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小売流通会社

高島屋の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

高島屋は、衣料品・宝飾品・家庭用品・飲食品などを販売する大手総合百貨店。1831年に飯田新七が京都で開業した木綿商展を源流とし、江戸時代から大手呉服店として発展。明治以降は舶来品輸入にも参入、戦前期から関西・関東を二大地盤として総合百貨店の地位を確立。現在では百貨店業界において三越伊勢丹HDと並んで国内首位級の規模を誇り、東京・名古屋・大阪の三大都市圏すべてに大型店舗を展開。海外にも店舗展開しており、シンガポール・バンコク・上海・ホーチミンにも店舗展開。

POINT

1.百貨店業界で首位級、創業190周年以上の老舗企業
2.売上高・利益はCOVID-19影響から回復、財務体質は普通クラス
3.平均年収706万円で業界上位級だが福利厚生は希薄、平均年齢が高め

業績動向

✔売上高と営業利益

高島屋の売上高は2019年まで9,000億円レベルで安定していたが、2020年には売上高6,809億円に急落*1。2022年は業績回復が進んだが、会計基準の変更によって売上高が数字上は減少した。営業利益は2020年を除けば、概ね300億円レベルで安定的。
*1:2020年は世界的なCOVID-19感染拡大を受けた臨時休業を約1ヶ月に渡って実施した他、外出自粛が長期化したことで売上高が大きく減少した。
*2:2022年から企業会計基準第29号「収益認識に関する会計基準」を適用。収益認識の基準が変更されたことで売上高が数字上は減少している。

✔セグメント別の状況

高島屋は、百貨店事業(高島屋百貨店における衣料品・宝飾品・家庭用品・飲食品などの販売)、商業開発事業(国内外におけるショッピングセンター・不動産開発)、金融事業(クレジットカード・保険・投資信託など)、建装事業(商業施設・ホテル・船舶などの内装設計~施工)、その他事業(通信販売・卸売など)、の5事業を有する。
高島屋は百貨店事業をコアとしたビジネスモデルとなっており、売上高の約72%を百貨店事業によって稼ぐ。ただし利益においては他事業の貢献も大きい。とりわけ商業開発事業は利益の約30%を稼いでおり、百貨店事業に続く利益の柱となっている。

✔最終利益と利益率

高島屋の純利益は2020年・2021年を除けば、160億~270億円レベルで安定的。嗜好品・贅沢品の消費が活発化する好景気局面には利益を伸ばしやすい反面、消費が冷え込む景気後退局面では利益が減りやすい。営業利益率は通常時で2%~3%ほどの水準だが、直近の2022年には7%まで急伸。

✔自己資本比率と純資産

高島屋の自己資本比率は2019年までは40%台で安定していたが、2019年以降は35%前後に低下。財務体質としては健全性に問題はないが、優良と言える水準でもない。純資産は2018年の4,616億円をピークに停滞が続く。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

高島屋の平均年収は長年に渡って緩やかな増加傾向が続いており、直近の2022年には706万円に到達。ただし平均年齢が48歳と高めである為、他社比較時にはやや割り引いて見てもよいだろう。大卒総合職は30歳で530万~650万円、課長職レベルで750万~900万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

高島屋の単体従業員数は2020年に4,800人規模に到達したが、直近数年は減少傾向。COVID-19以降に社員数減少が進んだ他、2024年には岐阜高島屋・岡山高島屋の閉業も予定中。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.1万人ほど。平均勤続年数は直近で25.1年と極めて長い。

総合評価

企業格付け:CC

創業120周年以上の江戸時代から続く老舗企業であり、百貨店業界における最大手企業。同業他社と比べても高級品から食料品までオールマイティな商品展開が特徴であり、富裕層から一般庶民・若者から高齢者までに親しまれやすい店舗づくりにも長ける。業績は回復傾向にあり、2019年・2020年のCOVID-19感染拡大による最悪期から脱出を果たした状況。2022年に会計基準の変更が適用されたことで見かけ上の売上高は大きく落としたが、利益においてはCOVID-19以前の水準までの復活を果たしつつある。百貨店業界は優勝劣敗が急速に進みつつあるため、都市部の大型店舗への集中を急ぎつつ、地方の老朽店舗の閉業を進めることで収益基盤の強化を図っている。2024年には採算が悪化していた岐阜高島屋・岡山高島屋の閉業を発表、今まで地域社会との兼ね合いから維持してきた店舗の整理も辞さない姿勢。

就職格付け:CC

関東圏・中京圏・関西圏のすべてで高いブランド力を持つ大手総合百貨店であり、日本を代表する百貨店会社の1つでもある企業。百貨店業界は地域性が強い業界であるが、こと高島屋については戦前から他地域展開に積極的であったことで現代においても全国区で知名度がある点で優位。給与水準は平均年収700万円を上回っており小売流通業としては上位級。ただし平均年齢が48歳とかなり高齢化が進んだ組織内での平均年収であるため、若手層や30代における年収で言えば傑出しているわけでもない。が、大卒総合職ならば30歳で530万~650万円ほどには到達するため、やはり小売流通業としては恵まれている方である。次長クラスまで昇進すると年収1,000万円を超えるが、同期の10%ほどしか到達できないとされる。福利厚生はそこまで恵まれてはおらず、家賃補助制度では最大1万円/月ほどで社宅制度などはない(ただし会社都合による転勤者に対してはあり)。強いて言えば、2022年度の育児休業取得率は男性・女性いずれも100%である点は優秀だろうか。

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