の3職種に分かれ、入社後は年功序列でリーダー・班長・主任と昇進していく。30歳過ぎまでは実力差があっても給与はほぼ変わらない。代理店を介さない直販体制によって成長した企業であるため、メーカーでありながら営業部門の存在感も大きい。現経営陣は企画・管理部門の出身者が多い。

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出典:株式会社アマダ(有価証券報告書)