企業概要
SMCは、工場設備の自動化ニーズに特化した空気圧制御機器メーカー。空気を動力源として動作する空気圧制御機器において世界シェア首位を誇る。1856年にエアフィルタ部品を製造販売する焼結金属工業として創業したが、1961年には空気圧機器の製造へと進出。1970年代に日本の製造業が飛躍的な発展を遂げると、製造現場の効率化ニーズを巧みに捉えて空気圧制御機器メーカーとして躍進。現在では世界80ヶ国以上に進出しており、日本・米国・欧州・中国などに研究開発センターを設置。開発~生産~物流~アフターサポートまでを自社で一貫提供する製販一貫体制に強み。
1.空気圧制御機器で世界シェア首位を誇る業界最大手
2.売上高・利益は成長基調が継続、自己資本比率90%台で財務鉄壁
3.平均年収864万円、平均勤続年数20年以上でホワイト企業
✔就職偏差値:67(上位)
かなりの勝ち組サラリーマン。日系大企業としては上位級の待遇をしっかりと得られる。入社するには相応の能力が必要であるが、立ち回りを工夫すればチャンスはそれなりにある。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:やや難しめ
総合職の採用数は年間80人ほどと多くはないが、一般知名度が極端に低いため意外と倍率は高くない。理系・文系いずれも幅広い大学から採用しており、学歴フィルターも薄め。
採用大学:【国公立】大阪大学・筑波大学・千葉大学・埼玉大学・山口大学・三重大学など、【私立】早稲田大学・明治大学・学習院大学・東海大学・明治学院大など(出典:マイナビ2025)
業績動向
✔売上高と営業利益
SMCの売上高は成長基調が続いており、2022年には過去最高となる売上高8,248億円に到達*1。営業利益も成長が続いており、2022年には営業利益2,582億円に到達。2023年は売上高•利益いずれも減速*2。
*1:かつては日本企業が主力顧客であったが、過去30年間で海外シェアを拡大し、現在では世界シェア首位に到達。生産設備の自動化ニーズを追い風に業績拡大が続いている。
*2:2023年は世界的に設備投資ブームが一服。半導体業界や自動車業界における需要減速により減収減益となった。
✔セグメント別の状況
SMCは自動制御機器事業(方向制御機器・駆動機器・空気圧補助機器などの自動制御機器、温調器機、センサーなど)のみの単一事業会社である。
SMCは空気圧制御機器に特化した企業であり、BtoB事業のみを展開するが故に一般知名度は壊滅的に低い。とはいえ、空気圧制御機器においては世界シェア首位のトップ企業。海外売上高比率は約80%に迫り、世界を主戦場としている。
✔最終利益と利益率
SMCの純利益は売上高の増加に連動して長期的な成長基調が継続、2022年には純利益2,246億円に到達して過去最高を更新。営業利益率は長期的に30%前後の水準で安定的に推移しており、大手メーカーとしては非常に高い利益率を誇る。
✔自己資本比率と純資産
SMCの自己資本比率は2018年以降から90%レベルの超高水準が続いており、上場企業の中でも最高水準の自己資本比率を誇る。純資産も長年に渡って増加傾向が続いており、直近の2022年には純資産1.7兆円に到達。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
SMCの平均年収は750~850万円前後で推移しており、大手メーカーに匹敵する給与水準となっている。大卒総合職なら30歳で年収550~600万円、課長職レベルで1,000~1,100万円ほど。平均年齢は41.9歳と大手企業の標準的水準だが、長期的に増加傾向が続いている。
✔従業員数と勤続年数
SMCの単体従業員数は緩やかな増加傾向が続いており、2022年には従業員6,000人を突破。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は2.29万人ほど。平均勤続年数は20年を上回っており、従業員の定着が良いホワイト企業である。
総合評価
企業格付け:AA
空気圧制御機器において世界シェア首位を誇る業界の巨人。日本国内における競合にはCKDなど数社があるが、SMCは国内シェア60%以上を抑えて圧倒的首位に立っている。グローバル市場でライバルを下してシェア拡大に成功したことで業績は右肩上がりで推移しており、空気圧制御機器に特化した企業でありながら売上高8,000億円を突破。利益率においても極めて優良であり、営業利益率30%前後を安定的に稼ぎ出す高利益企業でもある。財務体質は自己資本比率90%前後という鉄壁の財務基盤を有しており、高利益率と相まって安定感は抜群である。先進国における少子高齢化の進展により、将来的にも工場設備の自動化ニーズは潜在的成長力が期待される分野。当面に渡って成長基調が続きそうである。
就職格付け:A
工場における生産設備の自動化機器である、空気圧制御機器に特化したBtoB企業。一般社会に直接的に製品を供給しない事業分野ゆえに一般知名度が壊滅的に低いながらも、ファクトリーオートメーション分野においては圧倒的存在感を誇る。給与水準は平均年収750~850万円ほどで推移しており、大手メーカーに匹敵する水準を維持している。但し、福利厚生は住宅手当・独身寮など一通り整備されているが、特筆して称賛するポイントはない。SMCの最大の魅力は、①営業利益率30%以上を安定的に確保する高利益率、②自己資本比率90%レベルの盤石の財務基盤、であろう。倒産リスクという観点では大手メーカー以上に倒産とは無縁の企業であり、長く働き続けられる安定感は大きな魅力。社員の定着も非常によく、平均勤続年数20年以上とホワイト企業である。