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カシオ計算機の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

カシオ計算機は、腕時計・電卓・電子楽器・電子辞書などを開発製造する電機メーカー。1946年に樫尾忠雄がリレー回路を用いた電子計算機を開発したことで創業、1970年代以降は家庭向けパーソナル電卓”カシオミニ”や腕時計”G-SHOCK”などの爆発的ヒット商品を連発。日本製=安価で高品質のイメージを築き上げた立役者的なメーカー。かつては携帯電話やデジタルカメラにおいても大きなシェアを獲得していたが、スマートフォンの普及による需要激減によって撤退。

POINT

1.腕時計や電子辞書などに強みをもつ電機メーカー
2.売上高は2008年から約60%もの減少、規模縮小したとはいえ利益率は堅い
3.平均年収は819万円と良い水準、ただし平均年齢46歳の高齢化企業

業績動向

✔売上高と営業利益

カシオ計算機の売上高は衰退傾向にあり、直近では2,523億円まで縮小。2008年に記録した6,230億円から約60%の売上減少に直面*1。営業利益は売上高ほどの減少はしていないが、2019年以降は300億円以下にレンジを切り下げ。
*1:2007年に米アップル社がiPhoneを発売後、カシオ計算機はスマートフォンの普及による主力商品の需要激減に直面。①2013年に携帯事業を売却して完全撤退、②2018年にコンパクトデジタルカメラから撤退、など売上高の大きかった主力事業を次々と喪失。

✔セグメント別の状況

カシオは時計事業(腕時計ブランドG-SHOCK・オシアナスほか)、コンシューマ事業(電子辞書・電卓・電子楽器など)、システム事業(ハンディターミナル・電子レジ・経営支援システム・プロジェクターなど)、その他事業(成型部品・金型など)の4事業を有する。
カシオ計算機の屋台骨を支える事業はG-SHOCKをはじめとする腕時計。かつての主力事業である携帯電話やデジタルカメラと比べると売上高の規模は小さいが、世界的ブランド力を有するために利益率も良好。ただし、腕時計以外のコア製品に乏しいため、腕時計が失速した場合には代替が効かない状況。

✔最終利益と利益率

カシオ計算機の純利益は営業利益の縮小に連動して減少傾向、ただし最終赤字にまで転落することは稀*2。売上高が衰退する中でもソフトランディングに成功している。
*2:カシオ計算機が大規模な最終赤字を最後に計上したのは2009年。デジタルカメラ市場の急失速で約230億円の純損失を計上したことがある。

✔自己資本比率と純資産

カシオ計算機の自己資本比率は直近で64.9%とかなり高めだが、安定的な利益体質もあわせて考えれば堅実な財務体質。他方で、純資産は約2,000億円レベルで停滞しており成長性に乏しい。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

カシオ計算機の平均年収は直近で819万円とやや高めの水準であり、売上高2,000億円ほどのメーカーの中では給与水準は良い方。ただし、平均年齢は46歳前後の水準で横ばい推移しており、従業員の高齢化がとても進んでいる。

✔従業員数と勤続年数

カシオ計算機の従業員数は2016年の1.23万人を頂点に減少傾向が続いている。売上高の縮小が続いている為、従業員を増やす動機に欠けるためやむなし。平均勤続年数は18.2年とかなり長めの水準。

総合評価

企業格付け:B

スマートフォンの普及により大打撃を受けた企業であり、携帯電話・デジタルカメラという主力事業を失ったことで衰退に直面。幸か不幸か、残った主力事業の腕時計事業は高いブランド力で特に採算がよいため、売上高2,000億円レベルで回復を模索中。財務体質は非常に安定的で余裕はあるため、当面はG-SHOCKで食い繋ぎながら次の主力事業を模索するフェーズか。2018年には皮膚疾患の臨床診断向けダーモカメラを開発、翌年には医療用カメラ事業に参入している。

就職格付け:B

最近では売上高2,000億円レベルまで縮小している実態があるとはいえ、主力製品のG-SHOCKは世界的に認知度が高い製品であり、日本人なら知らない人はいない超有名企業。日本製を代表する製品をいくつも生み出した優良メーカーであるため、世間体は抜群に良い。規模縮小したとはいえ、携帯電話・デジタルカメラは業績乱高下の元凶となっており、規模縮小後の方が業績は安定的となったのは皮肉。過去に築いた時計ブランドがあれば当面は安定だが、次の事業の柱が見つからない状況をいかに突破するかが問われる。その割には従業員の高齢化が著しく平均年齢は45歳以上。高齢化企業でイノベーションは起こし得るのだろうか。

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