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自動車部品メーカー

【勝ち組?】アイシンの就職偏差値と平均年収・待遇【企業研究レポート】

企業概要

アイシンは、トヨタグループに属する大手自動車部品メーカー。1943年に陸軍航空本部の命令により、トヨタ自動車と川崎重工業の共同出資で設立された。代表的な製品はトランスミッション・eアクスル・ブレーキシステム・ドアユニットなど。特にオートマチックトランスミッションでは世界シェア首位級。トヨタ自動車が発行済み株式数の約25%を保有する筆頭株主であり、トヨタグループ中核13社のうちの1社。

POINT

・変速機を主力とする大手自動車部品メーカー、業界では世界的大手
・売上高は伸びるが利益が伸び悩む、財務体質はやや良好レベル
・平均年収687万円と大手メーカーとしては凡庸、勤務地は愛知県集中

就職偏差値

64(中堅上位)

日本企業における中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

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業績動向

✔売上高と営業利益

アイシンの売上高は3~4兆円レベルで推移していたが、2020年を底に増加傾向*1。2023年には売上高4.9兆円に到達して過去最高を更新。営業利益は2014年を除けば概ね1,500~2,000億円で推移している*1。
*1:2020年はCOVID-19感染拡大によるサプライチェーンの混乱により自動車メーカーの生産台数が減少。売上高の減少および減損損失など事業処理費用の計上により大幅減益。

✔セグメント別の状況

アイシンは、日本事業、北米事業、欧州事業、中国事業、アセアン・インド事業、その他事業、の6事業を有する。いずれの地域でも自動車部品(トランスミッション・eアクスル・ブレーキシステム・ドアユニット)の製造・販売を主力とする。
アイシンは売上高の約50%を海外市場で稼ぐグローバル企業であるが、利益は約63%を海外市場において獲得している。主要顧客はトヨタグループ・ステランティス・フォルクスワーゲングループ等である。

✔最終利益と利益率

アイシンの純利益は、200億~1,400億円ほどで横ばいの推移が続いている。売上高の成長に反して、利益は伸び悩んでいる状況。営業利益率は1%~5%レベルで推移しており、あまり高くはない水準に留まる。

✔自己資本比率と純資産

アイシンの自己資本比率は、直近で46.0%とそこそこ高めの水準。多少の業績悪化であれば耐えられる財務基盤を有している。純資産は2015年頃から右肩上がりで増加が続いており、直近では純資産4.64兆円を突破。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

アイシンの平均年収は2018年をピークに下降傾向にあり、直近で687万円と大手メーカーとしてはやや低めの水準。ただしこれは現業職も含めた全社員の平均年収。大卒総合職であれば30歳前後で年収490万円~650万円には到達、課長職レベルで年収1,000万円に到達する。

✔従業員数と勤続年数

アイシンの単体従業員数は2021年の組織改正で急増、直近で3.56万人ほど。子会社・関係会社を含めた連結従業員数は11.6万人以上。平均勤続年数は長年に渡って15年前後で推移しており、長くも短くもない水準。

総合評価

企業格付け:B

■業績動向
横ばい。売上高は過去最高を連続更新するも、利益が伸び悩む。主要顧客であるトヨタグループの新車販売が好調であるため、本来であれば業績好調になるはずが、原材料高・北米拠点の採算悪化・電動化投資が逆風となって純利益が伸びていない。とりわけ電動化投資に関わる支出増加が苦しいが、エンジン車向け部品を主力としてきた当社にとって電動化シフトに乗り遅れるのは致命傷たりうるため避けられない、

■財務体質
まずまず。自己資本利益率は直近で46%とそこそこの水準。自動車部品メーカーとしては傑出した数字ではないが、企業規模を考えれば悪くない。有利子負債は直近で7,900億円規模であるが、これも企業規模を考えれば懸念するレベルにはないだろう。

■ビジネス動向
最大の懸念は、電気自動車シフトが進展した場合に、アイシンが最も得意とする主力商品のオートマチックトランスミッションが不要になる点。アイシンはEVシフトに備えてEV向けeアクスルの開発を急いでいるが、日本電産・明電舎・三菱電機などが参入しており競争は激しい。海外勢にも独ZF・加マグナ・独シェフラー・独ヴィステコなどがeアクスルに算入しており、アイシンがオートマチックトランスミッションで築いた業界トップ企業の地位をeアクスルでも得られるかの見通しは現状不明。

就職格付け:B

■給与水準
直近の平均年収は687万円であり、大手メーカーとしては凡庸な水準。大卒総合職・30歳で年収490万~650万円ほど。課長職レベルになれば1,000万円は超えるが、若手のうちは給与が伸び悩む。そもそも利益率が低いこともあって昇給ペースは伸び悩んでおり、平均年収は2018年をピークにやや後退ぎみである。

■福利厚生
まずまず。独身寮は電気代・ガス代の自己負担で生活できるため格安だが、風呂・トイレ・洗面所が共用となっておりプライバシーは薄い。そのため独身寮を早々にでていくケースもある。家賃補助制度は月額3万円とそれほど多くはないが、地盤の愛知県郊外は家賃もそれほど高くないため悪くはない。最大の注意点は主力事業所が愛知県の刈谷・安城・岡崎エリアに集中する点。東海三県以外の出身者であれば馴染みやすいが、首都圏や京阪神圏の人材が移住した場合には生活環境に違和感を感じる場合もある。

■キャリア
事務系総合職・技術系総合職の2職種制。技術系総合職のみ職種別採用を実施しており、研究開発コースと生産技術コースに分かれている。研究開発志望で生産技術に配属されるなどのミスマッチを回避できるのは美点だろう。現代表取締役社長はトヨタ自動車の天下りであり、歴史的にも同社出身者が役員を占めることが多い。プロパー入社での出世枠もあるものの、役員枠は圧迫されている。

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出典:株式会社アイシン(有価証券報告書)