企業概要
LINEヤフーは、検索サイト・ECサイト・メッセンジャーアプリなどを展開する大手IT会社。1996年に米・Yahoo!とソフトバンクの合弁会社として設立。インターネット黎明期から検索サイト・ECサイト・ネットオークションを展開。2019年にはファッションEC大手・ZOZOと事務用品EC大手・アスクルを傘下に収め、2021年にはメッセンジャーアプリ大手のLINEと合併。現在では出自の異なるIT会社の巨大連合体として君臨。ソフトバンクと韓・ネイバー社の合弁会社が発行済み株式数の約63%を事実上保有する。
・日系WEBサービス業界で第2位、多種多様な企業の連合体
・売上高は右肩上がりで伸びるが利益は横ばい、財務体質まずまず
・平均年収819万円だが福利厚生はまずまずレベル、大量採用で門戸は広い
就職偏差値
✔就職偏差値:65(中堅上位)
大手企業の中でも中堅上位クラスの1社であり、世間的にも有名企業として認知される。入社できればサラリーマンとして、かなり安定した人生が得られるだろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向・社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。
✔就職難易度:中難易度
総合職の採用数は年間600人~700人前後と門戸は非常に広く、さまざまな大学から幅広く採用している。職種別採用であるため応募職種の適性にマッチするかが重視される。
採用大学:【国公立】北海道大学・大阪大学・筑波大学・・東京都立大学・東京農工大学・電気通信大学など、【私立】慶應義塾大学・早稲田大学・上智大学・立教大学・立命館大学・東京理科大学など(出典:ダイヤモンドオンライン)
業績動向
✔売上高と営業利益
LINEヤフーの売上高は右肩上がりでの増加傾向が続いており、2023年には1.81兆円に到達*1。営業利益は2022年を除けば1,400億~2,000億円ほどであり、売上高の拡大の割には利益が伸び悩む。
*1:当社の業績が急拡大している理由は、①2019年のZOZO・アスクルの傘下入り、②2021年のLINEとの経営統合、③PayPayの事業急成長、④COVID-19以降のネット広告業界の急成長など。
✔セグメント別の状況
LINEヤフーは、メディア事業(検索広告・LINE広告・スタンプ・ゲーム・ミュージック)、コマース事業(ZOZOタウン・アスクル、Yahoo!ショッピング・トラベル・オークション・フリマ、一休トラベル、海外ECサイトなど)、戦略事業(PayPay・PayPayカード・PayPayほけん・LINEポケットマネーなど)、その他事業、の4事業を有する。
当社はIT企業のイメージがあるが、売上高の約46%をEコマース事業が占めており、インターネット物販・旅行サービス・インターネットオークションが主力事業となっている。ただし利益面ではメディア広告が全社利益の約70%を占める。事業規模をコマース事業で大きくしつつ、利益をメディア事業で稼ぐ構造。
✔最終利益と利益率
LINEヤフーの純利益は、2022年に1,788億円に達したが同年以外は700億~1,300億円ほどで横ばい。営業利益率は2016年の20%台から低下傾向にあり、直近では11.4%となっている。
*2:2016年頃の当社は利益率が高いメディア事業がコア事業であったが、その後にZOZO・アスクルなどの(それほど利益率が高くない)コマース事業が合流したことで全社営業利益の低下が起こっている。
✔自己資本比率と純資産
LINEヤフーの自己資本比率は2019年に19.6%まで急低下した後、2020年以降は30%~40%レベルで推移している。純資産は2020年に2.68兆円まで急増*3しており、直近の2023年には3兆円を超えた。
*3:2020年に純資産が急増した理由は、株式交換によるLINEとの経営統合によって同社の保有資産が合流したことによる。
社員の待遇
✔平均年収と平均年齢
LINEヤフーの平均年収は直近で819万円となっている。2019年~2022年は平均年収1,000万円前後で推移しているが、この期間は持株会社化で数百人のみの平均年収となっていた事情があるため参考にならない。大卒総合職ならば30歳で年収580~780万円、課長職レベルは850万~950万円ほど。
✔従業員数と勤続年数
LINEヤフーの単体従業員数は直近で1.11万人となっている。2019年~2022年は持株会社化されており、単体従業員が200人~300人ほどであった。平均勤続年数は直近で7.4年とやや短め。
総合評価
企業格付け:B
かつては米・Yahoo!とソフトバンクの合弁会社として設立されたIT会社であるが、2000年代以降になると出自が異なる数々のIT会社の大連合体として発展。現在では、Yahoo!・LINE・ZOZO・アスクル・一休・PayPayなどの数多くのWEBサービス・Eコマースが合流している。こうした経緯もあって売上高は右肩上がりの増加傾向が続いており、直近では売上高1.8兆円を突破。日系WEBサービス会社としては業界首位の楽天(売上高2兆円)に肉薄する急成長を遂げている。ただし規模拡大が先行している事情もあって利益はそれほど伸びておらず、過去8年間に渡って2022年を除けば1,400億~2,000億円ほどで横ばい傾向。今後も更なる成長が続くかは不明であるが、少なくとも日系WEBサービス会社として第3位のサイバーエージェントは売上高7,000億円規模であるから、業界2位の地位は当面安泰であろう。
就職格付け:B
日本人なら誰もが一度は使ったことがあるであろう検索サイト・Yahoo!とメッセンジャーアプリ・LINEが2021年に経営統合して誕生したIT会社。給与水準は直近で平均年収819万円と日系WEBサービス会社としては恵まれている方であり、大卒総合職ならば30歳で年収580~780万円、課長職レベルは850万~950万円ほどには達する。大卒初任給では企画職453万円・エンジニア職504万円に設定されており、1年目の給与水準は他業界の日系大企業を大きく上回っている。ただし年功序列の概念は希薄であるため職務等級に応じた成果を発揮しなければ昇給は限定的となるため、一定の努力は必要である。福利厚生面は家賃補助・社宅制度などはないため、都心で一人暮らしする場合には全額が自己負担となるため、住宅補助が充実した日系大企業と待遇面を単純比較する際には注意したい。ただしリモートワーク制度が整っているため、地方や郊外で暮らしたい場合には大きなポテンシャルがあるといえるだろう。