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資生堂の企業格付・就職偏差値【業績動向から平均年収まで解説!】

企業概要

資生堂は、化粧品・健康食品・一般用医薬品などを展開する大手化粧品メーカー。化粧品において国内シェア首位を誇り、世界シェア5位に位置する業界最大手の一角。1872年に福原有信が創業した資生堂薬局を源流とし、1897年に化粧品の製造販売へと進出。戦前の1931年から東南アジアを中心に海外進出を果たし、現在では世界120ヶ国以上にビジネスを展開。デパートなどで販売される高価格帯化粧品に強みを持ち、売上高の約60%を高級ラインで稼ぐ。研究開発にも熱心であり、皮膚科学・脳科学においてR&Dを展開。1892年から洋菓子・喫茶店事業も展開、現代においても資生堂パーラーのブランドで親しまれる。

POINT

1.国内首位・世界5位の大手化粧品メーカー、高価格帯に強み
2.売上高・利益いずれも停滞、財務体質は自己資本比率46%と手堅い
3.平均年収663万円とそこそこ、福利厚生は手当が厚め

業績動向

✔売上高と営業利益

資生堂の売上高は2019年までは右肩上がりの成長が続いていたが、COVID-19の影響で2020年に売上高が急落*1。現在は回復途上。営業利益は年度により好不調が分かれており、直近数年においては2019年に記録した営業利益1,138億円からはピークアウトしている。
*1:資生堂はCOVID-19の感染拡大で打撃を受けた企業の1社。業績悪化の原因は、①外出自粛・リモートワークの拡大による化粧品需要の低迷、②外国人旅行客の激減による免税店販売の急減少、などがある。COVID-19の感染拡大が一服した後にも業績回復のペースは鈍い。

✔セグメント別の状況

資生堂は日本事業(国内における化粧品・美容食品・一般医薬品の製造販売)、中国事業(中国における化粧品の販売)、アジアパシフィック事業(アジア・オセアニア地域における化粧品の販売)、米州事業(アメリカ地域における化粧品の販売)、欧州事業(欧州地域における化粧品の販売)、トラベルリテール事業(全世界の免税店エリアにおける化粧品の販売)、プロフェッショナル事業(理容・美容製品)、その他事業の5事業を有する。
資生堂は世界120ヶ国以上で事業展開するグローバル企業であり、海外売上高比率は約88%にも及ぶ。主力は日本・中国・アジアならびに免税店での販売。ただし最近は日本市場は利益を稼げておらず、利益の約59%をトラベルリテール事業の免税店販売に依存する状況。

✔最終利益と利益率

資生堂の純利益は2019年の純利益736億円をピークに停滞気味の推移となっている*2。営業利益率は好調時には10%前後に到達するが不調時には1桁%に低落、企業イメージほど利益率は高くない。
*2:資生堂の利益低迷の一因は、①主力の日本事業が赤字転落して利益を稼げなくなっている点、②マスク着用を継続する女性が多いことによる化粧品需要の停滞、③2021年以降の世界的な物価高による高級化粧品の買い渋り、などがある。

✔自己資本比率と純資産

資生堂の自己資本比率は長年に渡って35~45%程のレンジで推移している。大手企業としてはやや高めの自己資本比率であり、財務体質は良好。純資産は2020年までは増加傾向が続いたが、直近では1.3兆円レベルで停滞している。

社員の待遇

✔平均年収と平均年齢

資生堂の平均年収は2019年まで700万円台で推移していたが、2019年以降は600万円台へ後退*3。化粧品業界のトップ企業とはいえ大手電機メーカーには及ばない程度となっている。大卒総合職は30歳前後で年収600~700万円ほど、課長職レベルで年収1,100~1,200万円が目安。
*3:資生堂の平均年収が下がった理由は、①2017年から2020年までの採用強化で若手社員数を急増させたこと、②2019年以降のCOVID-19影響による業績悪化、が主要因。

✔従業員数と勤続年数

資生堂の従業員数は2017年から2020年にかけて採用強化したことで単体従業員数4,300人規模へ急拡大。子会社や関連会社の従業員も含めた連結従業員数は3.3万人ほど。平均勤続年数は採用強化による社員数の急増により右肩下がりで推移しており、直近では10.9年まで後退。

総合評価

企業格付け:A

日系化粧品メーカーとしては国内首位の規模を誇り、世界シェアも5位という業界の巨人。デパートなどで展開する対面販売を通した高級化粧品に強く、アジア初の化粧品メーカーとしては屈指のブランド力を誇る。業績は大きな転換期を迎えており、2019年まで続いた業績拡大がCOVID-19感染拡大を期に暗転。世界的な外出自粛・リモートワークの普及により化粧品需要が激減したことで大きな打撃を受けた。COVID-19感染拡大が一服したことで回復傾向へ転換したものの、2022年においても完全回復には至らず。資生堂は中~高価格帯への更なる注力を目指したものの、世界的な物価高により贅沢品である高級化粧品への出費を絞る家庭が増えたことが打撃に。主力であった日本事業は赤字転落する状況にあり、完全復活までの道のりはまだ道半ばか。

就職格付け:BBB

化粧品業界のリーディングカンパニーとして知られ、一般知名度・企業イメージは抜群。COVID-19以降は業績不調と評価されるとはいえ、全社利益は手堅く確保しており財務体質も良好。給与水準は長年に渡って680~730万円ほどのレンジで推移してきたが、直近の平均年収は663万円とそこまで高くない。理由としては、①2017年以降の大量採用で若手社員が急増した点、②美容部員と呼ばれる販売スタッフが一定数含まれている点、③業績不調による賞与の縮小、などが想定される。大卒総合職であれば30歳前後で年収600~700万円ほどを得ることができるが、大手メーカーと遜色ないかやや劣る程の給与水準である点は否めない。福利厚生は恵まれており、家賃補助・住宅手当は最大6万円/月を受給可能。既婚者かつ子どもがいれば扶養手当なども加算され、1ヵ月10万円前後の手当を受給することも可能。…だが、最終的な平均年収にこれらは含まれる点に注意は必要。30歳年収650万円のパターンであれば手当分だけで100万円ほどが加算されている計算であり、ベース賃金の伸びが鈍い印象は拭えない。

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