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【勝ち組?】TDKの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

TDKは、コンデンサ・フェライトコア・センサ・バッテリー・HDDヘッドなどを幅広く展開する電子部品メーカー。1935年に齋藤憲三がフェライト量産化を目指して創業、戦前から磁性材料分野で世界トップクラスの技術力を発揮。戦後には音楽用カセットテープでシェア首位級まで登り詰めた。現在は電子部品・磁気製品・バッテリーで世界的シェアを誇り、電子部品分野ではニデック京セラ村田製作所と並ぶ、業界最大手。米・アップル社向けにiPhone用バッテリーを供給する一大サプライヤでもある。

POINT

・スマートフォン用バッテリーに強い電子部品メーカー、磁性材料が祖業
・売上高・利益いずれも好調で過去最高圏、財務体質もかなり良好
・平均年収783万円と電子部品メーカー上位級、福利厚生はそこそこレベル

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:67(上位)

かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:やや難関

総合職の採用人数は年間120人~170人ほど。一般知名度はそこそこであるため、選考倍率も極端な高倍率にはならない。事務系総合職の採用は年間20人ほどと少なく、理系優位。
採用大学:【国公立】大阪大学・千葉大学・広島大学・信州大学・岡山大学・秋田大学・電気通信大学・名古屋工業大学・室蘭工業大学など、【私立】慶応義塾大学・早稲田大学・上智大学・立教大学・中央大学・法政大学・日本大学・東京理科大学・芝浦工業大学・工学院大学・東京電機大学など(出典:マイナビ2027

業績動向

✔売上高と営業利益

TDKの売上高は2019年まで1.1兆〜1.3兆円で推移していたが、2021年から売上高が増加。2024年には過去最高となる売上高2.2兆円に到達*1。営業利益も2021年から増加傾向にあり、2024年には過去最高となる営業利益2,241億円に到達している*2。
*1:2021年以降の業績好調の要因は、①ノートPC・スマートフォン需要拡大によるバッテリー販売増、②データセンター開発活況によるHDD関連製品の販売増、③電気自動車向け電子部品の需要増、など。
*2:2024年に営業利益が増加した理由は、①ICT機器向け二次電地・センサ類の販売好調、②データセンター需要の増加によるハードディスク向けヘッド・サスペンションの販売急増、③前年度に実施した構造改革による利益率の改善、④為替レートの円安推移による為替効果、など。

✔セグメント別の状況

TDKは、受動部品事業(コンデンサ・コイル・フェライトコア・高周波部品・圧電材料部品など)、センサ応用製品事業(圧力センサ・磁気センサ・MEMSセンサなど)、磁気応用製品事業(HDD用ヘッド・HDD用サスペンション・マグネットなど)、エナジー応用製品事業(バッテリー・電源など)、その他事業(メカトロニクス・カメラ用マイクロアクチュエータなど)、の5事業を有する。
当社は多種多様な電子部品を販売しているが、現在はエナジー応用製品事業が傑出した存在。米・アップル社や韓・サムスン社の主力製品にも子会社・ATLのバッテリーが搭載されており、エナジー事業だけで売上高の約53%・利益の約84%を稼ぎだしている。ハードディスク向け磁気ヘッドにおいても世界シェアの約30%を掌握、世界的な競争力を誇っている。

✔最終利益と利益率

TDKの純利益は2020年まで570億〜820億円で推移していたが、同年以降は増加傾向。2024年には過去最高となる純利益1,671億円に到達している。営業利益率は長期的に7%〜10%で推移しており、電子部品メーカーとしては良好な水準を安定的に維持している。

✔自己資本比率と純資産

TDKの自己資本比率は長年に渡って40%台で推移していたが、2024年には50.8%まで増加。負債に依存し過ぎない事業運営ができており、安定的な利益体質を加味すれば財務健全性は大いに良好である。純資産は2020年から右肩上がりで増加しており、2024年には純資産1.81兆円に到達。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

TDKの平均年収は長年に渡って780万~810万円で推移している。よく言えば安定的であるが、昨今の業績好調が従業員にあまり還元されていないとも解釈できる。大卒総合職の場合、30歳で年収600万~720万円ほど、課長職レベルで年収920万~1,100万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

TDKの単体従業員数は長期的な増加傾向が続いており、2024年には6,037人規模の組織体制となっている。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は10.1万人にも達する。平均勤続年数はやや減少傾向にあるが、それでも17.7年(2024年)とかなり長め。

総合評価

企業格付け:A

かつてカセットテープ分野で業界首位のシェアを誇った電子部品メーカー。現在ではBtoB事業へと明確に転換しており、スマートフォン向けバッテリーで売上高・利益の半分以上を稼ぎだす。実はバッテリー子会社・ATLは、当社が2005年に約100億円で買収した企業。現在ではグループの成長を牽引する虎の子事業にまで成長しており、先行投資の慧眼には目を見張るものがある。電気自動車バッテリーにおいて世界シェア首位を独走するCATLも同社からスピンオフした企業であり、バッテリーの歴史は当社なくして語れないほど。業績においても好調であり、売上高・利益が過去最高圏で推移し続けている。財務体質においても自己資本比率50.8%(2024年)と相当な高水準にあり、安定的な利益体質を加味すれば財務健全性は十分。強いて言えば、業績におけるバッテリー比率が極めて大きいが故に、次世代バッテリー開発で遅れをとった場合には業績の落ち込みしろが大きいことは将来的なリスクとして警戒しておきたい。

就職格付け:BB

1930年代に東京工業大学が世界で初めて発明したフェライトを事業化するべく創業された企業。創業当時から技術志向が強い企業であり、時代のニーズに応じた製品を生み出しては高シェアを掌握してきた。給与水準においては平均年収780万〜820万円と電子部品メーカーとしては上位クラス。業界大手と比較してもニデック(720万円)・京セラ(692万円)は優に上回っており、村田製作所(760万円)にも引けを取らない。…が、これだけの業績好調にありながら平均年収はまったく上がっていないのは従業員への還元不足の感は否めない。福利厚生においては大手メーカー並みの制度は揃っているが、住宅補助はやや手薄。30歳までは独身寮で格安で暮らせるものの、30歳を超えると退寮かつ家賃補助制度はない。日本全国に拠点が分散しており、北は秋田から南は大分までの転勤に覚悟が必要。秋田や大分などの地方であればトップクラスの給与水準であるものの、長距離転勤に家族帯同するか単身赴任かは大きな迷いどころとなるだろう。

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出典:TDK株式会社(有価証券報告書)