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電機メーカー

シャープの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

シャープは、冷蔵庫・電子レンジ・洗濯機・ディスプレイ・センサモジュールなどを製造販売する大手電機メーカー。1912年にベルト用バックルを製造する金属加工店として創業、1925年には鉱石ラジオを”シャープ”ブランドで発売して電機メーカーへと転換した。日本初の量産型電子レンジや液晶表示式電卓などを発明した名門企業であり、ユニークかつ独特な製品開発に定評。液晶パネルへの過剰投資が祟って2010年代に経営危機に陥ったが、2016年に台湾の鴻海精密工業が救済して同社の傘下企業となった。

POINT

1.100年以上の歴史を持つ名門の大手電機メーカー、独特の製品開発力に強み
2.売上高2兆円規模だが利益が非常に不安定、財務体質も弱い
3.平均年収736万円とそこそこ、住宅手当はない

業績動向

✔売上高と営業利益

シャープのの売上高は2.0∼2.5億円ほどの水準で安定的に推移しているが、全盛期の2007年に記録した売上高3.4兆円と比べると低調。営業利益は500~800億円ほどで推移しているが、数年おきに赤字転落する傾向あり。

✔セグメント別の状況

シャープはスマートライフ事業(冷蔵庫・電子レンジ・エアコン・掃除機・空気清浄機・電卓など)、8Kエコシステム事業(テレビ・オーディオ・複合機・プロジェクター・マスクなど)、ICT事業(パソコン・携帯電話・ルーターなど)、ディスプレイデバイス事業(ディスプレイモジュール、車載カメラなど)、エレクトロニックデバイス事業(カメラモジュール・センサモジュール・近接センサなど)の5事業を有する。
シャープはBtoB・BtoCいずれも幅広く事業展開しており、売上高は5事業がバランスよく配分された事業構造となっている。一般的によく知られる空気清浄機や電子レンジなどの家電製品が主力のスマートライフ事業が占める割合は意外と低く、売上高の20%にも満たない。

✔最終利益と利益率

シャープの純利益は好不調が極端に分かれており、直近では純損失2,608億円を計上。2014年・2015年・2016年にも大幅損失を計上*1。営業利益率は好調時でも5%に満たず、利益率が低いビジネスモデルとなっている。
*1:シャープが純損失に頻繁に陥っている理由は液晶ディスプレイ関連の問題。2014年・2015年はスマートフォンやタブレットの需要が思ったほど伸びずに大幅損失を計上。2022年は前年に完全子会社化した境ディスプレイプロダクトの業績悪化で大幅損失を計上。

✔自己資本比率と純資産

シャープの自己資本比率は業績不安定から低空飛行が続いており、直近でも11.8%と大手メーカーとしては非常に低い水準*2。純資産は2015年の債務超過から2021年には4,692億円に回復したが、再び業績悪化で急減。
*2:シャープは2007年時点では自己資本比率40%を超える優良な財務体質を確保していたが、2010年代以降に巨額損失を連続計上。2015年には自己資本比率0%を下回る債務超過に。同年以降に改善は進むも、痛んだ財務の回復は道半ば。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

シャープの平均年収は業績による上下変動はあるものの、概ね700万円以上で推移。債務超過に陥った2015年にも年収600万円以上が維持されたのは流石に大手企業。社員の平均年齢は45.5歳とかなり高齢化が進んだ企業。

✔従業員数と勤続年数

シャープの従業員数は概ね4~5万人レベルで推移、上下変動の波はあるが方向性が定まらない推移となっている。平均勤続年数は22.7年とかなり長めの勤続年数を誇る。

総合評価

企業格付け:DDD

日本を代表する大手家電メーカーとして長年に渡り親しまれてきた企業であり、戦前の1920年代から家電製品の製造販売してきた名門企業。2000年代に液晶ディスプレイに過剰投資したことが祟り、2010年代以降は業績・財務が致命的に悪化して債務超過に陥った過去を持つ。2016年からは台湾の鴻海精密工業の傘下で再建を進めたが、依然として液晶ディスプレイ関連の問題は残存しており、2022年には再び巨額の純損失へ転落。ブランドこそ生かされているものの、往年の輝かしいシャープへ復活する目途が立たないまま水面下での苦闘が続く。売上高こそ2兆円を優に上回る企業規模だが、利益率は好調時であっても3%程度と低く、財務体質も厳しい。

就職格付け:DDD

日本人なら知らない者はいない超有名企業であり、関西の名門企業。ユニークな製品開発やマーケティング戦略により企業イメージは大変良好、長年に渡って日本人に愛されている企業と言える。しかし、現実を直視すれば業績・財務は芳しくなく、自己資本比率10%台はあまりにも低い。財務体質を改善しようにも利益率が低いが故に、体質改善のペースは鈍い。そのうえ、頻繁に液晶ディスプレイ関連で大幅損失を計上して財務体質がまた悪化して元に戻ることを繰り返している状況は辛い。それでも平均年収700万円以上で推移しているのは流石に大手企業の貫禄を感じるが、福利厚生は凡庸であり住宅手当もない。

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