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化学メーカー

DICの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

DICは、インキ・有機顔料・液晶材料・樹脂製品・ヘルスケア食品などを幅広く展開する化学メーカー。1908年に川村喜十郎が印刷用インキの製造を目的に創業、戦前から総合インキメーカーとして君臨した。現在では総合化学メーカーとして事業領域を拡大しており、印刷インキ・有機顔料・PPSコンパウンドでは世界シェア首位級。戦前から海外展開に熱心であり海外売上高比率は67%にも達する、世界63ヵ国にグループ会社190社を擁する世界屈指の総合インキメーカーとなっている。

POINT

1.印刷インキで世界トップの化学メーカー、脱インキ・事業多角化を推進
2.売上高は増加するも利益は伸び悩む、財務体質は普通レベル
3.平均年収758万円だが福利厚生は良好、残業が少ない社風

業績動向

✔売上高と営業利益

DICの売上高は長年に渡って7,000億~8,000億円レベルで安定していたが、2021年から売上高が増加して直近では1兆円を突破*1。営業利益は伸び悩んでおり、2017年の565億円をピークに減少気味*2。
*1:2022年に売上高が急増した主要因は、①世界的な原材料価格の高騰を受けて主要製品で値上げを進めた点、②為替レートの円安推移による為替効果、など。DICは海外売上高比率が67%にも及ぶため為替レートに業績を左右されやすい。
*2:為替効果と値上げ対応によって売上高が増加しているに過ぎず、そもそもの販売数量や利益率が高まっているわけではない。それゆえ、営業利益は伸びずに売上高だけが伸びている。

✔セグメント別の状況

DICは、パッケージング&グラフィック事業(グラビアインキ・オフセットインキ・新聞インキなど)、カラー&ディスプレイ事業(有機顔料・液晶材料・ヘルスケア食品など)、プロフェッショナルプロダクツ事業(アクリル樹脂・ウレタン樹脂・エポキシ樹脂・工業用テープなど)、その他事業、の4事業を有する。
DICの主力事業のうち利益率が特に高いのはプロフェッショナルプロダクツ事業。売上高に占める割合は30%には満たないが、全社利益の約半分を支えている。同事業にはカラーフィルタ向け顔料・低誘電樹脂・半導体向けエポキシ樹脂などが含まれる。

✔最終利益と利益率

DICの純利益は2018年まで320億~380億円前後の水準で推移してきたが、2020年からは純利益が低下傾向。直近の2022年は純利益176億円に留まる。営業利益率は長期的に5%~7%ほどで推移していたが、直近の2022年は3%台に低下。

✔自己資本比率と純資産

DICの自己資本比率は長年に渡って30%~38%レベルで推移しており、大手企業の標準的水準。2020年以降は有利子負債の増加により低下気味*3。純資産は右肩上がりで増加しており、直近の2022年には4,211億円に到達。
*3:DICは2020年に独・BASF社の顔料事業を買収。買収費用として有利子負債を約1,100億円ほど調達したことで自己資本比率が低下した。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

DICの平均年収は長年に渡って740万~780万円で安定的。大手化学メーカーには敵わないが、中堅化学メーカー上位級。大卒総合職は30歳で年収620万~690万円ほど、課長職レベルで年収900万~1,000万円が目安。

✔従業員数と勤続年数

DICの単体従業員数は長年に渡って3,500人~3,800人ほどの規模感で推移している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.27万人ほど。平均勤続年数は直近で18.9年とかなり長めの水準。

総合評価

企業格付け:B

世界トップクラスの総合インキメーカーであり、印刷用インキでの世界シェアは首位。最近はでは印刷用インキの需要縮小を見越して事業多角化に熱心であり、顔料・合成樹脂・先端材料などを展開。既に売上高の半分を印刷用インキ以外で稼ぐまでに到達している。が、業績は必ずしも好調とは言えない状況。売上高こそ1兆円の大台を15年ぶりに突破したが、これは値上対応と為替効果が主要因。本質的な利益率向上には繋がっていないため、利益においては2017年をピークに停滞が続く。財務体質も健全性こそ問題はないが、巨額買収に伴う費用を有利子負債で調達したことで自己資本比率がやや減少。総じて、大きな問題はないが好調でもない業績財務と言わざるを得ないか。

就職格付け:B

塗料業界における巨人企業であり、ライバル企業には日本ペイントや東洋インキなどがある。いわゆる川中化学メーカーの1社であり、原材料を加工して素材や化製品を生み出すことを主力事業とする。給与水準はそこそこ恵まれており、平均年収は740万円~780万円で安定的。原材料を製造する川上の大手化学メーカーには敵わないが、製造業としては中堅上位級である。DICの最大の魅力は充実した福利厚生と社風。福利厚生では住宅補助が充実しており、家賃補助(最大4万円/月)と借上げ社宅(家賃1.3万円/月)を選ぶことができる。月平均残業時間は9.8時間/月とやたら少なく、無駄な長時間残業はしない社風。育児休暇取得率・復帰率も極めて高いため、家庭と仕事の両立に対しての理解が深い。海外売上高比率が約67%にも及ぶため、海外出張や海外赴任のチャンスもかなり多い。ホワイト企業で無理なく長く働きつつ、グローバルな環境で活躍したい求職者ならば候補に入れたいところ。

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