カテゴリー
電機メーカー

【勝ち組?】JVCケンウッドの就職偏差値・難易度と平均年収【企業研究レポート】

企業概要

JVCケンウッドは、カーナビ・ドライブレコーダー・ヘッドホンなどの映像・音響機器を展開とする電機メーカー。1927年に米ビクタートーキングマシンが設立した日本ビクターを源流とし、2008年に同業のケンウッドが経営統合して設立された。伝統的に日本ビクターはオーディオ・ビデオカメラ分野が得意であり、ケンウッドはアマチュア無線・自動車向け機器を得意。近年ではカーナビ・ドライブレコーダーを主力製品としている。2011年には民生用テレビの生産から撤退、2022年には民生用ビデオカメラから撤退。

POINT

・カーナビ・ドライブレコーダーを得意とする電機メーカー、無線分野も強い
・業績低迷が続いていたが2022年からやや好転、財務体質も回復傾向
・平均年収697万円だが平均年齢50歳以上、平均勤続24年以上

就職偏差値と難易度

✔就職偏差値:61(中堅上位)

サラリーマンの中堅上位クラスの待遇を得られ、世間的にも有名企業・大企業勤務として認知される。サラリーマンとして安定した人生が得られるが、入社するには人並み以上の努力が必要だろう。
詳細な企業分析は以下の業績動向社員の待遇を参照。本レポート末尾に総合評価を記す。

✔就職難易度:中堅級

採用人数は年間50人前後だが、年度によっては10人前後まで急減することもあり採用枠が安定しない。文系は一定以上の大学出身者が多いが、理系の出身大学は多種多様。
採用大学:【国公立】電気通信大学・東京農業大学・東京都立大学・横浜国立大学・埼玉大学など、【私立】青山学院大学・中央大学・東京理科大学・神奈川工科大学・湘南工科大学など(出典:マイナビ2025

業績動向

✔売上高と営業利益

JVCケンウッドの売上高は概ね3,000億円レベルで安定的に推移してきたが、2019年以降は売上高の減少と再成長を経験*1。営業利益は100億に満たない水準で長らく推移していたが、2022年は営業利益216億円に増加。
*1:2020年~2021年はCOVID-19影響で自動車メーカーの新車生産台数が急減したことで主力のカーナビ・ドライブレコーダーが販売低迷。しかし、2022年からは、①主力製品の値上げ対応、②新車生産台数の増加により、売上高が急増。

✔セグメント別の状況

JVCケンウッドはモビリティ&テレマティクス事業(カーナビ・ドライブレコーダー・車載デバイスなど)、パブリックサービス事業(業務用無線・業務用オーディオ機器・など)、メディアサービス事業(業務用ビデオカメラ・プロジェクタ・ヘッドホン・オーディオソフトなど)、その他事業の4事業を有する。
JVCケンウッドのコア事業はモビリティ&テレマティクス事業が展開するカーナビやドライブレコーダーであり、同事業が売上高の約60%を占める。他方、利益面は3事業が約30%ずつを稼ぐ構造となっておりバランス型。

✔最終利益と利益率

JVCケンウッドの純利益は2021年まで損益ギリギリで低迷していたが、2022年以降は100億円以上に増加。営業利益率は1~2%台の低空飛行が続いてきたが、2021年以降は改善傾向。

✔自己資本比率と純資産

JVCケンウッドの自己資本比率は右肩上がりの増加傾向が続いており、直近では36.2%まで回復。そこまで高くない水準ではないが、長年に渡る低迷から脱却しつつある*3。純資産は2020年から増加して直近では1,212億円に到達したが、企業規模と比べると少なめ。
*3:JVCケンウッドの自己資本比率は長年に渡って10~25%レベルで推移しており低空飛行が常態化している。2022年の30%突破はリーマンショック以降では初の快挙。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

JVCケンウッドの平均年収は700万円前後で推移しているが、社員の平均年齢は50.9歳と高齢化が進んだ企業であるため、社員の平均年収が高くでやすい。大卒総合職の場合、30歳で400万〜500万円、課長職レベルで790万〜890万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

JVCケンウッドの単体従業員数は3,000人前後で横ばいだが、2015年には希望退職者を募集して400人ほど従業員を削減している*4。子会社・関連会社を含めた連結従業員数は1.65万人ほど。平均勤続年数は24.3年と極めて長い。
*4:2015年には業績悪化を受けた人件費の削減策として45歳以上の社員を対象として希望退職者400名募集。これにより、それまで3,500人前後だった単体従業員数は3,000人前後まで減少した。

総合評価

企業格付け:D

■業界ポジション
中堅と大手の中間に位置する電機メーカー。かつてオーディオが華やかであった時代の名残で知名度は高い。現在はカーナビ・ドライブレコーダーが主力商品であり、競合他社はパナソニック・パイオニア・アルプスアルパインなど。企業規模ではパナソニック・アルプスアルパインには遠く及ばず、パイオニアと同格レベル。

■業績動向
回復の兆し。COVID-19以降の新車販売の増加を追い風にカーナビ・ドライブレコーダーの販売が好調、販売価格の値上げ対応により採算性も改善。北米地域で公共向けデジタル無線システムの受注が好調であり、為替レートの円安も追い風に。純利益100億円以上を2年連続で確保しており、今の好調が続くのかが焦点。

■財務体質
回復傾向。かつては業績悪化で自己資本比率10%台まで低下する危機的状況に追いやられたが、10年近くをかけて30%台まで持ち直した。有利子負債も圧縮を進めており、1,300億円以上(2008年)から572億円(2023年)まで縮小。負債依存度も軽減されつつある。

■事業環境の逆風
かつての主力事業のオーディオ機器は音楽のデジタルシフトで廃れ、ビデオカメラ・携帯音楽プレーヤーはスマートフォンに駆逐され、テレビは収益性の悪化で撤退。現在の主力事業はカーナビ・ドライブレコーダーだが、自動車メーカーが純正カーコネクティビティシステムの普及を急加速させており、将来的にJVCケンウッドのカーナビも売上衰退が危ぶまれる。かつてのようにカーナビシステムにこだわる顧客層も減少しつつあり、事業環境は相変わらず厳しい。

就職格付け:C

■給与水準
直近の平均年収は694万円と、企業規模・業績の割には意外と高めの水準。ただし、平均年齢50.9歳の高齢化した組織の平均年収であるため、他企業との比較にあたっては割り引いて見る必要がある。実態としては、大卒総合職・30歳で400万〜500万円、課長職レベルで790万〜890万円ほど。

■福利厚生
そこそこ良好。独身寮・借上げ社宅・家賃補助制度はすべてある。独身寮は月額1万円ほどであり格安、女性であれば同額で借上げ社宅を与えられる。家賃補助額は月1.5万円とやや少なめだが、それでも貰えるだけありがたいか。転勤者であれば年齢に関わらず借上げ社宅が手配され、従業員の負担感を抑えてくれる。

■キャリア
営業・スタッフ系総合職と技術系総合職の2職種制。営業・スタッフ系総合職は営業・企画・物流・経理・法務・ITなどに配属され、技術系総合職は研究開発・設計・生産技術・品質保証などに配属される。優秀であれば30代で管理職になることも可能だが、平均年齢50歳以上の高齢化した組織であるため上が詰まっているケースも散見される。主力拠点が神奈川県周辺に集積しており、同県出身者であればキャリアの大半を県内で過ごせる。

就職偏差値ランキング【完全版】はこちら!

出典:株式会社JVCケンウッド(有価証券報告書)