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ワコールホールディングスの企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

ワコールホールディングスは、女性用肌着を主力製品とする衣料品メーカー。1946年に塚本幸一がアクセサリー販売を目的として創業、5年後には女性用肌着を製作・販売をスタートさせた。1950年代には百貨店向け販売をスタートさせ、事業規模を拡大すると共に高いブランドイメージを確立。現在では女性用肌着分野でファーストリテイリングに続く業界2位の企業であり、世界51ヵ国で製品を販売するグローバル企業でもある。主力ブランドにはワコール・ウイング・アンフィ・ピーチジョンなどがある。

POINT

1.高級女性用肌着では断トツ首位、海外展開にも強い衣料品メーカー
2.売上高・利益いずれも悪化して創業以来初の最終赤字、財務体質は健全
3.平均年収594万円と企業イメージの割には低め、福利厚生も中堅企業クラス

業績動向

✔売上高と営業利益

ワコールホールディングスの売上高は2015年の2,029億円をピークに減少傾向。COVID-19影響が甚大であった2019年と比較すれば回復基調にはあるが、2015年と比べて売上高が縮小している状況は変わらず*1。営業利益は年度により好不調が分かれるが、2019年以降は利益低迷が目立つ状況。
*1:ワコールの売上高が減少している主要因は、①主力の国内向けワコールブランドの販売低迷、②伝統的な手厚い接客対応からの顧客離れ、③顧客ニーズと離れた審美性を重視した製品開発、などがある。
*2:2022年に営業損失に陥った理由は、①2019年に買収した米インティメイツ・オンラインにおける減損損失、②中国市場における消費低迷による販売減少、③国内ワコール事業の業績低迷など。

✔セグメント別の状況

ワコールホールディングスは、国内ワコール事業(国内における女性用肌着の企画・縫製加工・販売など)、海外ワコール事業(海外における女性用肌着の企画・縫製加工・販売など)、ピーチジョン事業(国内外におけるピーチジョン製品の販売)、その他事業(マネキン人形・手芸用品の製造販売、不動産賃貸業)、の4事業を有する。
ワコールホールディングスはかつて国内事業での安定利益をベースに海外展開を加速させた企業であるが、直近数年は国内事業の売上高・利益が低迷する状況。反面、ワコールブランドとは独立したピーチジョン事業は今なお堅調であり、全社利益の約38%を支える重要事業となっている。

✔最終利益と利益率

ワコールホールディングスの純利益は2016年に過去最高となる125億円に到達したが、直近の2022年には純損失16億円に転落*3。営業利益率は長期的に右肩下がりであり、2018年以降は▲2%~2%レベルの低利益率が継続。
*3:ワコールホールディングスは創業以来77年間に渡って純利益を確保してきたが、2022年には初となる最終赤字に転落。業績不振を打開するため、従業員の早期退職制度などのリストラ策にも着手。

✔自己資本比率と純資産

ワコールホールディングスの自己資本比率は長期的に70%以上の高水準で安定的に推移。財務体質は極めて良好であり、有利子負債を少なく保つことで財務健全性を高く維持している。純資産は2017年をピークに微減傾向が続いている状況。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

ワコールホールディングスの平均年収は2017年に641万円に到達したが、直近の2022年には594万円まで後退。ただし、平均年齢が45.8歳と高めである為、若手社員の平均年収はより少ない。大卒総合職は30歳で450万~550万円、課長職レベルで750万~850万円ほど。

✔従業員数と勤続年数

ワコールホールディングスの単体従業員数は112人に過ぎず、ほとんどの従業員は事業会社に所属している。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は1.9万人ほど。平均勤続年数は直近で19.5年と長めだが、これも持株会社の112名のみの平均勤続年数であり参考にならない。

総合評価

企業格付け:C

女性用肌着メーカーとして長年に渡って国内シェア首位…であったが、2020年にファーストリテイリングに同分野で追い抜かれたことで国内2位に下落。伝統的な百貨店販売には極めて強い反面、一般向け販売では審美性にこだわったデザインや割高な価格イメージが敬遠されつつある状況。女性用肌着はカジュアルさ・快適性が追求される価値観へと変わりつつあり、2008年にファーストリテイリングは”ブラトップ”を投入したことで顧客ニーズを強く掴んだが、当社は伝統的なブランドイメージに忠実であったことで顧客離れが進んでしまった。業績は2017年をピークに売上高・利益いずれも縮小傾向にあり、直近の2022年には創業以来初となる最終赤字に転落。財務体質は極めて健全であるため多少の業績悪化であれば問題なく凌げるが、抜本的なブランド再構築が成功するかは未だ不透明な状況。業績成長を牽引してきた海外市場においても米国・中国での逆風に直面しており、国内外いずれも苦しい状況にある。

就職格付け:C/E

■総合職=C
女性用肌着において高いブランドイメージを有する稀有な企業であり、男性女性を問わず一般認知度は極めて高い有名企業。京都に本社を置く大企業として関西圏では著名、東海道新幹線の車窓から見える本社ビルはデザイン性にも優れており優良企業の貫録を感じさせる。…が、給与水準は平均年収594万円とかなり微妙な水準にあるうえ、この平均年収は持株会社の従業員112人の平均年収である。持株会社の中枢を担うエリートでの平均年収がこの水準であるから、事業会社における待遇は更に期待しにくいだろう。福利厚生は中堅企業並みであるが、家賃補助制度で最大3.5万円/月が支給されるのは地味にありがたい。総じて、優良企業・大企業としての認知度が高すぎるが故に、待遇面では肩透かしとなる可能性があるだろう。昨今の業績不振により賞与面も当面はあまり期待しすぎない方がよさそうである。

■販売職=E
ビューティーアドバイザーとも呼ばれる、ワコール直営店での店頭販売を担当する職種。主に、店頭での接客から採寸・試着サポートまでを手掛ける。総合職とは異なり、百貨店・直営店などでよく見かける販売員そのものであるため、総合職とはキャリアパス・給与体系がまったく異なる点には注意が必要。平均年収は未公開であるが、月額給与から逆算すると250万~380万円ほどと見られる。アパレル業界における販売員はアルバイト・契約社員などの雇用形態が多い為、正社員として勤務できる点は他社と比べた際の大きな強みではある。販売目標を達成した場合にはインセンティブが支給される他、店長などの責任者に昇格すれば手当が支給される。バリキャリとしての人生にはまったく興味がなく、そこそこ安定した会社で接客業がしたい女性には向いている可能性があるだろう。取り扱う商材からして接客相手が女性に限定される点についても、人によってはメリットだろう。

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