カテゴリー
電機メーカー

TDKの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

TDKは、コンデンサ・フェライトコア・センサ・バッテリー・HDDヘッドなどを幅広く展開する電子部品メーカー。1935年に齋藤憲三がフェライト量産化を目指して創業、戦前から磁性材料分野で世界トップクラスの技術力を発揮。戦後には音楽用カセットテープでシェア首位級まで登り詰めた。現在においては電子部品・磁気製品・バッテリーで世界的シェアを誇り、電子部品分野ではニデック・京セラ・村田製作所と並んで業界最大手の一角。米・アップル社向けにiPhone用バッテリーを供給する一大サプライヤでもある。

POINT

1.スマートフォン用バッテリーに強い電子部品メーカー、磁性材料が祖業
2.売上高・利益いずれも好調で過去最高益を更新、財務体質もかなり良好
3.平均年収789万円と電子部品メーカー上位級、福利厚生はそこそこレベル

業績動向

✔売上高と営業利益

TDKの売上高は長年に渡って1.1兆~1.3兆円レベルで推移していたが、2021年から売上高が増加して直近では2兆円を突破*1。営業利益も900億~1,100億円で推移してきたが、2021年以降は1,600億円まで増益しており業績好調。2016年のみ特殊要因で営業利益2,000億円を超えた*2。
*1:2021年以降の業績好調の要因は、①ノートPC・スマートフォン需要拡大によるバッテリー販売増、②データセンター開発活況によるHDD関連製品の販売増、③電気自動車向け電子部品の需要増、など。
*2:2016年に米クアルコム社へ高周波部品事業を譲渡したことで一過性の譲渡益1,444億円が加わっている。本件影響を除いた同年の営業利益は603億円である。

✔セグメント別の状況

TDKは、受動部品事業(コンデンサ・コイル・フェライトコア・高周波部品・圧電材料部品など)、センサ応用製品事業(圧力センサ・磁気センサ・MEMSセンサなど)、磁気応用製品事業(HDD用ヘッド・HDD用サスペンション・マグネットなど)、エナジー応用製品事業(バッテリー・電源など)、その他事業(メカトロニクス・カメラ用マイクロアクチュエータなど)、の5事業を有する。
TDKは多種多様な電子部品を販売しているが、現在はエナジー応用製品事業が傑出した存在。米・アップル社や韓・サムスン社の主力製品にも当社のバッテリーが搭載されており、同事業だけで売上高の約53%・利益の約58%を稼ぎだしている。

✔最終利益と利益率

TDKの純利益は2020年まで570億~820億円で推移*3していたが、直近2年間は純利益1,000億円以上を確保。営業利益率は長期的に7%以上で推移しており、そこそこ良好な水準を維持し続けている。
*3:2016年に純利益1,451億円に到達して過去最高を記録したが、これは上述した事業譲渡に伴う譲渡益が加わった一過性の好調である。

✔自己資本比率と純資産

TDKの自己資本比率は長年に渡って40%~45%レベルで推移しており、そこそこ高めの水準を維持している。利益が安定しているため、財務体質はまったく問題ないと言えるだろう。純資産は右肩上がりで増加しており、直近の2022年には純資産1.4兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

TDKの平均年収は長年に渡って780万~810万円で安定的だが、2019年頃から平均年収がやや下落して直近数年は780万円ほどが定着。大卒総合職は30歳で年収600万~720万円ほど、電子部品メーカーとしてはトップクラス。課長職レベルで年収920万~1,100万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

TDKの単体従業員数は長期的な増加傾向が続いており、2020年には5,900人規模に到達。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は10.2万人にも達する。平均勤続年数は昨今の採用増によって減少傾向が続くが、直近でも17.9年とかなり長め。

総合評価

企業格付け:A

かつてカセットテープで首位級のシェアを誇った電子部品メーカー。現在ではBtoB事業へと明確に転換しており、スマートフォン向けバッテリーで売上高・利益の半分以上を稼ぎだす。実は、スマートフォン向けバッテリー事業を担っている子会社・ATLは2000年代のTDKが約100億円で買収した企業。それが今では1兆円を上回る事業規模にまで到達しており、先行投資の慧眼には目を見張るものがある。電気自動車バッテリーにおいて世界シェア首位を独走するCATLも当社からスピンオフした企業であり、様々な歴史的ドラマがある。業績は好調そのものであり、2020年以降には売上高・利益が過去最高圏で推移し続けている。当社の製品はスマートフォンや電気自動車などに多数採用されているため、これらの市場が好調であるうちは業績好調が続くであろう。強いて言えば、業績におけるバッテリー比率が極めて大きいが故に、次世代バッテリー開発で遅れをとった場合には業績の落ち込みしろが大きいことだろうか。

就職格付け:BB

1930年代に東京工業大学が世界で初めて発明したフェライトを事業化するべく創業された企業。創業当時から技術志向が強い企業であり、時代のニーズに応じた製品を生み出しては高シェアを掌握してきた。給与水準は780万〜820万円と電子部品メーカーとしてはトップクラス。業界大手と比較しても日本電産(645万円)京セラ(723万円)は優に上回っており、村田製作所(797万円)にも引けを取らない。福利厚生も大手メーカー並みの制度は揃っているが、住宅補助はやや手薄。30歳までは独身寮で格安で暮らせるものの、30歳を超えると退寮かつ家賃補助制度はない。日本全国に拠点が分散しており、北は秋田から南は大分までの転勤に覚悟が必要。秋田や大分などの地方であればトップクラスの給与水準であるものの、長距離転勤に家族帯同するか単身赴任かは大きな迷いどころとなるだろう。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!